
ブログの更新を2〜3日ごとにしたらかなり気が楽になってきた。
NetShopのお客様よりこんな質問を頂きました。
「昨日、部品受けとりました。
ありがとうございました。
質問があるのですが、CB350Fのピストンの刻印についてです。
こちらの車両は、2番ピストンの上部に穴が空き、腰上オーバーホールしているのですが、純正ピストンが手に入らず、中古を取り寄せました。
もともと入っていたピストンは、333の刻印とは別に、一番から、4、1、3、4と刻印があり、穴が空いた2番ピストンには333の刻印がありません。
取り寄せた中古ピストンは、3個ありますが、全てに333の刻印、6の刻印が2つ、5の刻印が1つです。
サイズはノギスで計ると気持ち大きいような気もしますが、シリンダーには入ります。
刻印には、どのような意味があるのでしょうか?
例えば、純正0.25オーバーサイズなどといった可能性はあるのでしょうか。
心配になり質問いたしました。
お忙しい中、面倒おかけしますが、ご教授頂けると助かります。」
気になって当方所有のピストンを引っ張り出してきて確認

すべてSTDサイズ
言われているのはこの鋳込み数字のことでしょう

ウチのは全部「333」文字はありませんでした
ちなみにARTでOEM販売していたものは「ART」の文字が入ります。
これは製造ロットみたいなものだと思われます。
ロッカーアームにも同様に数字が鋳込みで入っていますね
オーバーサイズの場合はこの時代のはピストンヘッドにスタンプされていたと思いましたので
中古だと消えてしまっていることが多く
ピストンスカート部で測定して判断します。
また大事なのはなぜ穴が開いたか原因を究明しておくべき
例えば二次空気を吸ったりメインジェットの詰まりなどで混合気が薄くなり溶けて穴が開いた場合、その原因を対策しないとまた穴が開くことになります。
先週末
土曜日は比較的風が冷たく来訪車は1台、誰も来ないのでしばらくしてお帰りになりました。
翌日曜日
朝9時から予約修理車
CB400Fで依頼事項はスイングアームのガタの修理
手に入れて15年徐々に摩耗してガタが出てくるので体が慣れてしまって本人は異常なものだとは気が付いていない
先日来た時に確認し目の前でホイールを持ち横方向に動かすとスイングアームがカタカタ動くのを見てもらい
更にデモ車(店主自家用車)に乗ってもらい違いを体感してもらった。
スイングアームにガタがあると乗っていてリア周りにぐにゃぐにゃ感を感じる
(特にコーナーリング時に顕著に出る)
早速作業
まず気になったのがメインスタンドがマフラー下のストッパーラバーに当たらず、更に内側に追加されていたこと

これフレーム曲がっているじゃん
マフラーのブラケットが外側に曲がっているということ
だいたいこんなに隙間開かないし
ん!

ロックピンが逆に入っている
何か引っ掛けたら外れてしまう
進行方向から差し込むのが正解
リアホイールを外し、スイングアームを外します
ピボットシャフトが固いな
ありゃ錆びて白くなっています。

組む前に磨きましょう
スイングアームが外れて、センターカラーを抜くと....

ちゃんとグリスっ気あるじゃないですか
15年5〜6万km手をつけたことが無く、車検もユーザーで持ち込みのためショップでグリスニップルからグリス注入も無いという
てっきりカラカラで真っ赤に錆びていると思っていました。
グリスを除去すると

カラー自体は良い状態、摩耗もひどくはない
単にブッシュ側の摩耗が酷いだけ
カラーの交換は無しでブッシュのみの交換に決定
摩耗の少ないものまで交換することはないでしょう
「もったいない!」
ここまでバラしたのでせっかくなのでブレーキペダルシャフトも点検

ここもグリスが残っています。
ということは前所有者がきちんとメンテナンスをしていたのはもちろんのこと
購入時ショップさんでもきちんとフルメンテナンスされていたのでしょうね
見回して他の不具合個所の確認
オイルパン側面にオイルが流れている

Lカバーを開けて確認

メインシャフト、カウンターシャフトのオイルシール部
約7年前にコーキングしているが所詮お茶濁しまた漏れている
後はプレッシャースイッチの上側からも出ている

オイル漏れの作業進行も許可を得ているので
再コーキングで液状ガスケットが乾く時間を考え先に作業
古い液状ガスケットを除去したら嫌なものを発見

メインシャフト側のオイルシールの側面のゴムのコーティング部の浮きを発見
その一部に穴が開いて漏れてきていた
ここの両方のオイルシールは内側にミッション潤滑用のオイルが通っているため油圧が掛かっている
本来ならばエンジンを割って交換しなければいけないが
こちらも預かれないし、お客様も急にエンジン降ろして割ってなんて無理でしょう
ちょっと厚めに液状ガスケットを塗り重ねるしかないと判断
お客様を工場へ呼んで惨状を見てもらい状況を説明
インシュレーターもひび割れが酷い

こちらも作業依頼を頂いた。
18時の閉店後、ビッグサイトに自家用車の引き上げがあるため
直前まで預からせてほしいと相談
液状ガスケットが完全に硬化してからお渡ししたいからだ
代車を渡して一旦お帰りになった。
とりあえずコーキング作業の1回塗りを済ませ
リア周りの作業
ブレーキペダルに曲がりがあるため外れているついでに修正

新品との比較(下が新品)

バーナーで炙ってプレスで修正

「へ」の字部分の角度が浅くなったのがわかるでしょうか
ブレーキシューのメーカーによっては妙に粉塵が出る
古いものではなさそうなのでアスベストでは無いと思うが念のためパーツクリーナーで洗浄

シューが当たる面もかなり摩耗している

レコード盤のように縦溝が激しい
スプロケットのガタが大きく
ここは完全ドライ状態

組む時はグリスUPして厚みUPのワッシャーでガタを調整します。
ブレーキアームには変なボルトが使われ
ブレーキカムも削られている

何なんだらう
リア周りが組みあがり
次はインシュレーター交換
エアクリーナーを外してっと....
これはすごい

2万km走行のエアクリーナー
キャブが外れて..

結構きてますね
外したインマニ

ゴムの筒部分をプライヤーでつまむと簡単に剥がれました

黒い部分は一応くっついていた部分
かなり腐食が進行しているのが分かります

更に進行して2次エアーでも吸えばピストンヘッドを溶かし穴が開いてしまいます。
やっておいて良かったですね
キャブレターは緩みやすいステープレートの皿ビスの増し締めをして組付けて完了
プレッシャースイッチの交換でセルモーターを外したらまたすごいものを発見

液状ガスケット攻め
いやいやいや、数百円なんだからOリング交換しましょうよ
これは無いな
夕方にはコーキング部もほぼ硬化し再度上塗り
最後にキャブの同調確認
(キャブの着脱していますから必須です)
すでにお客様戻って来ていて
ちょいとお待たせしてしまいました。
「次回、また漏れ始めたら今度は意を決してエンジン割りましょう
無駄遣いしないで貯めておいてくださいね」とアドバイス
結局一日仕事になってしまいました。
この日の来訪車はいつもの面々
放っておいても井戸端会議していてくれるので助かります。
ブログ書いてる途中で
メールの返答していたらこんな時間になっちまった
もう仕舞いましょう