週末は、同じ神奈川県とは言っても海側の湯河原町にドライブに出掛けた。私達が親しくさせていただいている藤野在住の絵本作家いまきみちさんの展示会&スライド上映が主な目的なのだが、折角なので、近場で立ち寄れるところはないものかと探し、まずは不動滝に行ってみることにした。
湯河原温泉郷の奥、無料駐車場から1分で不動滝がある。
この手前に茶屋があるのだが、ここで食事をすると足湯に入ることが出来る。これは嬉しいサービスである。ここの源泉は70度以上あり、とても熱い。茶屋のおばさんが、お湯の量を微妙に加減してくれて足裏から体を温めることが出来た。
さて、この不動滝はとある世界では、世界的に有名な場所である。一体何故有名なのか? 実はこの不動滝は、湯河原沸石という新鉱物が発見された場所なのである。鉱物は、新しく発見された場所が原産地になるので、この石は湯河原が原産ということになる。この石の中の白い部分が湯河原沸石。これは茶屋で見せてもらえるが、あんまりよい標本ではない。
結晶が良く分かる写真はこれである。
http://www.weblio.jp/content/%E6%B9%AF%E6%B2%B3%E5%8E%9F%E6%B2%B8%E7%9F%B3
沸石といえば、学名をZeolite(ゼオライト)と言い、放射性物質を吸着する装置に使われているので、最近その名を聞いたことある方もおられるのではないだろうか。
さて、この湯河原沸石の発見の経緯を紹介しておきたい。アマチュア鉱物学者の櫻井欽一氏が、1930(昭和5)年の春、祖父のお供で湯河原の温泉へ行き、不動滝付近で美しい沸石の結晶を見つけた。長くて申し訳ないのだが、櫻井氏の回想をその著作から引用してみる。
「…当時私は旧制の中学生で、何であるかわかりませんでしたが、小学生時代から好きで鉱物をあつめていたので、この美しい結晶をみつけ大よろこびいたしました。ところが家へ帰っていろいろしらべてみましたが、どうやら沸石の類らしいとまではわかっても、本にのっているどの鉱物にも合わないので、自分勝手に湯河原沸石という名前をつけておきました。その後私は家の商売をつぐため上の学校へ行くことができなくなりましたが、鉱物のことは一日も忘れず、たくさんの参考書を次々によみふけり、又ひまがあれば博物館へ行って陳列の鉱物をあかずにながめておりました。(中略)さて、終戦後、私は親友の林瑛(アキラ)君を始め反田(ソリダ)栄一君、下田信男君の協力で、再び湯河原沸石の研究に着手し、とうとうこの鉱物が世界中のどこにもなく、湯河原温泉のほんの一部分だけにしか出ない新しい種類であることをつきとめ、昭和27年、専門の雑誌に発表いたしました。」
ということで、この鉱物好きの少年が発見した湯河原沸石は、日本で4番目に発見された新鉱物となったのである。
話が大分逸れてしまって申し訳ないのだが、同じ湯河原に「飛ぶ魚」という金、土曜のみ営業しているギャラリーがあり、そこが本来の目的地である。
ギャラリーは真鶴半島が見える高台にある。この真鶴半島という場所もかなり面白い場所のようで、天然記念物の照葉樹林帯など自然豊かな場所である。ギャラリーで聞いた話では、この半島にある貝類博物館もなかなか凄そうなコレクションを持っているようである。
展示内容は、刺繍と染めで絵を書くという独特の技法を持っているいまきさんの原画展と、フィリピンのカオハガン島という島で作られているキルトの展示。写真撮影はしなかったので、お近くで興味ある方は直接足を運んでみて下さい。とりあえずいまきさんの絵本に出てくるキャラクターをモチーフにしたクッキーを紹介させて頂きます。来年5月に、いまきさんの連れ合いの西村繁男さんの展示会も行なわれるということで、また来ることになりそう?


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