その人とはこの数年会っていなかった。
年賀状のやり取りだけは続けていたけど
でも、いつでも会えるのだと思っていた。
会ったら あっというまに 昔に戻れることもわかっていた。
コンサートを終えて ウチアゲで呑んだくれてるときに
「林 新くんが亡くなった、明日 告別式」
というメールがはいって
イッキに酔いがさめ・・・ウソ・・ さらに呑んだくれた。
翌日、二日酔いで行った告別式
なつかしいその人は、棺の中にいた。
わしが以前バイトしていたNHKで
「NHKスペシャル 北極圏」 という1年間のシリーズがあった。
準備期間、ロケ期間も長かったので
5年くらいの 長ーいプロジェクトだった。
NHK一の名物ディレクターだった秦さんをリーダーとして
30代の 生きのいいディレクターの兄さんたちが
大車輪で働いて 北極圏へガンガン ロケに行っていた。
みんな すげー仲が良くて
めちゃ働いて 呑んで食べて ケンカもして
一緒に旅行へも何度も行って
ほとんど家族みたいだった。
秦さんがおやじで むすこの兄弟たちが
競い合い また助け合ってた。
その兄弟の1人、ディレクターの林 新(あらた) さんは
見た目ぼくとつだけど すげーあったかくて気配りの人で
人を絶対 悪く言わなくて いつも照れくさそうで
その姿を思い出すとき 照れた笑顔しか出てこない。
闘病してることは 聞いてたけれど
今年 かなり悪くなってきたのだけど
誰にも言わないように 家族にゆうてたらしい。
みんな忙しいだろうから密葬でいい、ともゆうてたらしい。
林さんらしいわー らしすぎるわー
来てる人たち、みーんな
「そんなに悪かったなんて・・・」 と
突然すぎる別れに とまどってたやないかーい
最後の日々
延命治療をしていれば まだ何ヶ月も生きられるところ
林さんは 「ぜんぶはずしてください」 と言ったそうで
すべてはずして 1週間がんばって
最後は 最愛の奥さまの腕の中で旅立ったそう。
秦さんがロケ先の事故で逝ってしまい
林さんもまた 秦さんのそばへいってしまった。
今ごろ 再会して 秦さんが林さんにお説教してるかなあ。
「お前な、まだ早いよ! って俺もだけどなー」
わしの 音楽人生とはまた別の
NHKでのバイト人生。
演奏家として まだまだひよっこだった頃。
(あ、今でも ろくなもんじゃないよ!)
周りのみんなが やさしくてカチョよくて楽しすぎたから
わしも がむしゃらに働いて いっしょに呑んで遊んで
今思えば あの時間はわしの青春そのものだったと思う。
(@⊙ლ⊙)ブッ はずかしいがゆわせてくれい。。
あの頃があまりに幸せな時間だったから
今でも 当時のことをよく夢に見る。
もう戻れない日々
もう今はないプロジェクト・ルーム
みんなで呑んだ飲み屋の座敷
林さんがわしを呼ぶときの 「やまちゃん!」 という声
あーー、遠くへ来ちゃったなあー
そんでも、ああいう宝みたいな日々を過ごせたこと
思い出すだけで 心がほっこりあたたかくなること
そんだけで わしゃー幸せだー
林さんよお、本当にお疲れさまでした。
いっぱいお世話になりました。
どうぞ安らかに いつかまた会えるときまで。