
『クリスマスの約束』の放送文化基金賞の受賞理由で、眼が釘付けになったのが「音楽が個人を分断する道具となってしまったと言われる今の時代に」というくだりでした。「繋がり」や「共有」といったことはすぐにわかるのですが、その背景に「分断」があるということに今まで思い至らなかったからです。
言われてみれば、思い当たる節があります。わかりやすいのは、携帯音楽プレーヤーでしょう。イヤホンをされると、なかなか話し掛け辛いものです。
音楽で人と人とを繋げていくはずのライブイベントで、目当てのアーティスト以外の出演者に一切興味を示さないという残念な光景に出くわすこともあります。「私、小田さん以外は興味無いの」と言い放ったおばさまのことが忘れられません。以前、くるりの岸田さんは、最前列で対戦ゲームに興じていた若いカップルを振り向かせることがとうとうできなかったと悔しがっていました。
演奏する側にとっての「分断」がどんなものかは、なかなか想像することができませんが、「昔は嫌いなものだらけだった」という言葉から察するに、小田さん自身も忸怩たる思いがあったのかも知れません。
今回の受賞は、『クリスマスの約束』の意義を改めて教えてくれました。
ありがとうございました。
そして、おめでとうございます。

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