このような問い合わせを頂きました。
「当方CB400Fを友人から譲ってもらいましたが、
ド素人の為、いろいろそうだんにのっていただきたいのですが....」
いきなりお預かりして万一不具合箇所が多くて
とんでもないことになってしまってビックリしてはいけないので
「まずは一度乗ってきてみせてください。」と
「簡単なものでクイックで対応できるものならお待ちいただいて作業しますし、
重症であればその場で修理予約を入れていただいて
後日持ち込んでいただければよいでしょう。」
と説明をして。
お約束頂いた日に現れた車両がこちら

高年式車の足回りが使われている「ハイブリッド仕様車」
まず、ご自身で気になる部分を伺うと
「リアブレーキが効かない」

はは〜ん、これは効かないでしょう!
マスターシリンダーに対してロッドが斜めになっています
スムーズに動くわけありません
リアマスターシリンダーの位置決めは非常に重要で
ペダルの動きに合わせてロッドがきちんとマスターシリンダーに対して無理なく動かないといけませんね!
またブレーキスイッチの位置に注目
スイッチの角度に対して引っ張るスプリングは真下を向いていました。
きちんと引っ張られないから動きが悪く、
ブレーキランプが点きっ放しになったりしています。
これはダメダメですね〜。
キャリパー側のトルクロッドのピロボールも曲がっている。

試乗して、リアブレーキを踏むとまるっきり効かない上に「ギギギ〜〜〜〜!!!」
とけたたましい異音が出る始末
後日、お預かりしてリアブレーキ周りを一通りやり直すこと決定です。
もうひとつの依頼事項は
「フロントブレーキでブレーキランプが点かない」
この場合、スイッチが壊れているか、ハーネスが外れているかですが

チェックの結果ブレーキスイッチが壊れていました。
壊れたまま帰せないのでここは新品に交換。
あとは、一通り目視で分かる範囲でダメd...いえ、不具合箇所のチェックを行います。
本来、ヘッドライトの中に納まっている臓物がなぜか飛び出ている.......
指摘すると、「インジケーターBOXのウインカーのパイロットが点滅しないと」

当たり前ですやん、配線(空色)外れてます。

これも、消し忘れの原因になりますから
配線類をライトケース内に戻して、配線のチェック
はっきり言って、接続がめちゃくちゃ。
これもお約束

カラーが入っていないでグイグイ締めてある!
譲り受ける際に「ヒューズ切れ」を言われていたらしい
ヒューズBOXを見るとなんや変にバイパスされている。

古いヒューズBOXでメインヒューズ切れのトラブルはよくある話
しかしながら、繋ぎ方とシート下に7Aのスペアの新品ヒューズが格納されていることから
次のような仮説が出来ます。
さきのリアブレーキスイッチ部分の変な組み方でブレーキランプが点きっぱなしになり
ヒューズが切れてしまう為のバイパス。
案の定、リアブレーキスイッチを作動させないようにしてバイパスを外して試乗してもヒューズが切れることは無かった。
これもすごい!
スイングアームはゼファー400のものが使われているが
根本的にリアショックの取り付けスパンがフレーム側と違う為
ショックが「ハ」の字になっている。

ありえへん!
ただ、付けば良いのではなく「スムーズに動かなければ」意味がありませんね。
ブレーキホースもスイングアームの内側を通すのがセオリーです。
また、クランプ部分に注目!

最低でもワッシャーなどで厚みをあわせるでもなく締め付けた結果
また、ピリオンステップも格納時は前方を向いているし、

何故これがNGだか分かりますか?
純正のステップを見てもたたむ時は必ず斜め後方に倒れますね。
メインステップもレース用のバックステップでなければ
純正であれば同様です。
何かに引っかかっても後方に倒れればリリースできるからです。
今回の場合万一何かに引っ掛けたらステップ/ブラケットが折れるまたは曲がってしまいますね。
ドライブチェーンも完全終了

伸びきっています。錆の具合からグリスUPも行われていなかったのでしょう

これも後にお預かりして時にスプロケットと3点セットで交換です。
オイル漏れの確認でエンジン下を覗くと....「居ないし!」
このブログでは珍しくない乗りっ放し車両状態
また、カスタムも中途半端で「ただ付いていれば良いや」状態
カスタム車の場合は製作者が自分が分かれば良いや状態で組まれていることが多く
配線なんかはむちゃくちゃ、他車種とのハイブリッドの場合はどこにどの車種が使われているか分からないまま購入すると
あとでメンテナンスが大変なことになります。
何の部品を頼めばよいのか?整備データは?(フォークオイルなど)
などなど
一応、オーナーさんに確認します。
「将来的にノーマルに戻したくなることはあるのかな?」と
というのはこの状態からノーマルに戻すなら
コンディションも考えると
別な車両に移行したほうが結果安上がりということになってしまいます。
当店でもそんなパターンが何台かありました。
オーナーさん曰く
「このスタイルで大事に乗っていきたいです。」
とのことなので、
「安心して乗れるように時間かけて仕上げていきましょう」
とお話ししました。