2009年6月29日 月曜日
これから書く官僚というのは、官僚というヒエラルヒーのなかで、学閥を生かし、天下りを繰り返し、成功している官僚について、です。少なからぬ官僚はマジメに働き、自分の道を切り拓き、自分のミッションを達成しようとされています。こういう方はあまり出世しませんが。
「キャリア官僚は悪いことをしないが、ノンキャリア官僚は悪いことをする」と身内の会合で発言したのですね。マンガ太郎首相の自民党派閥、麻生派の座長・中馬弘毅氏です。麻生派の官僚に対する価値観が見事に表現されています。
〜〜読売オンライン6月28日引用〜〜
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20090628-OYO1T00267.htm?from=main1
「悪いことするのはノンキャリ」…中馬・元行革相が発言
自民党麻生派座長の中馬弘毅・元行政改革相は27日、大阪市内で開かれた党大阪府連の集会で、公務員制度改革を巡り、「悪いことをするのはノンキャリア(の官僚)だ。上に行けないから、職場で、法にないことをする」などと述べた。
会場からの質問に応じた際の発言で、「上級職を通った人は、そういうことに手を染めない」とキャリア官僚をかばった。
中馬氏は集会の終了後、読売新聞の取材に対し、発言について、「ノンキャリアとキャリアの垣根をなくすための制度改革を進めることが必要だという趣旨だ」と説明した。
〜〜引用終わり〜〜
ツッコミどころ満載発言、嬉しいです。
まずご本人の経歴
大阪市天王寺区に生まれる。 大阪府立北野高等学校、東京大学経済学部卒業。住友重機械工業、1976年の衆議院議員総選挙に新自由クラブから立候補して当選。以後9回当選。
元行政改革大臣、現在は麻生派座長です。
まぁ、ご本人は官僚ではないようですが、知人・友人にはたくさんのキャリア官僚がいるでしょう。だからキャリア官僚は悪いことをしない、と。
しかしですね、キャリア官僚がつい最近も逮捕されました、厚生労働省の村木厚子氏はキャリアではなかったでしょうか?
〜〜朝日ドットコム6月28日引用〜〜
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200906280023.html
郵便不正事件に絡んで逮捕された厚生労働省キャリアの前局長については、民主党の国会議員の口添えが自称・障害者団体への偽の証明書発行の発端になった疑いがあると指摘されていることを念頭に、「相当な圧力がかかった例外」と語った。
〜〜引用終わり〜〜
例外だそうです、例外。
成田空港での手荷物検査で女性職員に対して暴言を吐きプラスチックケースを投げつけた警察庁キャリア職員、JR千葉駅で厚生労働省のキャリア職員がICカード乗車券の利用法を注意され、駅員をけった事件、この1か月に起きています、それにまだまだ表に出ていない事件がたくさんあると思います。
キャリア官僚が行なうこういう事件は「悪いこと」と言わないのですね、中馬弘毅さん。
週刊ダイヤモンドは「相次ぐキャリア組の逮捕 歯止めを失った官僚腐敗」として特集を組んでいます。
http://diamond.jp/series/closeup/04_19_001/
むかし大蔵省といっていた時代、ノーパンしゃぶしゃぶで官官接待やら金融機関の接待を受けて検査に手心を加えたのは「悪いこと」ではないのでしょうか。興味深いリストです。このなかの何人が天下り先の役員に名を連ねてるでしょうか、暇な方、ググってみてください。
http://www.rondan.co.jp/html/news/roran/
ここに掲載されている方々はノンキャリ官僚ですか?んなわけないですね。全部キャリア官僚でしょう。
もう、わたしのレベルで完全に根拠が否定されるようなことを平気で言う自民党の政治家、改めて見直しました。
キャリアが指示してノンキャリアが実行するという構造的犯罪があると思っていました、そういう組織犯罪はすべてノンキャリア官僚が自主的にすることなのでしょうか。トップなり責任の取れる職位からの指示があるのが普通だと思いますけど。
さらに大きい問題は、キャリア官僚は、天下り、補助金、その他キャリア官僚に都合のいいように法律案を作成し、その行政解釈である政令・省令も作る、この過程でいわゆる「法の抜け穴」をわざと作り、自分たちの「犯罪」は刑事罰を受けない仕組みづくりをしているのです。
自分たちの行なう利権は法律に触れないような字句・概念を作り、または使い、政令・省令を作る、あるいは特殊法人を作り、そこを迂回して業務を行なう仕組みを作るわけですから法律や解釈では法律に反することにはならないのは当然です。
自民党に限らずこれまでの政治家、キャリア官僚が法律案を作成してもその意味が理解できない、政令・省令を作っても法律案そのものがわからないのでチェックを入れることすらできない、だからキャリア官僚のレクチャーを受けなければならないのです。そうでなければ国会が成立しないのです。
キャリア官僚の仕事をチェックするのが政治家の仕事であるはずなのに、キャリア官僚に教えを請う、国民目線の政治などができるわけがありません。
これは議員立法ですら行なわれている実態なのです。
マンガ太郎首相をはじめとする自民党の政治家はキャリア官僚の悪口を言うことすらできない立場、「協力できませんね」と嫌がらせを受けるだけで国会が機能しなくなりますからね。結局官僚政治を打破できるわけがない、のです。
このような恣意的な立法により抜け穴を作り、国家財産のムダ遣いや利権のほうがはるかに大きいでしょう。ノンキャリ官僚が国家のカネを盗むのに対して、キャリア官僚は国家そのものを盗んでいる、こんな感じだと思います。
全面的に官僚に依存した政権が、国家の無駄をなくし、国民に奉仕する国民目線の政治ができるわけがありません。
中馬弘毅氏、こういうウソを言っても恥じらいを感じない鉄面皮なのですか。それともウソを言い続けているので自分の思考回路はキャリア=正義、ノンキャリア=悪と単純化されたのでしょうか。こういう人のグループに日本の未来を託す気持ちにはなれません。
発言が報道されると「キャリアとノンキャリアの垣根をなくすための制度改革が必要だという趣旨」の発言だったという、つまらない言い訳をしています。
キャリアが正義で、ノンキャリアは悪という垣根があるのですね、官庁には。で、この垣根を取っ払えば悪が正義に善導されて平和になる、という理屈ですか。
ここでも自分で発した言葉を意図的にウソで固めています。どんな動機であろうと「官僚は大事にしなきゃいかん、キャリアには助けてもらってるから。だけどノンキャリアが悪いことするので官僚制度への信頼がなくなり困っているんだよ」という趣旨に聞こえます、それ以外の趣旨を感じることはできません。どうでしょうか。
これからも、民主党はじめ野党のスキャンダルが大々的に報道されるでしょう、しかし、基本はチェンジかチェンジしないか、という軸しかありません。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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