メコン川流域・滞在3日目、大魚を求めポイントを大きく変える。車で1時間、さらに小舟で1時間の移動。はにかんだ笑顔が素敵な、お子様の船頭さんです。

のんびりと川を遡り、やがて周囲50mに満たない無人島に上陸する。

島の周辺は深い所で約15〜20m、川底は砂地。川イルカの群れが頻繁に水面を割り、雰囲気はイイ感じ。早速、仕掛けを2本セットする。

餌は「プラー・ドゥ」という30cm位の鯰を生きたまま背掛けにしたり、時にはこんな魚を使ってみたり…(下写真)。

仕掛けをぶち込んだ後、暇つぶしにメコンに抱かれ水泳を楽しむ。そして、小魚と戯れたり…。

しかし、何度か仕掛けを投入し直すが、一向に本命のアタリはない。そこで一度、陸地の漁村に戻って、この先お世話になる居候先を探す。

川辺のとある高床式家屋にお邪魔すると、子供達が出迎えてくれた。

気持ち良さげにハンモックに揺られるお子さん。

そして何より気になったのが、なぜか? 居間で点滴をうける子供のお坊さん(笑)。点滴薬の色があまりに奇抜で、気になってしょうがない…。
午後から、家屋の主人に案内され、上流部の激流地帯を訪れる。主人曰く、「1mを超えるバガリウスが生息するポイントがある」という。漁村から舟でメコンを1時間遡り、陸地に降りてさらに岩場を30分ほど歩くと、「モノ凄い激流じゃん! 間違って落ちたら、死体は上がらなそう…」。

少し下流に行くと、流れが淀み、なんとかルアーを投入出来そうな深みがあった。崖の上から見下ろすと何匹かの魚影が見て取れた。中には80cmを超す大型のコイも混じる。カメラマンさん&ディレクターさんを残し、一人断崖を下る。「ほとんどロッククライミングに近いんですけど…」。
14gのスプーンを流れに乗せてユラユラと泳がす。手前の強い流れに差し掛かったところでスプーンが水面に浮き上がる。とその時、下から「ウワッ」と浮いて来たのはコイ科の大型魚。体の縞模様から、「カンボジアン・タイガーバルブ」か? が、食い付く寸前で見切られる。お隣タイでは個体数が減り幻となりつつあり、ワシントン条約で規制される怪魚、惜しかった…。

この日はそれ以外魚の反応はなかったが、ここは多くの魚をストックする一級ポイント。後日、「プラー・カスープ・チュ(タイ名)」が入れ食った(体の真ん中に黒い斑点のあるカスープの一種。タイの東北地方・ラオスに多い)。

そして、久しぶりに会えた「プラー・カー」という珍魚。10年ぐらい前は、タイでよく釣れたものだが、今では結構レアな魚らしい。漆黒のボディが美しい、素敵な珍魚。ここらでは普通に食用ですが…。
さて、夕暮れも迫った頃、激流部より少し下流に下って来た。流芯がぶち当たる大岩の陰に大鯰狙いの仕掛けを投入するが一向にアタリはない。岩の上に立ち、暇つぶしに小物を狙ってスピナーを乱射していたその時、見慣れた怪魚が水面に浮いてきて一呼吸した。「なぜ、こんな急流地帯にジャイアントスネークヘッドが!?」と驚きつつも、即座にポケットに入っていた小物用BOXから唯一使えそうなミノーを取り出し、次に呼吸に上がって来る瞬間を待った。
しかし、ミノーはサツキマス用の小型のもの。付いているフックは非常にヤワである。ボートまで戻り、大型ミノーに代える暇もなく、「まあ、いいか」という感じ。そして気が付くと、撮影班を乗せたボートがこちらに向かって来るではないか…。カメラを回すのはいいんだけど、もう15m進んだらポイントが潰れそうだ…。様々な不安が頭を駆け巡る中、ジャイアントスネークヘッドは再び呼吸のために浮いてきた!
キャストは呼吸のタイミングにピッタリと決まり、グリグリと巻き始めた直後に「ボォーン!!」と出で、ガッチリとフッキングした模様。ロッドはVT70H、ラインはPE50lb、心配なのはフックの弱さのみ。普通にのんびりファイトしていれば問題は無いのだが、足場から水面まで約3m、魚を自由に泳がせているとラインが岩に擦れそう。かといって、無理に寄せたらフックは一瞬で伸びるだろう。何でもないレベルの魚にかなりドキドキ。俺は撮影班のボートに助けを求めた。
と、その時、ディレクター氏が何を思ったのか、バケツを持って川に飛び込んだ! 2日間まともな魚が釣れず、編集サイドとして追い込まれていたのだろう(笑)。魚の口にはルアーのリアフックしか掛かっておらず、フロントが遊んでいて、顔面にぐっさりと刺さる危険性はあったが、なんとかバケツランディング(笑)に成功する。非常にドタバタな恥ずかしいファイトであったが、バラエティとしては良かったかなと思う…。

続きは6月15日放送のテレビ東京の番組、「所さんの学校では教えてくれないそこんトコ ロ!」でお楽しみください…。「母なる大河、メコンをゆく」完。