11月14日朝8時(日本時間21時)に、アマゾンの大都市マナウスに到着した! ビールが美味いぜ!(なぜか禁酒船だった…泣)。しかも、当初3泊4日のはずだったが、船が浅瀬で座礁し13時間の遅れ、4泊5日の長旅であった…。
船旅1日目
3日間滞在したコロンビア領レティシアの隣町、ブラジル領タバチィンガからマナウスに向け旅立つ日がやってきた。船は3階建ての大型船、定員は100人ぐらいとのこと(詰め込めるだけ詰め込もうという心粋のため、結構アバウトな数字)。出発時刻1時間前に船に乗り込むと、すでに乗客達はハンモックを思い思いの場所に吊るしていた。どうやらイイ場所は早いもの勝ちらしい。仕方なく2階の端っこ、食堂脇のスペースに昨日買ったオレンジ色のド派手なマイハンモックを吊るす。乗客の往来が激しく、少々居心地は悪そうだ…。
下写真、所狭しと吊るされた色取り取りのハンモック。今日から3泊4日のまるで合宿の様な共同生活が始まる。

アマゾン川は、ブラジルに入るとソリモンエス川と名を変える。しかし、見た目は何も変わらず、永遠とミルクコーヒー色の流れがゆったりと流れているだけ。あまりにのっぺりと流れていてルアー釣りのポイント的にも面白くなく、1時間もすると風景にも飽きて、やること何にもないぞ。暇過ぎる…。
1時間半ほど進み小さい町に立ち寄った。さらに乗客が乗ってきて、一層混雑する船内。お隣に陣取った太ったオバちゃんは生まれて間もない子犬を連れている。じゃれてくる子犬が可愛く、いい暇つぶしになるねと思ったが、後々この子犬が非常に厄介な存在であることに気付く(まだ小便のしつけには早いお年頃らしく、そこら中に小便を撒き散らす。荷物は床にじか置きなのだが、気付くのが遅いと小便に濡れているのだ…)。


船内は1階は積荷スペースで、空いたところにハンモック。2階がハンモックがメインのスペースと食堂。3階はくつろぎの場となっていて、小さな売店がある。あまりに暇で「ビールに逃げよう」と思ったのだが、店員に尋ねて愕然としてしまった。「ビールは無い(きっぱり)。そして、この船は禁酒だ!」。
急に死にたくなってきた…。失意のまま呆然と川を眺めていると、ピンクイルカがまるで慰めてくれるかの様に優雅に水面に躍り出る。


拡大してみるが、分かるかなー? あまりに一瞬で普通のデジカメでは捕えきれん。一眼レフ、持って来ればよかった。

やがて夕暮れどきになり、食事の時間となった。退屈な船内では食事の時間だけが楽しみである。それは他の乗客も同じらしく、我先にレストランへと急ぐ。レストランは狭く定員は20名ほど、長い行列が瞬く間にできる。料理はライスとパスタと豆と肉の煮込み、とにかく炭水化物と肉のみ! これが毎日続くのだ。みんな太っているもんなー、ブラジル人。結構、美味いんだけど…。
やがて夜も更けた頃、突然小型船が横付けして警官隊が乗り込んできた。そして荷物検査を開始。「まあ、日本人なんで、パスポートを見せて終わりだろう」と思ったら、バックパックの隅々まで開けられ長時間のチェック。どうやらコロンビアからブラジルに流れるコカインはこのルートが多いらしいのだ。チェックは非常に厳しい。って、いつの間にか警官は仕事そっちのけで俺の大量のルアーに興味津々(笑)。「もう片付けるのめんどくさいんで、他の人に移ってコカイン探してください!」。
警官隊も引き上げ、皆が寝静まった時だった。俺はこっそりとバックパックからウイスキーを取り出す。実はビールで酔えなかったら困ると思い、何気なく1本買っておいたのが幸いした(笑)。初夜はぐっすりと眠ることができた。
船旅2日目
早朝、タバコを吸いながら川を眺める。なぜか船はラゴアに続くイイ感じのシャローに停泊していた。時折魚の波紋が現れちょっと興奮する。だが、昼を過ぎても船は一向に動く気配を見せなかった。
やがて2隻の中型船がやって来て俺の乗っている船にロープをつなぎ始めた。「もしかして、座礁しているの?」と、英語のできるブラジル人に聞いてみると、答えは「イエス」。しかし、一体なぜこの大型船がこんな浅瀬に、頭から突っ込む? 事情が飲めて周囲を観察し、「居眠り運転だな」と結論付ける。

その後2時間、中型船のエンジンがうなり声を上げ続け、なんとか浅瀬から引き吊り上げられた。13時間もこの場所に座礁していたと思われる。


船員に話を聞くと、到着は1日遅れるとのこと。絶望のあまりついついウィスキーに手が伸びて船員に注意を受けるが、「船長も昨夜、たぶん酒飲んで岸に突っ込んだよ(笑)」とイヤミを言ってシカトする…。
船旅3日目
3日目も相変わらず退屈な川下りは続く。時折、小さな集落を通り過ぎる。丘の上に立つ高床式の家屋。増水期はあそこまで水嵩が増すんだろうなぁ…。

あまりに暇なので、村に停泊した時、船から釣り糸を垂らしてみた。餌は朝食に出たパンを丸めた。すぐにヒット!(手釣り…笑)。


アマゾン川ファーストフィッシュはサルディーンでした(笑)。

早く竿振りたいなぁ…。
船旅4日目
ただただ、夕日を眺めて過ごす。

美しい…。

でも、暇過ぎて死にたくなってきた…笑。
船旅5日目
そして、遂に黒いネグロ川とミルクコーヒー色のソリモインス川の合流点、アマゾン川に入った! 6年前にここには来たことがあり、マナウスはもうすぐ。

ブラックウォーターを眺めながら、ブラックコーヒーを飲み、やっとマナウスに到着した!


旅歴中、最も長く退屈に感じられた船旅だったが、今となってはハンモックの揺りかごが恋しいから不思議。気が遠くなるような時間だけど、そんな「退屈な時間」は一生の思い出になるはず…?
マナウスの初日、奇跡の再会があった!

6年前、1日だけ一緒にピーコックバス釣りをしたお爺さんに会いました。その時の写真が著書
「世界怪魚釣行記(扶桑社)」の1ページにありました。ピーコックバスの75cmを釣って喜ぶ俺の背後、後ろ姿でほんの少し小さく写っているだけだが…。

「著書の登場人物に会いに行き、本を片手に記念撮影」シリーズ、アマゾンで記念すべき1人目です(笑)。