
手前の車両は完成し岐阜へ戻って行き
次は奥の車両
この車両も車検ですがナンバーが無い為中古新規登録となります。
持ち込まれた返納証を見ると昭和62年に車検が切れていますから
少なくとも27年走行していないということ
メーターを見ると

6500km!?本当なら貴重な少走行車両ですね。
では検証しましょう
走行距離に応じて磨耗するもので判断します。
フロントタイヤ

リアタイヤ

ともにBSのスーパースピード21
ライン装着のものですね。
しかし、オゾンクラックが酷いので交換します。
いくら当時モノにこだわって古いタイヤのままで乗る愚かな人は居ないでしょう
ゴム製品は新しいものに限ります。
ブレーキディスク

昔のパッドはアスベスト製なのでもともとディスクを攻撃することは微小なのですが
それでも傷が少ないので走行が少ないことが判断できます。
リアブレーキ
ドラム内面の減り具合も判断材料となります。

減っていないですね
また、ブレーキシューのマーキング(緑)に注目

これはライン装着のままを意味しますね
コレだけを見てもまずメーターは実走行と判断が出来ますね。
おそらくかなり静かなエンジンが期待できます。
長期間エンジンを掛けていないことが予測されるため、預かってからクランクは回していません強制潤滑を行ってオイルを充分にいきわたらせてからエンジンを掛けます。
これは当店の流儀です。
次は各部のチェック
エアクリーナー
まさに昔のものですね(CB350F専用)

6500kmでこの汚れ…

汚れ方は使用環境で左右されますからね
シリンダーの裏側に異臭を放つ液体が溜まっています。

諸悪の根源はコックからのガソリン漏れ

要パッキン全交換ですね
タンクの中も異臭を放つガソリンと回りに錆が見られます。

タンクの洗浄、錆取りを敢行します。
いちど手をつけてはいるようですね
ところどころ怪しい部分が…

エアチャンバー下のブリーザーチューブがなぜかヘッドに装着されています。
もともとのホースは劣化していて廃棄されたか???
キャブレターは一度外されO/Hまたは内部洗浄しているのでしょう

チョークリンクのばねがずっこけている

エアーベントチューブがこんなところに
(オーバーフローチューブも不在)
キャブを外すのにどんな外し方をしたのだろう
エアチャンバー後ろ側のバンドが不在、
エアクリーナーケースのボルトがメインハーネスのアースと共締めの部位だけで他の2本は不在
リアフェンダーBも割れている

PP製で無理な入力をしなければ割れないものですが
エアクリーナーケースをずらすのに
外さずに無理に曲げたか???
「とりあえず売るためにエンジンかけなくちゃ」とおっつけ仕事をされている可能性が大ですね。
オイルが落ちきっているところでいきなりセルを回してクランキングなんかされたらメタルがダメージを受けますが嫌な予感がします。
ブレーキ回りも
例えばブレーキホースA(下側)、ホースエンドが黒い比較的新しいものが使われています。
ここも手は入っているのでしょう
しかし
パッドA,Bともに油漬け!
ピストンを外すとお約束の錆

ブレーキパイプはあまりに固くナット部分が舐める始末
カットして6角ソケットで外します。
マスターシリンダーも漏れている様子

シリンダーの黒い部分が腐食歴があり荒れている部分
ここをシールが通過するときにジワジワにじみます。
オリジナルにこだわるのならシリンダーの再生も出来ますが
結構高額(¥21600+部品代)
こだわらなければいまどきのNISSIN製別体マスターなら¥14040-

更にオプションのビレットタンクを付ければホースが無くなりプチ純正っぽくなります。
¥20520
漏れたオイルが付着したかマスターシリンダーのクランプ部分は濡れている
ステアリングステムを見るとおびただしく塗装が浮いている

ブレーキまわりの作業をした際にオイルがホースを伝って、スリーウエイジョイントからステムに垂れてそのまま放置したのではなかろうか?
ブレーキ周りの作業をした後、オイルを付着させてしまった場合は速やかに水洗いをすることが肝心です。
パーツクリーナーは何の役にもたちませんご注意ください。
ステムベアリングも引っ掛かりがあり
フロントを浮かせてもホイールが付いていると解り辛い
ホイールを外すと良いですね(このようにフォークを外すと更に良く感じます)
ステムを外すのでせっかくなのでペイントしたほうが良いでしょうね。
ケーブル類は全滅(依頼事項でもあり全交換)
スロットルケーブル

動きは渋いし、引き側は角度が合っていないのでそこにダメージ
クラッチケーブル

お、重い…合掌
スピードメーターケーブル…合掌

タコメータケーブル…合掌

オーバルスクリュー、+部分完全に舐めています。
ここまですんなや〜(怒)
スピードメーターギアのオーバルスクリューも緩まず
ともに後日外し方講座やりますね。
メータークッションもご臨終

クッション潰れてガタガタです。
下側のエンジンマウントボルトが浮いている???

なぜか?
本来入るべきスプリングワッシャーが居ません
そのため、奥のクランクケースにどっ突いて止まっています。
これは非常に危険
当たっている部分はオイルポンプからフィルターへ向かうオイルラインの壁です。
ボルトが浮いてるからと無理に締めれば
最悪、クラックが入りエンジンを掛けて油圧が掛かればオイルが噴出します。
危ない危ない
良くありがちな話、エンジンガードを外してボルトを元に戻さず、長いまま使って同様なトラブルが起きてしまうこと。
締まりきらずに止まったら何が起きたか確認すること
大事なことですね
ほ〜ら、クランクケースにボルトの先端の痕がくっきり
6500kmだけにスプロケットはまだまだ大丈夫そうですが

ドライブチェーンは交換したいですね。
特にノンシールチェーンは伸びが早いですから
今のうちにシールチェーンに換えておきたいところ
シールチェーンは実際CB400F/350Fに使えるものは少なく
うっかりプレートの厚いものを使うとクランクケースに干渉し削ってしまうことになります。
吟味して使いたいですね。
フロントフォークは
右がオイル漏れの形跡あり
左は錆が見られるものの
ストロークの90mmより上側なのでOK
ざっと拾い出すとこのような感じです。
結構出ましたね