梅雨入りはしたものの、梅雨らしからぬ晴天が続いているので、山登りに出掛けた。今回は、名前こそ少年の頃から知っているが、実際には登るのは初めての杓子山(1597.6m)である。
杓子山は、山梨県富士吉田市、都留市、忍野村の境にあり、富士山の眺めの良いことで知られている。少年の頃、夏休みと言えば富士吉田のお婆ちゃんの家に厄介になっていたが、杓子山は登ったことこそないものの、その麓に鉱泉があることが親戚の話の中で時々出ていた。鉱泉に行ったのか行かないのかは記憶は定かではないが、山には登ったことはない。ふと思い立って、30年程前からのミッションを成し遂げるような気持ちで訪れた。
山登りとは言っても、麓の不動湯先の林道終点から40分ほどの林道歩き。峠から30分程の登りで山頂だから、とてもお手軽なものである。気軽な気持ちで登り始めたが、予想と違っていたのは、もう蝉が鳴き出していた事。そう、意外と暑かったのである。
一見、独活に似ているのだが、どうも違う。茎を切って嗅ぐと独活のような青臭い匂いがする。持ち帰って調べてみたら、猪独活(ししうど)であることが分かった。猪独活は山奥に行かないと生えていないらしいが、ここ杓子山では雑草レベルで沢山生えていた。少し苦くて独特の風味があるようで、あんまり食用にはされていないようだが、西洋ではアンゼリカと言って、茎を砂糖漬けにしてお菓子にしたり、リキュールに香味をつけるのに使われているようである。また、薬用にも使われる。明日葉(あしたば)もシシウド属であるという。
ちなみに、独活はウコギ科タラノキ属であり、シシウドはセリ科なので、見た目は似てはいるが結構違う植物であることも分かった。
大権首(おおざす)峠より忍野村方面の眺め。
椚の葉の透過光が綺麗だった。
意外と急登であったが、程なく山頂へ。本日は、富士山は雲の中に隠れて見えなかった。
あっけなくミッション達成であったが、初夏の山をのんびり楽しむことができた。帰りは、同じく富士吉田市内の暮地にある白糸の滝に寄った。しかし途中で雨が降ってきて、滝の写真は満足に撮れなかったので、また次回にて。山道に三十三観音がある。表情が気に入ったので、おまけで1体紹介しておく。


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