今年は平均すると毎週のように山に出かけていた。しかし、その殆どが岩登りか少人数もしくは単独山登りだった。今回は久々の大人数。しかし人数が多くなると色々なことが起きる。今回目指すは奥武蔵の高山不動と関八州見晴台。1人が遅刻して「後から追いつくよ」とのこと。先発隊は努めてゆっくりゆっくり登ることにした。
西武秩父線の西吾野駅を降りたが、商店はいざ知らず、家もごく僅か。谷底で日も当たらない。とても住むには大変そうな場所である。しかし、この駅が関東三大不動と呼ばれる高山不動の最寄り駅なのだ。
ちなみに関東三大不動とは、成田不動、高幡不動に、埼玉県加須市の不動岡不動ないし神奈川県伊勢原市の大山不動ないしはこの高山不動とされている。
コースタイム上では1時間10分程で高山不動に着く。一応車道も通じていて、周囲には小さな集落も。境内には樹齢800年の大きな銀杏の木が聳え立つ。
銀杏の裏に不動堂に通じる石段がある。この石段はとても急で、一歩一歩登る度に眼前の不動堂が少しずつ迫ってくるのだが、これは視覚効果を狙ったものかも知れない。かなり迫力がある。
登り切って改めて見る不動堂はとても大きい。そして風格もある。「この建物は何万人もの寄進により今から百数十年前に建てられました」という札が立っていたが、こんな山の中にこんな大がかりなものを作るのは、本当に大変なことだっただろう。見ているだけでも人々の思いの強さが伝わってくる。
高山不動は、伝承によると白雉5(654)年の創建で、現在は真言宗智山派に属する。本尊は軍荼利明王で毎年4月15日と冬至に開帳される。4月15日には火渡りの儀式も行われ、知人によるととても厳かな雰囲気らしい。是非一度見てみたいものだが、まだ叶わぬ願いである。
不動堂から登り30分程で奥の院のある関八州見晴台(771.1m)。もうすぐ山頂というその時、何とタイミング良く遅れてきた友人が合流! いやぁ、意外と簡単に合流できて良かった。
素朴な奥の院。そして360度の展望。新宿副都心や富士山、そして石灰岩採掘で痛々しい武甲山、神の磐座のような両神山などなど。しかも晴れていてとても気持ちが良く、気がついたら2時間程滞在してしまった。
下山する頃には周囲は暗くなっていた。楽しいことはあっという間に時間が過ぎてしまう。
帰りに寄った東飯能駅前の定食屋さんでは毎年11月初旬の飯能まつりに「是非来てよ」と誘われる。奥武蔵の集落は、また藤野とは違った雰囲気を持っているようで、この辺り、また訪れてみたいと思った。


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