築30年の新居は、住めば住むほど手直しが必要な箇所が出てきて、ここの所、平日夜はネットで情報収集、週末はホームセンターに出掛け、テーマを決めて、今日は水道の水漏れを治すであるとか、今日は庭の草を刈るなど、忙しくしていた。この週末は、連れ合いに頼まれていた網戸の立て付けが悪いのを治すことに成功してほっとしているところである。しかし、次の課題がどんどんやってくるので、いつ終わりが来るのか分からない。もしかして、ずーっとこのままなんじゃないかと思う。まぁ、これを楽しめるようでないとね、と最近は幾分余裕も出来てきたかな。
しかし、週末はずっと日曜大工というのも何だなと、気分転換に山に登ろうと思ったのだが、家の手入れがずれ込んでそれも出来なくなってしまった。せめて山の気分を味わおうと選んだのが、山梨県大月市真木から山の方へ延びる真木小金沢林道上にある大峠。ここにドライブすることにした(本当は、この大峠から500円札の富士山で有名な雁ヶ腹摺山に登りたかったのだが、また今度ということで)。
甲州街道の真木交差点を北上すること約15キロ。時々対向車がある程度で、当日はもやがかかっていてとても幻想的な雰囲気になっていた。高度を上げれば上げるほど、山深い雰囲気が出てくる。
大峠は標高1560m地点で、駐車場や休憩所、水場もある。大峠から小金沢連嶺の黒岳方向を望む。
古来からの森、という雰囲気が漂っている。半袖で行ったのだが寒かった。
御硯水。とても冷たくて美味しい。
僅かな滞在時間だったが、とても気持ちがよくて、山に登り始めた頃のことや、藤野に住もうと思った頃のことを思い出していた。
しかし、その一方で、知人からこの大峠の小菅村側へ降りた辺りがホットスポットになっているという話を聞き、自分のガイガーカウンターで測ってみたところ、この様な値であった。安物なので、この値をそのまま信じるということをしなくてもよいとは思うが、福島第1原発事故の影響は明らかである。
山に登り始めた頃、海もそうなのだろうが、山というのは様々な命が育まれ、連鎖している場所なんだと痛感した。都市は、山や海から遠い遠い場所にある。都市は大きな電力が必要とされる。藤野の近くに日本で最初の近代的なダム、相模ダムが建設され始めたのは戦時中のことである。やがて、原子力発電所が日本の電力の3分の1を発電するような時代を迎えるが、バブル経済崩壊以降続く社会の先行き不透明さに、日本はこのままでは行かないだろうと様々な人がそれぞれの立場で感じていたところに、今回の原発震災が起きた。
自分にとっての山登りの原点を感じたと同時に、その山の中にも放射性物質がそこかしこに散乱しているという現実。これをどう考えるのかということを改めて突きつけられた次第である。

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