業務連絡:Tさま江
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の用意が出来次第発送いたします。
福岡から陸送で届いたCBX550F
先日の記事の車両も550
2台入庫することは珍しいこと
全体的な作業の遅れから
チョコチョコ試乗はしていたが
やっと手をつけることが出来ました
試乗では足回りはWPに変わっていることもあり
乗り心地はgood!
気になる点は白煙が出ていること
依頼事項はエンジンO/Hですから
分解します。
その前に不思議なのは
チョークを引くとアームがフューエルコックに当たる??

他の車両とタンクと比較するとコックの付く座面形状が違う??
この車両のタンクはフラット(平ら)ですが
比較した他のタンクはコックの座面部分が他の部位より1段凹んでいる
どうなっているのやら??
サイドスタンドスイッチが追加装備されている
(カワサキ車やホンダでも80年代後半以降の車両ではおなじみですね)
エンジンを降ろす際にオイルパンを外すと見慣れた金属を発見!

コッターです。
何故ここに居るのか?
ヘッドを外さずに作業するものではないですから
以前、なにかやらかして
コッターを飛ばして、腰上のみの作業をしている??
分解すればどんなことが起きたのか判るかもしれません。
分解完了!

特に燃焼室がキズだらけだったりということはなく
原因は不明
メタルを見ても当たりが強い部分はありますが酷い傷は無い
この前の550のエンジンもそうですが
これまでこのブログに登場する400のエンジンよりコンディションが良いですね
550の場合はコンロッドメタルは1種類(茶色)しか出ませんし
400と比較して廃盤になってる部品の数が多いですから
コンディションの良し悪しは死活問題となります。
CBXでは良くありがちなコンロッド小端のかじり

この車両、かじりが有るのは1本のみ、それもこの程度ですから
そのまま使います。
しかし、ピストンピンはWPC処理をして使用します。
これは、かじりの防止のためです。
WPCとはショットピーニングにより表面に微細なディンプルを形成することで
潤滑効果を狙うわけですね
このピストンピンのWPC処理は現在4輪では新車で施されてくらい浸透しています。
ロッカーアーム、カムシャフトは走行距離、オイル管理によってコンディションの差が出る部位
CB400Fでもそうですがカムの磨耗が進むと、ロッカーアームの接していない部分と段差になり平面部分より当たりが強くかじりが発生します。

オイル管理が悪く油膜切れを起こすと平面部分にもかじり、剥離を発生します。
カムシャフトの方は見ての通り

見事に段が付いています。
また、結構な勢いで振れている、
当方に在庫があるコンディションが良い中古良品に交換か?
(カムシャフト、ロッカーアームとも)
セルモーターもお約束
オイルシールが終了していて
オイルが混入しています。

しかし、ブラシは充分に残っており

コンミュテータも磨耗が少なく軽く一皮むけば良いでしょう。
さて、シリンダーヘッド

550は充分な肉厚が確保されているのでプラグホールのクラックは非常に少ないです。
ただし、材質のせいか反ってるものがほとんどです。

バルブシートはかなり広くなりベタ当たり、エキゾースト側は凹だらけだったりします。
これを修正するにはすり合わせだけでは広くなっても狭くなることはありえません
専用のカッターを使って修正する必要があります。(シートカット)
適正なシート幅に戻しカーボン噛みなどのトラブルを防ぎます。
バルブを診てみると、インレット側に濡れているものが居るのが判りますね

これです

オイル下がりですね
バルブステムシールはゴム部品ですから、経年劣化で磨耗や硬化によりシール性が落ちてオイルが下がってしまいます。
シリンダーは#4シリンダーに軽い錆の痕と縦傷

他のシリンダー若干の縦傷

白煙の原因はオイル下がりがメインのようですが
こちらもお客様と相談して
対応を依頼されれば
自社在庫でピストンがあればボーリング
もしくはスリーブ製作で対応
オーバーサイズのピストンはすでに廃盤
その他エンジンパーツもそうですが
廃盤部品の単品での販売は行いませんが
修理でお預かりした車輌には使用することもあります。
仮に在庫が無くてスリーブ製作の場合
ピストンはそのまま使用、リングのみの交換となりますが

寸法的にも問題なく、傷もこの程度ですから(WPC処理を施す場合もあり)
どちらに転んでも大丈夫ですね。
2台続けざまに分解して感じたのは
前回の物 走行12294km
今回の物 走行20851km
メーター自体あてにならないのは世の常ですが
計測データを比較すると
今回のエンジンのほうが減っています。
大きなトラブルは無く
「将来の為にO/Hしたい」
という、同じ目的でお預かりした2台
しかし、コンディションの違いにより
仕上がりは変わってきます。
いかに磨耗の少ないエンジンでO/H出来るか
これが肝になります。
CBXの場合、クランク周りトラブルが起きてからではすでに遅いのですが.....
普段からオイル管理と
壊さない乗り方を心がけたいものですね。