車検車両の状況をUPするのが遅れている
お客様もどうなっているのか心配だと思います。
先々週分の岐阜ナンバーの車検車両
概算見積もり作成後、作業指示が出たので着手
足回りから
前後ブレーキ全バラ点検洗浄
スポーク交換のためホイールをばらす
この車両は前後ハブがクロームメッキ仕様
ただし、手入れが悪ければこのように錆び始める(白い点々)

アルミ製品へのクロームメッキの場合、下地から腐食してメッキが浮いてやがて剥がれてしまう
こうなったらどうにもならない
ひたすら手入れが必要となる
今回のメッキスポークも同様で手入れが悪ければ点錆が現れる

このまま放っておけば真っ赤になってしまう
純正のような三価クロメートの方がまだ楽だろう
外れたフロントスポーク

削れたパッドやディスクの粉末が堆積している
これも錆の原因となるのでこびりつく前に掃除しておきたい
リアをばらします
こちらはフロントほど状態は悪くなく

スポークの黒いのはチェーングリスの飛沫したもの

少なからず油分があるから錆が少ないのか?
ホイールにかまけている間にフォークオイルを抜いておく

ウチで4年前に委託車両で販売したのだがこの間フォークオイル交換はしていない
(約7600km走行)
前オーナーは1500kmしか走っていないためトータルで9100km
結構汚れますね
ブレーキは前回シール交換は無かったので今回は交換

当店ではマスターシリンダーのインナーキットに関しては4年ごと
キャリパーのシールは純正であれば安いので開けたら交換
社外キャリパーであれば4年ごとと考えている。
時間が経つと戻りが悪くなり引きずりを起こす場合がある。
今回タイヤはGT601をチョイス
バックステップをノーマルに戻したいとのことで
用意したステップ周りをペイントに出して作業中断
(まさか店主自ら缶スプレーで自家ペイントなんていうクオリティの低いものは付けられませんからね)
先週分の車検車両は届いた時には車検が切れて試乗が出来ない

引き回しが重いので確認

重いわけだ
エンジンのオイル漏れが激しい

前回の車検でも漏れてはいたが更にひどくなっている?
前回は足回りとキャブレターを中心にリファインして漏れはスルーした
とはいえ試乗をしないことには話にならないので
「後整備」ということで先に車検を通した。
前回の車検から1600kmしか走っていないので
今回フロントブレーキはフルード交換のみ
前回車体周りはきっちりやっているので普通に車検点検整備のみでOK
エンジンの方のオイル漏れ修理で腰上分解組み立てとして概算見積もりを作成し連絡
ご返事を頂くまでの間に車検整備を済ませ
お客様は熟考の上、エンジン作業も作業指示を頂けた。
エンジンをばらし始めます。
ヘッドカバーまでは開けた形跡がある
オイル漏れでヘッドカバーガスケットを交換したのだろう
ヘッドを外してすぐにガスケットを見れば大体どこから漏れているのかが分かります。

オリフィスとスタッドガスケット部から出ていたようですね
このガスケット...まさか新車時からのもの??
古いタイプの純正ガスケット
そういえばヘッドの状態も良かったシールワッシャーの当たり面もきれいだった

カムジャーナルも良い状態
ロッカーアームのかじりもない

嫌な予感がしてタコメーターギア部のクリップを外して、タコメーターギアを内側から押したら
「ぬるっ」

ゆるゆるでした、オイルシール交換です。
ヘッドカバーを開けたら漏れて無くても絶対交換したいところ
シリンダーを外すと内壁の状態も良い
ピストンのスカッフ(かじり)もわずか
スリッパーはそれなりに減ってはいるので交換
ガイドもゴムではなく硬化して割れて地金が出てるので交換

相手側もこの通り

普通もっと凹んでいます
過走行エンジンでは無いということ
また、オイル管理がきちっとされていただろうこともうかがえます。
実はこのエンジンは載せ替えられたもの
車体番号はCB400F-1019... 1975年製

エンジンは

CB400FE-2003... 1976年製(北米モデル)

程度の良いエンジンにどこかのタイミングで載せ替えたのでしょうね
これは良いエンジンです。
それでも43年経過していますからガスケットは焼き付いていて除去が大変
時間を掛けてスクレパーとオイルストーンで除去〜仕上げます

パーツリストの工数は新車販売後数年までのものですから、このような作業は「ガスケット面修正」ということで別計算になります。
シリンダーヘッド、今回はオイル漏れだけの修理ですから見積もりではバルブは外さず燃焼室のカーボンを除去して終わりの予定でしたが

いざばらしてみて、このエンジンならバルブまで外してカーボン除去〜すり合わせ程度までやらないと中途半端だろう気持ちになってしまった。
ボランティアで作業(ステムシールの部品代だけください)

あぁやっぱり気持ちが良いな
※前回の車検時にインマニのOリングは交換済みなので今回は外さず作業
どんどん小組みを進めます
シリンダーにOリングを入れます

純正はフッ素ゴムなのかな気を付けないとすぐに切れます
慌てず慎重に作業します。
シリンダー内壁はこんなにきれい
ピストンもカーボン除去してきれいになりました

リングを組みましょう
使う部品をパッケージから出しておきます
さぁ組み立て開始
エンジンの組み立て作業は閉店後が一番
誰にも邪魔されずに作業が出来ます。
シリンダーが組めれば後は楽です。

ヘッドを乗せて規定トルクで締めて
カムシャフトを組み軽くテンショナーを張っておく。
「ん!?」
テンショナーセッティングボルトのところからオイル漏れがある
なんか適当なボルトが使われている(上)

(下が純正タイプ)
普通のボルトを使っているからOリングがネジ山の上にありオイルを噴いてしまう
純正タイプはOリングはネジ山の無い部分に位置します。
さぁ今日はここまで

明日、ヘッドのトルクチェックをおこなってから次ヘ進みましょう
純正ガスケットだとそんなに締まることは無いがやるに越したことはない
さぁ仕舞いましょう