最近、キャブレターのO/H依頼が増え続けています。
特に単体O/H
持ち込まれるキャブレターもさまざまで
今まで乗っていて梅雨で乗らないからと外して送ってくる場合
部品取りで持っていたキャブレターを送ってくる場合
(これは前回ありましたね3個から2個仕上げたもの)
今回のは強烈です。
ストックしていたキャブをO/Hして欲しいということですが
(インターネットオークションで買ったものらしいが.....)
送られてきたキャブを箱から出して
覗いてみて絶句!
「こりゃなんやねん!」

スロットルバルブが破壊されています。
また、ニードルも傷が入り、ニードルジェットの飛び出た部分もさらには周辺ボディまで傷だらけ
「何がしたいねん!」
といった感じ
まぁ、簡単です。
長期放置して、腐ったガソリンでジェットニードルとニードルジェットが固着
スロットルバルブが動きませんから
マイナスドライバーを無理に差し込んで
こじったに違いありません
っていうか内部が酷いことになっていればフロートチャンバー内を見ればわかることですが
「安易になにも考えず、思いつきで作業したのでしょう。」
結果キャブは使い物にならなくなります。
今回は当該キャブボディ(x2)とスロットルバルブは当店ストック品を使用しますが
どんな細かいものであれ、絶版部品はストックにも限りがあるため決してお安くはありません。(できればちゃんぽんはしたくないのですけどね〜)
気を付けないとこんなものをつかまされることもあるのです気を付けたいものです。
もう1件これは長崎県からはるばる依頼が来たキャブレター

マスターシリンダーはリビルトの依頼
インナーキットを外すのに専用のサークリッププライヤーが必要であり
外せないので中身入りで送られてきました。
表面処理は「アルマイト」と「耐フルードペイント」と選べますが
やはり「アルマイト」が人気です。
あの紫がかった黒色は堪らないですよね〜
しかしながらシリンダー内部の状態で仕様は具申させていただいております。
多少なりとも腐食痕があればアルマイトではさらに荒れてしまう場合があり
荒れが酷くなりそうな場合は耐フルードペイントをお奨めしています。
さらに状態が悪い場合は止めるよう説得します。

キャブレターは腐食などは無く良い状態、ニードルジェットも極限まで磨耗しているわけではない状態(大概が真円でなかったり、やたら大きくなっている)
また、依頼事項は「純正パーツを使ったO/H」、「美観も大事なのでステープレートのO/H」といった内容。
出来上がりが楽しみです。
さて、以前のブログではるばるアメリカからキャブレターのO/Hの依頼が来たことを書きましたが
装着して、インプレッションが届いたので紹介します。

「おはようございます
キャブのO/Hでお世話になったxxです。
インシュレーターを固定するネジが
長年の熱膨張の繰り返しで固着してしまっており、
下手にイジってエンジンの母体を傷める前に、
近所のホンダのお店で取り付けてもらうことにしました。
お店の人曰く、
"He did such a great job!"
「素晴らしい仕事だっ!」と感嘆しておりました。
そして、本日ようやく愛車があがってきました。
さっそく、エンジンに火を入れますと、軽くセルで一発。
タコの回転数は1200rpmを指し、静々とアイドリングを奏ではじめました。
回転上昇後、そして下降してからのアイドルも落ち着いており、
O/H前に気になっていた、不安定さは皆無です。
試乗し感じたことは、以前よりも格段にパワフルになったことです。
以前はもたつきがあったので、レスポンスがワンテンポ遅れていたのですが、
今はスロットルを開けたら開けた分だけキッチリかえってくるカンジです。
加速も申し分ありません。
とにかく、大満足しております。
塩畑さんに感謝感謝です!
これでまた自分のバイクをさらに信頼できるようになりました。
ありがとうございます。
PS. フロートチャンバーの下側の曲がったパイプは、
自力でやってみましたが、壊すのを恐れ断念しました。
こちらのお店の人もやりたくない仕事だったらしく、
リークがないかぎり大丈夫、ということでそのままにして
取り付けました。」
手前味噌ではありますが、このようにメールを頂けると「メカニック」冥利に尽きますね。
最後のPSの件は、現地についたときにオーバーフローパイプが一箇所曲がっていたとのこと
発送はEMSを使っていて「郵便局」だから大丈夫だろうと普通に国内で送っているような梱包で送ったら
現地の郵便局は「投げる」「落とす」は当たり前だとか
S急便で送るときのように厳重に梱包しないといけないようです。