今回の記事は「スタットボルト折れ」

お客様に伺うと「排気漏れしてるような気がしたので締めたら折れた」と

根元からポッキリいってますね。
さて、根本的に
「排気漏れをしている」=「スタッドを増し締めする」
と考えている方がやたら多いようです。
たとえばガスケットを新品にして熱が掛かり沈み込み(なじんで)などでナットが緩んだ場合は規定トルクの範囲で増し締めは良いでしょう
良くありがちなのはマフラーを外して再度取り付けたとき、または交換した場合にガスケットを交換しなかったために排気漏れを起こした場合。
安易にぐいぐい締めこむ方が多いようですね。
考えて御覧なさい
たかだかM6x1.0mmのケースカバーなどのボルトと同じサイズ
標準締め付けトルクは0.8〜1.2kg-m(8〜12N.M)
過剰トルクで締めれば折れるのは当たり前ですね。
CB400Fの場合集合管の取り付けに後ろ側は何も無く
スタットボルトだけで固定する場合、ぶら下げているわけですから
応力が集中するわけです。=折れやすくなる。
それこそ、そのような状態で使うなら車検ごとにスタッドボルトは交換することを推奨します。
当店のエンジンO/Hではスタッドボルトはもれなく交換します。(消耗品と考えるからです。)CB400Fのみ実施
さて実作業ですが、センターに穴を開けて逆タップでトライします。
ここで大変なのが、確実にボルトの真ん中に穴を開けないといけないのです。
逆タップでも抜けないくらいねじ山が固着している場合には
そのまま拡大してボルト部分を削り取りヘリサートを入れますが
これが偏心して穴を開けてしまい拡大していくとそのうちやわらかいアルミの方へドリルの歯が逃げてしまい、収拾付かなくなります。
これまでにそんなおっつけ仕事のエンジンを多数見てきました。
また、やりづらいフレームの両サイドのボルト折れの場合は躊躇無くエンジンを降ろします。
やりづらい状態で無理に作業すると失敗する確率は増えます。
確実な作業を最優先とします。

今回は逆タップで何とか取れました。
(渦巻状の逆タップは使いません、結構折れるようなのでホンダSF時代からKOTO製を使っています。これは折れる前にエッジが負けてくれるので使いやすいですね)

お客様に確認するとこれまでに交換したことがないとのこと
すべてのスタッドボルトを交換します。
後で折れて処置にお金が掛かるよりも、何事もそうですが先を見据えて新品に替えておく大事なことですね

この車両もマフラー後ろ側はステーなし
定期交換するようにアドバイスしたのはいうまでもありません。
中には、スタッドへの負担を懸念してステー製作の依頼も
これはBRC管にステーをつける作業の一コマ

レーザーで抜き、折り曲げたステーをマフラーに合わせているところ
ぴったり決まれば内側にナットを熔接、ステーをマフラーに熔接し
耐熱ペイントすればOKですね。
面倒なのはマフラー自体に個体差が有り同じステーをたくさん作るわけに行かず
1台づつ合わせないといけないことですね
3/24更新
完成したのがこれ
398なのでフレームとマフラー間に純正ステーが入ります。
