秋田は「日本一祭りが多い県」だと聞いたことがある。ついでに言うと、「自殺率断トツ日本一」「ガンの死亡率日本一」という悲しい「一番」も保持しており、「一人当たりの年間アルコール消費量」は全国のTOPクラス! 抑圧された人々が多く住んでおり、憂さ晴らしのために祭りが多いのだろうか…。俺にとっては住み易く、魚種も豊富で素敵な場所に思えるのだが…。
そんな我が秋田県に最も馬鹿げた、そして大人げのない祭りがある! 県南部の美里町「六郷のカマクラ」祭りの最中に行われる「竹うち」である。国の重要無形民俗文化財に指定されている「六郷のカマクラ」は2月11日〜15日に渡って行われる。豊作・安全・繁栄を祈り、凶作・不幸を排除する。そして、その年の吉凶を占う行事である。最終日の15日、祭りのクライマックスに「竹うち」が行われる。村を南北に分け、長さ8mの青竹で激しく叩きあうという(乱闘はもちろんのこと、かつて死人もでたらしい…)。北軍が勝てば豊作、南軍が勝てば米の値が上がると言い伝えられる。スペインの牛追い祭りやタイの水かけ祭りなど、世界の奇祭に匹敵する馬鹿らしさ、秋田が世界に誇れる大バカ祭りである! 長年出たいと思っていたが、遂に参戦する日がやってきた!
竹うち祭りは夜の19時から。日中暇だったので、会場となる六郷町から10kmほど離れた横手市の「かまくら祭り」を見学する。高さ約3m、さすがプロの仕事。我が家のカマクラと違って美しい…。

ホントは夜のかまくらで甘酒を飲みたかったが、竹打ちがあるので夕方に六郷町に移動する。先日、サクラマス釣行でご一緒したTさん&ヒット師匠さん、そのお友達・黒兎さんと合流する。

六郷町はTさんの地元である。「お世話になりまーす」。※先日の釣行模様はこちらから↓。
http://wind.ap.teacup.com/fishing/994.html
そして、いよいよ決戦の時が迫った。俺も歳なんで、怪我をしたくないので鉄壁ガードいかせていただきます。若かりし頃買ったマウンテンバイク・ダウンヒル競技のプロテクター&ヘルメットで完全防備。割れた竹が服を突き抜け肌に刺さらぬように厚手のゴアテックスジャケットを上に羽織る。だが、ゴーグルが見つからなかった。顔半分がガードしきれておらず、割れた竹が刺さったらちょっと怖い…。


戦闘棒・コンバットスティックは「バリスタ」ではなく、今回は竹!(笑)。約8mの剛竿です。


戦闘服の着替えを済ませTさんの家を後にし、集落ごとの寄り合いに参加する。決戦に備え、皆さんすでにベロン&ベロンに酔っ払ってます(笑)。俺は車で来ているので「今夜は飲めません!」。しかし、「飲まねば、負げっどー」と爺に勧められ、コップで日本酒1杯一気飲み。そしてお代わり一気飲み。気分が良くなってきて3杯目を催促する。今夜はお泊り決定! 「Tさんよろしくお願いします。大変申し訳ありませんが、泊まらせてください…」。

戦闘棒を持って町内を練り歩き、決戦の舞台に到着しました! すかさずヒット師匠がお酒を発見!

ヒット師匠、緊張をほぐすため「ゴク、ゴク」と一気飲み。俺も「おいちぃ…」。


イイ具合に酔いが入ったところで、戦闘開始! 「ブォ、ブォ」と戦闘の合図の木貝が鳴り響き、周囲が急にざわめき始める。「行げぇ! オラ」と怒号が飛び交い、サイレンの音と共に出撃です!

最初は勢い良く飛び込んだ管理人ですが、竹が「バチ、バチ」と交差し割れ、破片が飛び交い危なっかしくてしょうがない。それにあまり前に出過ぎても竹が交差して勢いよく振れません。次第に後退気味に。「引いて状況を見て、撃てるところでは狙い済まして強烈な一撃を! そしてすぐに引く。絶対に攻撃は受けない!」といった卑怯なヒットアンドアウエー作戦を展開(笑)。
一方、ヒット師匠は戦前は「状況を見て、ゆっくり行く」と言っていたのに、戦闘開始とともに一気に最前線に突撃! 勇敢に暴れまわっています(笑)。

Tさんに動画を撮っていただきました。お楽しみください。管理人はとんがり頭、開始直後は動画中央やや右寄りに映っています。1分5秒過ぎに引き気味になり、右側の竿を思いっきり振れるスペースに移動し、ヒットアンドアウエーで姑息に「痛恨の一撃」を狙う。
そして1分25秒過ぎ(画面右端)、1回戦終了の鐘が鳴っても打ち続けていると、後ろで見ていたおっさん飛び入り参加で俺の竹竿を掴む。「一緒に竹を握って威力2倍の大打撃を与えよう!」。しかし何を思ったのか?そのおっさん。正面の敵ではなく、右端にいた係員らしき人に竹を振り下ろす。ヘルメットで防備しているとはいえ、後ろから突然頭に攻撃を受け、首が「グキッ」といった感じに曲がった…。そして、おっさんが2発目を打とうと竹を再び持ち上げる。1発目は戸惑っていた俺だが、「このおっさん、日頃からあの人に恨みがあるのかも?」「祭りなんで無礼講。誰でも叩いていいのかな?」と思い始め、おっさんと力を合わせて振りぬく。耳を削ぎ取るような「痛恨の一撃でした!(汗)」。
そして3発目を打とうとした瞬間、係員が大激怒する! 「コノヤロウ!あばばxじしいxjぃすkks」、痛みと興奮で何を言っているのか分かりません…。すさまじい怒りに触れちょっとひるんでしまう俺とおっさん。1回戦が終了した。
もう、打ち疲れた…。
2回戦が始まり、戦闘は激しさを増す。ヒット師匠は相変わらず最前線に突撃し、もみくちゃの中でどうなっているのかも分からない。勇者よ、「無事を祈る!」。
一方管理人は、姑息なヒットアンドアウエー作戦に磨きがかかり、思えば1発ももらっていないような…。「敵を撃っては離れ」を繰り返し、標的が見つからなかったら自軍である北軍の人にも攻撃を加えてみたり…。好き勝手に楽しんでおります。

あまりに安全策をとっているので、酔っ払った乱入客に「行げぇ、おらぁ〜!」と背中を押されております(笑)。

2回戦が終了した。もう、疲労困憊だ…。
2回戦が終わると、願い事などが書かれた「天筆」を持った人々が中央に集まり、火をつける。


燃え盛る炎の中、クライマックスの第3回戦が始まる! 3回戦もTさんに動画を撮っていただきました! すぐに会場右端でもみくちゃの乱闘が始まり、収拾がつかなくなった。竹が割れ、いつ顔に刺さってもおかしくない危険地帯。これまで訪れた世界のどの場所より危険かも、ここ…汗。管理人、乱闘を避け、あくまでもヒットアンドアウェーに徹します!
しかし乱闘が激しく、あまり撃てる空間が見つからない。「どうしようかなー」と思っていたところ、TVカメラが戦場に突撃して来るのが目に入る。5社ぐらいの報道合戦、危険地帯に果敢に突撃! 「いくらなんでも突撃し過ぎだろー」と思っていた時、観客から「カメラマンを打でぇ〜!」との声がする! 「あっ、そういうのもありなんですね!」ということで、背後から勢いをつけてカメラマンに一撃を加える。「バチィーン」と凄い音がして、カメラを直撃! 壊れたかも…。そして2発目はカメラマンの耳を削ぎ取るような痛恨の一撃でした。カメラマンさん、ごめんなさい…。
そして、戦いは終わった。隅の方ではまだ乱闘が続いていますが、もう疲れて動けません…。あっ、自軍・北軍が勝利しました!

左から、カメラマンに徹してくれた黒兎さん。俺。地元のTさん。ヒット師匠。戦いの後はAM2時半までTさん宅で飲み会を開催。サクラマス鍋を突きつつ、地元の日本酒で暖まりました。皆さん、お疲れ様でした! ありがとうございました!

とってもおバカで素敵なお祭りでした!