8月5日
7年前に「黄金岩魚」を釣った。激ヤセで風格はないが、49cmのグットサイズ。黄金と言っても、「黄金鯰」の様なアルビノ&黄変固体系の色ではなく、渋い金色だ(「単なる環境による体色の変化ではないか?」と人は言う…。そんなことを初めから書いていたら、ドキドキ感はなくなってしまうが…)。

まあ、とにかく某所で釣った岩魚は明らかに体色が異なり、気になる存在。本日、調査することに!
ところで、本日からリールは「2011バイオマスター1000」にチェンジ。仕方なく使っていた「故障寸前のエアノス2500」の巻き重り感が尋常でなくなったためだが、ホントにルアー操作が楽になる。ロッドはまだエッグさんが我が家に忘れていったメバルロッドなんだが…。
かつて黄金岩魚を釣った源流は酷い渇水状態だった。深さは足の踝が浸かるぐらいで、岩盤上をチョロチョロと流れている。魚が隠れる様な場所がないばかりか、ルアーを通せるのはたまに現れるプールぐらい(といっても、ひと2人が浸かっていっぱいという狭さ)。おそろしくルアーの通せる範囲は限られる。そんな中、20cm前後の山女がポツポツと出る。


たまに小型の岩魚も混じるが、まったく普通の体色だ。黄金岩魚が現れてくれる気配は微塵もない…。
そんな中、川底にモソモソと動く奇妙な生物を発見する。「ヒキガエルじゃん!」。手掴みしてそっと岩場に置いた。そのグロテスクな風貌とは裏腹に、驚くと縮こまって身を固めてじっとしている姿が可愛い。こんな生態で、この先 生き残っていけるのか?

普段、マッディウォーターの野池でよく出会う米国産ウシガエルはなんか厚かましくて、自意識過剰に大げさに騒ぎ好きじゃないんだけど、ヒキガエルはイイ。「日本」のカエルだ。

ヒキガエルに癒され、源流調査を終了。下流の本流域に移動すると、中々良さげな流れ。黄金岩魚がまさに潜んでいそうな雰囲気。しかしだいぶ濁りが入っており、魚の反応は非常に薄い。

後日、もう一度調査に入ることを決め、山女1匹を釣ったところですぐに撤退。

本流域でもヒキガエルとよく遭遇した。出会った直後、ノロノロと逃げようとするが、逃げ切れないと分かるとすぐに諦めて、固まって動かなくなってしまう。写真撮影が非常に楽なカエルである。

天敵ヤマカガシから逃げ切れるのか? こんな生態で…。

黄金岩魚生息河川を離れ、カーナビ頼りにテキトーに山道を走らせる。良さげな流れを発見し、遡ることにする。水量は多く、大物が潜んでいそうなイイ流れだったが、魚は薄い。そしてルアーを追ってきても食い付かずにUターンすることが多く、スレている感じ。
400mほど遡ったところで、良さげ淵が現れた。何気なくルアーを巻いていると、水深1.5mに銀色の巨大な影。55cmぐらいのサクラマスではないか! この時期にルアーに反応するのか? 駄目もとでクルセイダー放って、川底を転がしてみるがやはり無反応。しつこく攻めていたら、ルアーの着水音に逃げ惑い始めた。後日、「銛を持ってきて突こう!」と心に決めて、車まで帰る。

車に乗って橋を渡った時だった。何気なく橋に書かれた文字を見て驚いた。「●●川」、冬にサクラマスを釣っていた雄物川の支流、最上流部だったのか…。あのサクラマス達が遡上してここまで昇ってきていたのか!? 「無事に子孫を残せよ」と心の中でつぶやいた。ついさっきまで、「銛で突こう」と思っていたんだが…笑。山女9匹・岩魚4匹の貧果ながら、非常に有意義な釣行だった。
ところで本日は秋田県最大の祭り、「竿灯祭り」の3日目。急いで市内に戻って、ビールを飲みながら見学する。夏祭り、イイね。

ほろ酔い加減でフラフラと、屋台が立ち並ぶ広場を歩いていると、「キラーカンTシャツ」の文字が目に飛び込んできた。「なぜこんな時にキラーカーンなんだよ」と思い、ふと売り子に目をやると、まさにキラーカン、その人だった(笑)。

昔、キラーカンといえば偉大なヒール。記憶に残るプロレスラーである。奇声を上げながら繰り出すモンゴリアンチョップとか、大巨人アンドレ・ザ・ジャイアントの足を圧し折ったニードロップとか、「懐かしいなぁ」。
そんなキラーカンが秋田の祭りでTシャツを売っていたことに驚いたのだが、ほとんどの人が素通りで誰も気にも留めていない風。「Tシャツを買った方にはサインしますよ〜!」と声を張り上げるが、お客さんが一人もいない…。ちょっと寂しさを感じていたところ、ついにひとりのお客さんが足を止めた。キラーカン風のお客さんだ…笑。

なかなか楽しい日であった。
8月10日
渓流釣行10度目。「1度歩いた区間では、ワンシーズン中は釣りをしない」と決めたので、段々とポイントが無くなってきた。秋田市近郊は粗方撃ってしまい、本日は残された数少ない区間の調査。
本流筋から開始して間も無く、ボサの影からグットサイズが飛び出す。

絞られた流れが岸辺にあたり、ボサがこんもり。ボサ際にスピナーを通し、一瞬の勝負。こんなポイントでキャストがばっちり決まり、きっちりと魚が捕れると満足は大きい。

釣り上がって行くにつれ、次第に山が深くなり、大岩が無造作に転がる幻想的な風景に。魚のチェイスも途切れず続き、至福のひと時。

次第に岩魚の方が多く釣れ始める。

大岩に流れを遮られ、白泡が立つ深み。スピナーをロングキャストで投入した直後、「グネ、グネ」という魚の感触が伝わった。ラインはナイロン6lb、ドラグを使わず強引に寄せる。約5秒で浅瀬に横たわったのは30cm前半の、渓流ではグットサイズの岩魚。写真を撮ろうとアタフタしていると、逃げられてしまった。無念…。
さらに悲劇は続く。パンサー5gを高切れでロスト。7月に入ってからずっと使ってきて、細かい傷がびっしり。183匹の山女の歯型が残る魂のスピナーをなくしてしまった(写真、上)。再び、無念…。
山女10匹、岩魚10匹を釣ったところで、突然の大雨で全身びしょ濡れ。川に濁りが入り始め、支流に逃げる。川幅1〜2m。良型がコンスタントに飛び出してくる。山女14匹・岩魚5匹を追加。

しかし、支流にも濁りが入り始め、次第に反応が薄くなる。

そして、雨上がり後は虻の大群が襲来。常時50匹ぐらいにまとわりつかれ、頭がおかしくなりそう。一瞬でも動きを止めると噛まれるので、ラインを結び変える暇もなし。奇声を発しながら、逃げるように車に戻り、しばし休息。
水の濁りと虻から逃れ、源流へ。夕マズメ、本日最後のひと時を楽しむ。

山女6匹、岩魚4匹を追加し終了。

あまり釣りに集中できなかったが、本日は山女30・岩魚19。「満足!」。帰宅後はテキトーに作った山女の煮つけをつまみに、ビールで〆。
