最近、CB400Fのキャブレターの単体O/Hの仕事が増えてきました。
車両ごとお預かりでのキャブO/Hを含めると毎週のようにキャブを組み立てています。
本日もブログを見て問合せを頂いたお客様
純正キャブが2個あり、いきつけのお店で
元々付いていた方は「動かないからNG」、スペアで買った方は「腐っているからNG」とダメ出しをされたとのこと
まずキャブを見てみると
ステープレートのカラーのストッパーボルトが折れている!

ここは本当に良く折れる為(強固に締まっていることが多い)
当店でも手をつけない場所です。
外すのは厄介で、ステープレートのかしめてある位置決めピンを外し、ステープレートのO/Hが必要になります。
「動かない」とダメだしされた方を分解していきます。

おおっと、その前に#2キャブのアームのボールジョイントがずっこけています。(赤丸)、ダストプレートBが切断されている為に変に力を掛けると外れてしまいます。

黄丸:ダストプレートBが切断されている同調調整部
青丸、赤丸:緩み止めのタングドワッシャーが入っていない?何処へいってしまったか?

キャブ間のフューエルジョイントのOリングは交換した形跡は無し
単にフロートチャンバー、トップキャップを開けただけの洗浄だったようですね
フロートチャンバーを外してみると、社外品のリペアキットが組まれている
ただし、ガソリンの匂いがしない!ガソリンを流し込んでもいないのか?
分解完了、これから洗浄し、メッキに出すものは出して、足りないものはもう一個のキャブから頂いて(いいとこ取り)で仕上げていきます。
当方の所見では、このキャブで問題なく組めるでしょう。
腐っててNGと言われたもう一方のキャブ

確かにフロートチャンバー内部はすごいことに.....
異臭騒ぎが起きそうです。
こちらもO/Hすれば充分に使える可能性は高いです。
がしかし、今回は部品取りにさせていただいて
万一、調子が出なかったらこちらをO/Hして使うという二段構えの作業が出来ます。
良く聞く話、「純正キャブは調子が出ない」なんていわれていますが
きちんとセオリーどおりにO/Hして交換すべき物を交換すれば調子は出るものです。
もちろん使う部品も吟味しなければいけません、精度が必要な部位です。
そんな中でほんの一部なにをやってもダメなキャブがあるくらいです。
5/31更新
構成部品をチェックしているとアームが曲がっている、全部が微妙におかしい
分解前一箇所外れていたし無理に外そうとしたと思われる。

上が曲がっている、下は健常品
もう一方のキャブを分解してアームを外して使うことにする

スロットルバルブ、ジェットニードルがガソリンの変質したタール状の物質で固着
「動かない」とはこちらのキャブだったのか!?
これも無理に外そうとすると破損の原因になります。
スロットルバルブ下側に傷が有る場合がありますが、こんな状態のときにマイナスドライバーを突っ込んで無理やり動かしたのでしょう。良い子は真似をしないでくださいね。
キャブクリーナーを掛け浸透し溶けるまで、掛けちゃ放置、掛けちゃ放置で長期戦で無理無く動かすようにしましょう
(もちろん当店では秘密の方法で作業します。)
組立前のキャブレター(この記事のキャブではなく別なお客様のです)

フルO/Hの場合完全分解しますからこれだけの部品点数となってしまいます。
(このキャブはステープレートのO/Hも行います。=ここに来てやっとステープレートのO/Hの目処がたちました。位置決めのピンは着脱式なので定期メンテナンスが可能になります。)
分解できるところは分解し、完全洗浄して、必要なところはグリスUPして、きちんとした部品で組み立てる。
膨大な時間は掛かりますが、調子よく、軽くなります。
「せっかくやるならとことんやらなきゃ損だぜぃ!」
6/1更新
フロートチャンバー用ビスのねじ山が上がっていて長いビスとナットで留まっていることもよくあるのですが、このキャブもほとんどがNGでした。
怪しい部分も含めてヘリサート修正を行います。

光っているところがスプリューの入ってる修正部
慎重に組み立ててさぁ出来上がり♪
この後、ガソリンを送りオーバーフローのチェックをし
車両につけてプリセッティングして〜走行テストして問題が無ければ完成です。
今回もタイムリーにエンジン不調の依頼車両が入庫しているので、装着し、テストします。

(Y様長らくお待たせいたしました。もうすぐ完了〜発送できるかと思われます。)