これまたお預かりしてから診断するまでに
お時間が掛かってしまったCBX400F
エンジン異音と言うことでご予約をいただいていたのですが
おなじみのカムチェーンテンショナーブラケット終了の案件です。
完全に温まらないと出ないのでまだ末期症状ではないが
指でマイク塞いでしまったようでこもってしまいましたが
見事な音が出ています。
試乗してみて気が付いたのは
ステムベアリングが「ガタンガタン!」
「ガタガタ」じゃないんですよ激しく動きます。
ステムナットを緩め、トップスレッドを締めて調整...
ガタを無くすと引っ掛かりが....
まさか誤魔化しで緩めてあった??
がしかし

何故かワッシャーが見えています???
ボールレースが奥まで入っていない??
可能性もありますね
であれば、走行中にまだまだ奥に入るため
再びガタガタになるかもです。
フロントフォークにも嫌なものを発見

シャフトがボトムケースに入り込んでいる
大概曲がっている証拠
ジャッキでタイヤが接地するかどうかまで上げて
ステム周り、フェンダー、スタビは外し、アクスルホルダーを揺るめ
インナーチューブを回してみます。
さて、アクスルホルダー部がこんなことになります。
曲がっている分、振れるわけですね。
見事に左右とも曲がっている.....
フロント周り酷い!
ブレーキも違和感がありチェックの依頼

ありゃ、これもかい!

またも550用、それも純正品です。
社外品で共用みたいな感じで550用が売られていたりしますが
純正品なら番号で判るぢゃないですか!
「付いちゃうから良いや」ですかぁ?
リアブレーキも微妙な状態

ダイヤフラムも伸びきり、オイルが空っぽ状態??????
「なんでやねん」

よーく見ると
マスターシリンダーホースが妙に湿っぽいし

ブーツをめくると......

マスターシリンダーのシリンダー面にクレーターが無ければ良いのですが...
キャリパーを見ると
こちらは400用のパッドがついていますが

ブーツがずっこけています。
やれやれ
マスターシリンダータンクの横に
ビニールテープで巻かれた怪しい物体を発見

ひん剥いてみると....
驚愕のものが

いやぁ、たしか30Aの板ヒューズが居て、蓋が付いているはずなんだけど....
「やってくれるやないかい!」
心配になってトップブリッジのヒューズも確認

本来15Aが4本使われていますが
うち2本20Aが使われていました。
...............................
何の為にヒューズが使われて居るのでしょう?
何の為にA(アンペア)数が決まっているのでしょう?
電気回路にトラブルが起きて、過大電流が流れたときに
ヒューズが先に加熱し溶断して電気の流れを遮断します。
焼損や電子部品の破損を防ぐ為です。
ヒューズの変わりに配線ですかぁ?
「かちかち山ど〜んと来い」
状態ですね。
なんか電気周りは結構無頓着

ウインカーリレー逆さですやん!
水入ったらどないすんねやろ?

アースケーブル解れていや〜な感じ
パルスジェネレーターのコードもところどころ破けています。
修理依頼でしたが予算の都合で却下
IGコイルが酷いことに
#1、#4

#2、#3

コード側は

見ての通り、物によっては針まで届いていないものもありますね
奥行きを測って、どれだけコードを出せば良いか
考えながら作業すれば問題ない話
針に届かなければそこでスパークするわけですから針も溶けてしまいます。
腐食させればきれいに電気が流れず不調の原因になるでしょう。
コイルもコードも安くは無いですよ
「あぁもったいない!」
心配になってセルモーターもチェック
裏蓋を外してみると......

結構磨耗していますね!
また、オイルの混入もわずかに見られます。
スプロケットも良い塩梅に磨耗して要交換状態
これも嫌だなぁ

倒れこんだサイドスタンド....
そういえばこの後に預かったCBXも同様だった
サイドスタンドの状態でまたがる、座るなどの負担は掛けないで!
あっという間にこんなになりますよ〜
フレーム側の凹んだところは溶接補修
サイドスタンドも口の開きはプレスで修正
結構、直すにも手間が掛かります。
あぁ〜こっちも無頓着だった〜〜〜

オイルがレベルゲージに付かないし
CBXはオイル管理が重要です。
まさに自殺行為!
良い子は真似しちゃダメですよ
特に白煙が出てる車輌は要注意
オイルを燃やしていますから
暇さえあればオイル量をチェックしましょうね。
自ら焼きつかせてエンジン全損なんて
愚の骨頂ですね。
これ見てどう思いますか?

シートを締めて、滑り止めシートがエアクリーナーの吸入口に掛かったら
どうなっちゃうでしょう?
場合によっては空気の供給が間に合わず走行中ふけなくなったり
エンジンが止まるなんてことが起きかねません
こういったことにも注意したいところですね。
「万が一のときにどうなるか?」
その場良ければ良しではなく
これがどうなると、どうなっちゃうのか?
「先の先を考える、大事なことですね」
今回は不本意ながら予算の都合もあり
半分ほどしか作業指示が出ませんでした。
残りは余裕が出来次第ということで
全員が全員資金潤沢な訳ではありません
その中でも機能面で優先順位の高いものから進めさせてもらう
こんなスタンスでやっています。
ただし、機能面二の次、見た目優先な人のバイクは手をつけたくありません
8/11更新
ディスカッションの結果
予算的な制限があり
カムチェーンテンショナー周り
リアブレーキ周り
ヒューズボックス周りのみの作業で
予算一杯
ちなみに、作業を見送った部分でも
分解などが伴った場合
手間が掛かった部分は
診断費用として計上しています。
しかしながら、分解して不具合箇所が新たに出れば予算オーバー必至
特にリアブレーキマスターシリンダーはコンディションが悪ければアウト
事前に「ピストンキットを交換してもすぐ漏れる場合が有る」と宣言
さて、実作業に入ります。
うわっ!早速?

ジェネレーターカバーの上側のボルトが付くネジ穴がずるずる
要ヘリサート修正!
不安を感じつつ進めていくと
あぅ

カムホルダーのネジ穴があがる寸前
組むときに舐めなければラッキー
なんてギャンブルは出来ませんから
これまたヘリサート修正
このカムホルダーがまた酷い

砂を噛みこんだり、メタル周りの焼きつきを起こした
エンジンのそれのようです。
それか、前歴有りといったところでしょうか
無論、カム軸も傷だらけ
カム潤滑用のオイルラインから異物が噴出したのがよく判ります
白煙も出ていることからシリンダーのトラブルも懸念されるところ
テンショナーのスリッパーも段が出来るほど減っています

組む際に、カムチェーンも伸び気味の感があり
メーターの距離はあてにならないですね〜(14000km位)
問題のリアブレーキ
オイルが居なくなっていたのは何処から??
シリンダー本体がこれまた酷い

うへ〜
シリンダーも内面が腐食によるクレーターだらけ
磨いてみるものの

少し入ったところの黒い部分が荒れているところ
磨きすぎて径が大きくなるとこれまたシールが効かず漏れる原因になります。
本来、リビルト品に交換したいところですが
予算オーバーになるため
スルーする形になりそうです。
事前に言っておいたように
早い時期に漏れが始まる恐れがありますので
マメにチェックお願いいたします。
お客様の依頼とはいえ
中途半端な状態でお渡しするのは
心が痛みます。