3連休の後半、宇都宮の実家に帰省している友人を訪ねる旅に出た。何でも、寺好きの私に是非とも紹介したい場所があるとのこと。
レンタサイクルで市内の寺を幾つか回り、宇都宮名物の餃子を食べてから郊外の寺に出かけた。10ヶ寺近く見せて頂いたのだが、代表的な2ヶ寺を紹介したい。
まずは、坂東観音霊場19番札所としても有名な大谷寺。大谷と聞くと、まず大谷石を思い浮かべられる方が多いのではないだろうか。この辺り一帯は、火山灰から出来た緑色凝灰岩の広大な地層があり、古くから大谷石の産地として知られている。寺の縁起でも、昔、この辺り一帯が大小の岩で屏風のようになっていた頃、毒蛇が住み着いていて時々毒水を流し出していた。東国巡錫の折りにこのことを聞いた弘法大師が、この毒蛇を退治し、岩山に千手観音、不動明王、毘沙門天を彫ったのが寺の始まりとされている。810(弘仁元)年の創建とされる。
この大谷寺の門前に公園があり、第2次世界大戦後、世界平和を祈念して手彫りで6年の歳月をかけて作られた平和観音が聳える。
大谷石の岸壁に彫られた観音は、高さ27mで、慈悲に満ちた顔をしている。
公園を抜けると、岩壁に押しつぶされるような観音堂が現れる。
弘法大師空海の制作になると言われるこの日本最古の磨崖仏を紹介したい所なのだが、写真撮影は厳禁とされていた。興味を持たれた方は、是非直接見られたい。磨崖仏の付近からは、縄文時代草創期の約1万1千年前から弥生時代に至るまでの住居跡があり、何と、縄文最古の人骨も発見されている。この1万1千年前の男性の人骨は、宝物館で展示されている。
次に、北関東36不動尊霊場18番札所の多気不動尊。日光を開山した勝道上人の弟子、尊鎮法師により、大谷寺に遅れること少しの822(弘仁13)年に創建される。多気山の中腹にあり、より山岳信仰の趣が深い。
当初は馬頭観音が本尊だったが、宇都宮城9代城主藤原公綱により不動明王が本尊とされたという。現在は真言宗智山派に属し、下野修験の中核となっていて、5月には火渡り(今年は15日)も行われる。阿字観瞑想や写経をすることも出来る。


0