中央自動車道を山梨方面に走ると、大月市辺りでいつも目につくのが岩殿山(634m)である。鏡岩という大きな一枚岩が、遠くから目立つので、気になる人は多いのではないだろうか。岩殿山を登るだけならさして大変ではなさそうなので、軽い気持ちで行ってみた。
この山は、9世紀末に天台宗の岩殿山円通寺として開創された。13世紀にはいると、天台宗系聖護院末の修験道センターとして栄え、その支配は今の山梨県の東部全域から静岡県にまで及んだという。16世紀に入り、岩殿山は武田氏、小山田氏の支配を受け山城となり、武蔵国、相模国からの侵略に備える戦略上の拠点となった。武田氏、小山田氏滅亡以降、徳川氏に利用されたが、17世紀末に廃城となった。その後、円通寺は明治時代の廃仏毀釈により、その長い伝統を絶たれた。岩殿山東麓には、様々な遺構が残され、日本修験道史上、また日本城郭史上貴重な資料とされている。
岩殿山は、公園として整備されているので、多くはコンクリートで固められた道である。これが有名な鏡岩。
山頂手前の城門の遺構。自然の岩を利用して作られていたという。
これが山頂。明治時代の陸軍大将、乃木希典の詩碑が残されている。この辺りの土地柄を示していると感じた。昔から戦略上重要な山だったので、戦勝祈願のために地元住民が建立したのだろう。
山頂付近はこのように平たく、倉庫や馬小屋、烽火台の跡が残されている。
下山途中にあった七社権現洞窟。
駐車場から山頂まで40分程で、気軽に登れて眺めの良い山である。

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