2010年2月26日 金曜日
住宅着工件数の昨年度対比減少。この統計は国土交通省が持家、貸家、給与住宅(社宅・官舎)、分譲住宅(マンション、一戸建)に分類して住宅の供給がどの程度行われているか、についての数値です。
これを経済の問題として備忘的に私見をまとめておきます。根底には「家を買うと損をする」今の社会はおかしい、という感覚があります。
〜〜朝日コム2月26日引用〜〜
http://www.asahi.com/housing/jutaku-s/JSN201002260004.html
住宅着工戸数、1月として過去3番目の低い結果に 国交省
国土交通省によると、1月の新設住宅着工戸数は前年同月比8.1%減の6万4951戸となり、14カ月連続で減少。1月としては過去3番目に低い結果になった。
持家は同5.4%増加の2万1144戸で3カ月連続増加したことに加え、分譲住宅の一戸建てが同7.6%増加の8,182戸で166カ月ぶりに増加するなど、持ち直しの動きもみられたが、同省は「戻ってきているのは所得の高い層だけではないか」と推測している。
貸家は同14.5%減少の2万7040戸で14カ月連続の減少。マンションは同25.9%減少の7,759戸で13カ月連続の減少となった。
〜〜引用終わり〜〜
国土交通省基データ
http://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_000143.html
全体 件数 増減率
21年
1月 70,688 ▲18.7
2月 62,303 ▲24.9
3月 66,628 ▲20.7
4月 66,198 ▲32.4
5月 62,805 ▲30.8
6月 68,268 ▲32.4
7月 65,268 ▲32.1
8月 59,749 ▲38.3
9月 61,181 ▲37.0
10月 67,120 ▲27.1
11月 68,198 ▲19.1
12月 69,298 ▲15.7
22年
1月 64,951 ▲8.1
これは昨年度対比の数値ですが、昨年度はすでに一昨年度と比較して落ち込んでいるわけですから、その前年と比較すると大きな落ち込みとなっています。
たとえば100のものが20%落ち込み、さらに次年度に20%落ち込んだということは単純に40%の落ち込みではなく、80%の2乗、36%の落ち込みで64になります。
住宅着工件数がマイナス8%である、ということは経済に与える影響がマイナス8%であることです。それだけ経済規模が縮小している。
分譲マンションの落ち込みが大きい。デベロッパーといわれる不動産・建設業者が資金調達できないという理由、そして購入する側も途中で工事が中断することのリスクを考えると購入の決断がしにくいという理由があると思います。
東京都では賃貸マンションはすでに空き室率が8%を超え、特に新築マンションの空室率は30%になります。つまり賃貸マンションなら条件に合致する物件に入居できます。家賃も交渉次第でかなり安くできる可能性があります。
池袋駅至近、東京芸術劇場に近いマンションでも賃料15万円くらいまで下げられるといいます。
このような状況では賃貸マンションを建設するヒトは少数派でしょう。むしろ、どのようなヒトが建設するのか話を聞いてみたいです。
持家の増加、一戸建ての増加は昨年10月からの傾向です。バブルがはじけ不動産も安くなり、また建設費も安くできることから、カネのあるヒトにはチャンスでしょう。
賃貸住宅は余っている、着工件数は少なくなっている、土地は売れていない、これらの情報から何を考えるべきか(?)
まだまだ土地を買うリスクがある、ということです。持ち家ではなく、分譲ではなく、賃貸住宅に住む、という選択がベストである、ということになります。
この結論に経済全体の動きを組み合わせるとさらに鮮明です。デフレ経済、感覚的にいえば今日よりも明日のほうがモノの値段が安い、ということです。
資本主義はすべてのモノを金銭という尺度で測ります。商品もヒトの労働力も、カネという同じ尺度ではかる、その尺度となるカネの価値が高まり、商品やヒトの労働力は今日より明日のほうが安くなる、ということです。
モノを購入するには待ったほうが安く買えます。借金をして買うことは、安くなるかもしれないモノを、高くなるかもしれないカネを使って買うことですから、経済合理的な判断とはいえません。緊急に必要な場合は別です。
資本主義は緩やかなインフレによって幻想・幻視・幻聴による「成長」を夢見た時代だったのかもしれません。みんなが幸せに思えた時代です。
しかし、インフレが行き着く先はバブルであり、バブル崩壊により社会のインフラである金融が崩壊し、実体経済も崩壊した、ただ混乱を大きくしないために政府が影響が広がらないように必至に支えている、のが実態です、しかも世界的な規模で。
でも、普通に考えて、そのような経済合理性のないものが長続きするとは思えません。あちらを立てればこちらが立たず、こちらを立てればあちらが立たず、という二律背反が同居している状態ですから、やがてこの矛盾は昇華せざるをえません。
そのためには、あらゆる面で緩やかなインフレが長続きするような規制が必要だと思います。とくにエネルギー、食物、土地などへの投資・投機は政府が課税等を通じて規制すべきです。人間の生存にとって不可欠なものへの投資・投機を規制しなければ、結局投資・投機によりこれらの取引による所得移転が行われ国民はその分の得られるべき所得を失うからです。
そして次に、政府はこれからの社会に必要な環境やナノテク、バイオテクを駆使した技術開発を行い、次にくるエネルギー、食物、高耐用性住宅などを日本で定着させることです。幸いなことに日本にはユダヤのような、メジャー石油会社や資本はありません。フリーハンドでこれらの先進的な技術開発にカネを使うことができます。
成長戦略はここにある、と思うのです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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