本日で私の賃労働も終わり、ほっとしている。今年も激動の年で、今年を表す漢字が「安」などとは到底思えず、むしろ「厳」ではないかと。戦争法案をはじめとして、きな臭い動きが各方面で起き、それに対する異議申し立てを子どもとともに行った1年であった。いずれを向いても厳しい中、東京電力にスマートメーターをアナログメーターに交換させたのは、誠にささやかな勝利だった。
子育てが生活の軸なので、自分の本を読む時間はかなり少なくなり、読む本を厳選するようになった。厳選に厳選を重ねた中で、今年読んだ本のベスト3をあげるとすれば、1位は「チェルノブイリの犯罪」(ヴラディミール・チェルトコフ著、緑風出版)。上下巻併せて1200頁という大著だが、史上最悪の原発事故を隠蔽しようとする国際社会の圧力と、崩壊寸前のソ連邦で体制内から反旗を翻した物理学者ネステレンコと医師バンダジェフスキーの闘い。これに、福島第1原発事故を抱えた日本の現状を重ね合わせて読むと、痛いほどこれからの展開が予測される。そして、どういう闘いが必要なのかも。大げさではなく、人類が進むべき道はどこなのかを深く考えさせる。
2位は、「私の1960年代」(山本義隆著、金曜日)。東大全学共闘会議議長として東大闘争を闘った著者が、単なる回想録にはとどめず、科学技術と資本主義と政治権力の関わりについて暴露する。読んで驚いたのは、もう70歳を過ぎた著者が、あたかも青年時代に書いたと錯覚するような、みずみずしい感性が随所にみなぎっていることである。出来るのであれば、このような年の取り方をしたいものだ。3位は、「水俣から福島へ」(山田真著、岩波書店)。青年医師連合として東大闘争を闘い、現在は小児科医の著者が、これまで関わった公害闘争を振り返る。「これ以上、人を切り捨て続けると、この国には完全な破局が訪れる」と渾身の警告をする。
さて、来年も、子どもや連れ合いや仲間達と楽しく暮らし、自分に嘘をついたりごまかしたりすることのないよう、社会の不正を見て見ぬふりをしないよう、生きていきたいと思っている。
いつの間にか庭の紅梅が咲いていた。


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