ForeverFriends迷夢

前回の沖縄料理の店が好評だったので、
今回も使いました。

Kさん、Sさん、Hさんと私の4人。

Nさんは義理のお父様が入院されて欠席。

Kさんは、何の話でも真面目で、
大事だと思うことはメモを取ります。
私のJRへの希望もメモしてくれて、
ご主人に伝えてくれるそうです。
内助の功だわ、偉いなぁ〜。

2件目のうどん屋さんでも飲みました。

同じビルで便利で、内装も良いのですが、
難点は階段がどこにあるか分からないこと。

非常口の明かりはエレベーターを指しています。

鰻の寝床のようなビルなので、
火事が起きたら助かりそうにありません。

駅に近くて便利なのですが、
次回までには安全な店を見つけておきたいです。

七夕の短冊が用意してあったので、
利用者の皆さんにお願いして書いてもらいました。

健康や平和を願う方が多かったです。

最近、よくお見えになる方で、
まだお名前を伺っていない方なんですが、
昭和4年生まれで、江東区に住んでいたので、
東京大空襲を経験していることがわかりました。
浅草にお嫁にいった二人のお姉さんの
ご遺体は見つけられなかったそうです。

本当の話っていうのは、こんなふうに、
ちょっとしたきっかけで、
ぽろっと出てくるもんなんですよね。

それを感じて、受け取るようにしたいものです。

病室に入り、Tさんに声をかけましたが、
目を開けてくれません。

呼吸がとても荒く、過呼吸なのか、
酸素マスクに手の平ぐらいの袋が接続してあります。

すぐに看護師さんが現れ、２日前から、
危ない状態に入っていると告げられました。

生きていても苦しいだけなので、
もう終わらせてあげたいと思ってはいたものの、
危篤が現実のものとなり、
最期まで個室に移らないのだと悟り、
涙がこぼれました。

ここ何回か会っている看護師さんが、
私に椅子を持ってきてくれました。
そんなことをしてくれるのは初めてで、
看取りの態勢に入っているのを感じました。

看護師さんが胃の管に注射を使って薬を入れると、
痛みを感じたのか、Tさんが目を開けました。

私が声をかけると、
Tさんがしっかりと目を合わせてくれました。

看護師さんが、
「BBさんが来るの、待ってたんだよね〜」
と言うと、Tさんの目に涙が滲みました。

Tさんは肩を大きく動かす呼吸に疲れ果てたのか、
下顎呼吸になってきました。

ナースステーション隣の６人部屋の廊下側のベッド。
ベッドを仕切るカーテンは全部開けたままで、
プライバシーはありません。
窓際の方には、いつも老齢の奥様が付き添われてます。
他の４人の方もかなり重篤なようですが、
お見舞いの方と会ったことはありません。

看護師さんたちは夜勤の方と交替して、
病院内は、だんだん静かになってきました。

Tさんの呼吸が止まり、思わず私が　
「Tさん」　と声をかけると呼吸が戻りました。

何度目かの無呼吸を、じっと見守っていたところへ、
看護師さんが、血糖値の検査をしにきました。

看護師さんが　「息してない？！」　と言うので、
私が　「先ほどから、時々、止まります。」
と話しているうちに、Tさんの呼吸が戻りました。

看護師さんは　
「痛いことばかりして、ごめんね〜」
と言いながら、Tさんの耳たぶをパチンと挟みました。

耳たぶには、たくさんの針の跡があり、
もう意識が戻らないと思われる老人の血糖値を
測る意味があるのかと思いました。

看護師さんが医師に連絡を取ったようで、
落ち着いた様子の女医さんが現れました。

「まだ尿が出ているから」　と言い、
心電図の電極の張り替えをしました。

顔には酸素マスク。
首には点滴の針が刺さり、
右腕は包帯を巻き、
左上腕には水銀血圧計のマンシェットが巻いたまま。
左手首にはナースステーションへの心電図の送信機。
胸にはベッドサイドのモニターへの６個の電極。
お腹には、薬を入れるだけになった胃瘻（いろう)。
足の指先には血中酸素を測定すると思われるクリップ。
ベッドの右側には尿の袋。左側には便だと思われる袋。
頭のほうには点滴の袋がぶら下がり、
足のほうにはモニターが置かれています。

以前に点滴の針がなかなか刺さらないと、
「もう何もしなくていいよ。」　と言っていたTさん。

個室じゃないので、
あまり声をかけてあげることもできず、
ただそばに座っているだけで、
たくさんの医療機器に囲まれながらも、
さながら野戦病院にいるような錯覚を覚えました。

青年期には、自由に生きることを許されず、
激戦地パプアニューギニアで地獄を味あわされ、

終末期には、自然に死ぬことを許されず、
まるで拷問のように身体中に機械を取り付けられ、

過剰な老人医療を批判してきたTさんに、
酷い仕打ちをしているように思えてなりません。

看護師さんが痰の吸引をしても何の反応もなく、
あんなに痛がっていた吸引をしても、
看護師さんが呼びかけても、私が呼びかけても、
もう意識が戻らなくなりました。

２年前に亡くなった父が目に浮かび、
『Tさんのこと、よろしくね』　と心の中で言うと、
『まだだよ』　と、父が笑って言いました。

Tさんに　「ごめんね、帰るね、ごめんね。」
と、そっとお別れをして病室を出ました。

今月の塗り絵は紫陽花。

絵柄は全員同じにしましたが、
色とりどりの紫陽花にしてくれました。

きょうは、職員の方が忙しかったのか、声かけが少なく、
皆さんの集中が途切れなくて良かったです。

KYさんは、塗り絵はしませんでしたが、
初めて自分から話をしてくれました。

私一人で訪問するようになってからは、
あまり時間を気にせずやっているので、
ついつい、遅くなってしまいます。

施設長さんが、電車の時間を心配してくれて、
バタバタと片付けて車で駅まで送ってくれました。

のんびりしていた私もいけなっかたのですが、
電車を一本遅らせても、帰りの挨拶は、
しっかり、ゆっくりやらせていただきたいです。

施設の方に感謝されれば、それはそれで嬉しいですが、
私は施設の為にボランティアしているのではありません。

入居者の方々それぞれと１対１の関係を築きたいので、
帰りの挨拶の時のひとりひとりの笑顔が、
ボランティアへの最高のご褒美なんです。

施設長さんには、きちんと話さないといけないですね。

この頃、お話ができる方が少なくなったので、
歌詞のプリントが役に立ちます。

お話が難しくなった方でも、
読んで、歌うことはできる方が多いです。

おやつの時間が近づくと、職員の方が、
童謡・唱歌のＣＤをかけて、
大きなボールをテーブルの上で転がす遊びをします。

うとうとしている利用者さんが多いので、
目覚めてもらおうとしているんだと思います。

流れる歌は妙に明るく、季節はずれなものが多く、
私はどうしたものかと戸惑ってしまいました。

職員の方が一生懸命やっているのは分かりますし、
実際、喜んでいる利用者さんもいますが、
さっきまで、私と一緒に歌っていたNHさんは、
黙って下を向いてしまいました。