9日目8月11日の釣り
1日空けて本日もドブ川に足を運ぶ。約10分ほど水面を観察するが、今日はすぐに見つからない。帰ろうとすると、ゴミ溜まりの下からニョロリと漆黒と山吹色の魚体が現れた! 「今日もいたぁぁぁ〜!!」、その後鯰は再びゴミの下へと潜り込み、絶好のチャンスである。
しかし、ルアーをすぐに投げる気にはなれなかった。計3度、ルアーでは失敗しており弱気になっていた。「黄金鯰を発見する」という第一関門にして一番難しいハードルを越えても、最近素直に喜べない。それは、その次に「食わせる難しさ」があり、そして「掛けてから捕る難しさ」があるからだ。例え食わせられたとしても、アタック数÷捕獲数、つまりGET率が2〜3前後の鯰釣り。普通の鯰であれば乗ったり乗らなかったりを楽しめるのだが、1チャンスを確実にものにしなければならない黄金鯰釣りでは「2〜3回食わせて1匹釣れる」という確率が非常に心細く感じる。弱気になっていた俺は今回は網で捕ってもいいと思った。その魚体を手にして、間近で見れるだけでいいと思った。
車から磯網を取り出し、そっと川辺に降りた。網で出口を封鎖し、足を踏み鳴らした。驚いた鯰はゴミの下から出てきて「カツッ!」と網の枠にぶつかって、左に弾け飛んだ。「逃げられた…」。それはまるでゴールポストに弾かれたモノ凄く惜しいシュートのようで、悲しくなった。
ドブ川を封鎖できるような大網ならともかく、「泳いでいる鯰を磯網で掬うなんて、ルアーを食わせるより難しいよな…」。8月1日にこの鯰を発見してから11日間、あまりに時間が掛かかり過ぎてどうかしてた。次回はルアー釣りに軌道を修正しよう…。
10日目8月12日の釣り
昨日、黄金鯰を取り逃がした後、墓参りのため田舎のお祖父ちゃん家に行っていた管理人。田舎の夜はそうとう暇なんで、夜のバス釣りに行く。子供の頃はこの町にはバスがいなかったんだが。誰が放流したか分からぬが、今ではバス釣りを楽しむことが出来るらしい。
日没間際に野池の流れ込みポイントに到着し、自作TOPルアー「ドブ邪」で探る。用水路から野池へと続く護岸際で「ドバッ!」とでた! PE70lb仕様なんで、約10mをゴリ巻き。一気に足元に抜き寄せると、少し痩せ気味ではあるが48cmのグットサイズだった。だが、山奥の夜釣りは非常に不気味。すぐに引き返し、この1匹のみである。

本日は秋田に帰りながら、野池周りをしようと思うが、台風が接近しており大雨である。こんな時はバスは入れ食いモードに突入するが、ドブ川が気になってしょうがなかった。大増水によりあの鯰が消えてしまうことを恐れ、予定を変更する。高速道路を飛ばしドブ川に直行した!
到着すると、水位は30〜40cmほど増えていたがまだ大丈夫そうである。しばらく観察していると、濁り水の中に一瞬山吹色の魚体が見えた。「まだ、いるっ!」。
しかし車からロッドを取り出し、キャストの態勢に入るが、川の水量が見る見るうちに増えていき、ほとんど洪水だ…。今年見た中で1番の水量。もちろん鯰は姿を消し、キャストもせずにずぶ濡れになって帰宅する。「もう無理だな」と思った。
11日目8月13日の釣り
昨日の増水は凄かったが、ダメ元でドブ川に行くと、予想外に水の減りが激しい。台風は「ザァー」と雨を降らせ、一気に去って行ったため、思ったより川の回復は早かった。濁りがだいぶ残っているが、なんとか黄金鯰を探せそうだ。
5分ほど水面を観察し、流れの渦の中で揺らめく黄金鯰を発見する。ルアーはエコギアの「カサゴ職人 バグアンツ2インチ」。ジグヘッドのヘッド部分の鉛を取り除き、極力硬い部分を排除する(スレた鯰はジグのヘッドの硬い部分を嫌うような気がする)。ワームのズレ防止部分だけを残した。
1投目、1度岸辺の草に引っ掛けてから、水面に静かにワームを落とした。流れに乗せて黄金鯰の口元に近づける。黄金鯰がユラリと反応するが、川底から突然普通の鯰が出てきて食いついた。咄嗟に合わせてしまい、一気にぶち抜き、邪魔にならない場所にリリースする。
ポイントに戻ると、黄金鯰はまだその場所にいた。そして少しの間周辺を泳ぎ周った後、岸辺に沈むの岩の上に頭を乗せ、じっとして動かなくなった。黒い頭部と黄金のエラ、それは数日前に撮った写真と同じく、小動物の顔の様だ。まるで獣面鯰。

2投目、ワームは黄金鯰の真横の岩の上に「ポトッ」と落ち、奇跡的に水面に落ちずに止まった。絶好のチャンス到来! 少し間をおいて、静かに「ポチャ」と水面に落とすと、黄金鯰が翻り「パクッ!」と食った。「グンッ」と右手に衝撃が伝わり、合わせて一気に引っこ抜く。だが、鯰の体が水面にあらわになった瞬間、痛恨のフックオフ…。川辺でしばらく頭を抱えて、放心状態のまま動けなくなる俺…。
その後、なんとか気を持ち直し、普通の鯰でフッキングチェックをする。ルアーのセッティングは間違っていない。選りフッキングを確実にするため、色々試行錯誤する。18バイトで5匹の鯰をGET。最終的に鱒用の天国針をアシストとして1つ装着し、夕方に再び黄金鯰ポイントを訪れた。今度ダメだったら、「踊る大捜査線 ドブ川を封鎖せよ!」作戦を行うつもりだった。川を塞げるほどの網を作り、追い込み漁で捕獲するのだ(笑)。
だが黄金鯰は見当たらない。20分ほどじっと川面を睨むが現れてくれず、見え鯰を1匹捕って、邪魔にならないように上流部にリリースする。ポイントに引き返し、流芯でワームの泳ぎをチェックしていると、背後から「ピュー」と勢い良く山吹色の物体が迫ってきた。食う瞬間は濁りのため見えなかったが、微妙にラインが弛んだのを確認し、合わせを入れる。そのまま一瞬でぶち抜くと、13日間追い求めてきた「黄金錦」であった! 「うぎゃぁぁー!」と人目もはばからず絶叫する管理人…。

頭部・背中が漆黒、それを囲むようにして腹まで山吹色。そして、真っ黒な頭の付け根から黄金のヒレが左右に。素晴らしい体色! 特にエラ部分の「まっ黄色」には驚いた。

腹部はクリーム色。腹鰭から尾鰭はピンク色。写真はあまり撮らなかったので、表現しきれていないが、漆黒・山吹色・クリーム色・ピンクのコントラスト、実際この目で間近で見た時の衝撃は凄かった。


ロッド「アマゾンフリップ バリスタ(エバーグリーン)」
リール「コンクエスト201(シマノ)」
ハンドル「カスタムハンドルAC25VII−S (Sオーシャンマーク)」
ライン「DEEP ONE 50lb(サンライン)」
ルアー「カサゴ職人 バグアンツ2インチ(エコギア)」
ジグヘッド「ROUND HEAD TYPE1.8g(FINA)」+天国針
意図的に秋田の鯰編は更新せず、16日間かけて2匹の黄金鯰を追ってきた。数釣りを封印し(実釣10日間で28匹)、キャストを一切せずに観察だけに費やす日もあった。遂に「秋田黄金鯰四天王」中、3匹目。「黄金錦鯰」を捕獲!!

今回は苦労させられたな…。お終い。