ここの所、公私共に超多忙でブログの執筆もままならない状態が続いている。本来ならば私は大厄の歳なのだが、災難に見舞われるのではなく、大きなステップがやってきているという実感がある。まだ形になっていないのだが、徐々にこのブログでもお知らせすることになりそうである。
そんなこんなで、忙しくて暫く遠ざかっていた山登り。お手軽ハイキングではなく、久々に山を登ろうと思った。対象は、山梨県は南アルプス。俗に安部奥といわれる山域にある七面山。と紹介するよりも、身延山のさらに奥に位置する富士山とご来光が有名な山と言った方が分かりやすいかもしれない。そう、この山は、春分と秋分の日に、丁度富士山のてっ辺から太陽が登り、その光は七面山を真っ直ぐ貫いて出雲大社に抜け、果てはインドまで届くのだという、兎も角、神仏混ざった有難い場所なのである。それは、何も私が揶揄して言っているのではなく、昔からそういう場所であったということである。
私の友人は、この身延山や七面山にとても縁の深い青春時代を過ごしたのだが、彼によると、身延山の近くにある下山という地域、この辺りは修験道の行者が沢山いたところなのだという。七面山も、現在は日蓮宗の重要な聖地であるという位置付けであるが、祀られているのは七面大明神という龍神である。七面山の山頂付近にある一ノ池に棲むというこの龍神が日蓮に帰依したという伝説から、現在の七面山信仰は始まっているが、それ以前にも修験道の聖地として、あるいは遥か彼方は、太陽信仰、山岳信仰における重要な場所であったに違いない。兎も角、「ここは何か違う」ということを感じさせる山である。
前置きに気合が入ってしまったが、登りは、表参道を選択する。登る前に白糸の滝に寄って行く。友人もこの滝に打たれたという。この奥にある雄滝では、弁天堂の管理をしているおばさんに「打たれていってもいいよ」と言われるが、また次回ということで。
表参道入り口。杉並木が続いている。道は階段状であるが、ひたすら登りのため結構しんどい。
所々にこのような坊があり、休憩することが出来る。
写真を撮影する余裕もないまま、無我夢中で登ってみれば4時間半。9時半に登り始め、14時に到着した。コースタイム3時間半で、途中休んだり昼食も食べているので、今回の山登りは「頑張ったな」という感じである。本日の宿泊地である敬慎院の山門。
夕食は17時からなので、宿泊手続きは後にすることにして、もう少し登ってみることにする。唐松林の美しいこの辺りは標高1700m。
脇道をちょっと入ると、目の前に「大崩れ」(オオガレ)の凄まじい光景が!
かなりの規模の山崩れである。しかも、立っている私達の足元の先をよく見ると、「道が崩れている」。この写真右端の木にご注目いただきたい。弓なりに生えているということは、下がどんどん崩れてきているからである。超危険な場所なのだが、何故か魅入ってしまう。自然の力とは物凄いものである、と改めて感じ入った。
敬慎院の本堂。七面造という独特な造りの屋根。手前にいる白装束の人達は立正佼成会の人達。七面山に信仰の為に登る人達は、この様に白装束を着たり、襷をかけたりしている。私達一行も、ここでは友人が「本願人」となった一行4名ということで、山登りではなく、登詣をしているという位置付けである。
本堂裏手にある一ノ池。こんな高いところにこんな大きな池が。とても不思議である。
宿は相部屋だが、一緒になったおばさん2人組とすぐ仲良くなる。1人は七面山登詣、なんと通算100回以上。若い頃は毎月登り、21日間参篭したこともあるという。もう1人の方も「70回位かしら」。その他、小学生の子供を連れたお父さん。以上8人が1部屋で、横に長い掛け布団と敷布団でみんな仲良く4人ずつ寝るスタイル。食事は17時からなのだが、驚いたのが、お酒が出たことである。それも夕勤の前。結構フランクな宗派なのだなと感じた。
19時から夕勤があり、20時頃から七面大明神と縁を結ぶ御開帳という儀式を受ける。詳細は控えるが、特に御開帳は日蓮宗の儀式というより、七面山信仰の儀式といった趣がある。
21時には消灯し、翌日は4時おきで御来光を拝むというタイムスケジュールである。あっという間に初日が終わった。

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