2010年3月14日 日曜日
札幌市のグループホームの火災による7人の死亡事故、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。
刑事事件として立件されるかどうかわかりませんが、7人死亡という結果は無過失だとするには重すぎる結果であるように思います。わたしは、巡回すべき時間に寝ていて巡回しなかったとか、危険を感じつつ、まぁいいやと放置したなど、よほどの過失が認められない限り、従業員の過失責任は問うべきではないように感じます。これからの捜査を見守りたいと思います。
〜〜47ニュース3月13日引用〜〜
http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010031301000665.html
ストーブから洗濯物引火か 札幌のグループホーム火災
札幌市北区のグループホーム「みらい とんでん」で入居の高齢者とみられる7人が死亡した火災で、火元の疑いが強い1階居間の灯油ストーブ近くでは洗濯物が日常的に干されていたことが13日午後、北海道警の調べで分かった。ストーブは夜もつけていたという。道警はストーブの火が引火した可能性があるとみて調べるとともに、7人はいずれも道内の人とみて身元確認を急いでいる。
道警は施設の防火態勢に問題があった疑いがあるとみて、業務上過失致死容疑を視野に捜査。ほかに燃えやすい物がストーブ付近になかったか確認している。
また、施設が消防法で義務付けられた消防用設備の点検報告について、約3年半も未提出だったことが市消防局への取材で分かった。
消防局によると、消火器や誘導灯など設備の設置状況について年1回の報告義務があるが、施設は2006年8月28日を最後に報告していなかったという。
さらに09年4月から義務付けられた火災時の消火や通報、避難行動のマニュアル「消防計画」も未提出で、市消防局は口頭や文書で行政指導していた。
〜〜引用終わり〜〜
ワムネットによればこの事業所の概要は以下の通りです。
http://www.wam.go.jp/kaigo/ApplicationServlet?ACTIONTYPE=ViewDetailAction&JIGYOCODE=0170202741&SERVICECODE=96
法人種別 営利法人
法人名称 有限会社みらい25
事務所の所在地
〒064−0807北海道札幌市中央区南七条西14丁目2番15号
電話 (011−300−7755)
FAX (011−520−4488)
事業所等の所在地
〒002−0854 北海道札幌市北区屯田四条2丁目6番4号
リンクされている第三者の外部評価からは運営について特に問題があるようには思えません。もっとも外部評価といっても、あまり突っ込んだことを具体的に聞いていないために抽象的な文字の羅列になっているように思います。しかし、具体的な問題点は指摘されていません。ただし、この傾向は、どこの施設の外部評価についても同じであり、とくにこの施設だけがそうである、というわけではありません。
http://www.wam.go.jp/wamappl/hyoka/003hyoka/service/kaigo31.nsf/1601AF53D56C003649257559001E8FE4/$File/%E8%A9%95%E4%BE%A1%E7%B5%90%E6%9E%9C%E6%A6%82%E8%A6%81%E8%A1%A8%EF%BC%88%E3%81%BF%E3%82%89%E3%81%84%E3%80%80%E3%81%A9%E3%82%93%E3%81%A7%E3%82%93%E6%9C%AD%E5%B9%8C%EF%BC%89.pdf?OpenElement
また、ハード面の基準については市町村と消防署の管轄です。今回疑われているストーブの上に洗濯物を干したところ、洗濯物がストーブの上に落ちて燃え広がった、ということについては第三者の評価もありませんし、ハード基準にも、ソフト基準にも引っかかりません、規制がありません。
改正法で要求される施設設備基準でも猶予期間が認められています、猶予期間中は努力はしなければいけないが違法ではありません。報告していなかった、ということに過失の可能性があります。
ただ職員が自分の経験でストーブの上に洗濯物を干すことは危険である、と自覚している場合のみこのような事態を未然に防止できたにすぎません。そしてこれは多分に職員の経験や知識によることになります。
常識に属することかも知れませんが、常識は知っていても干す場所がなくやむなくストーブの上に干したということもあり得ることです。
厚生労働省は、事故をきっかけにして、これらの施設に対する規制を強化するでしょうが、誰にも故意・過失がないのですから具体的な対策の取りようがありません。
とすれば、故意・過失があっても火災を未然に防止できるハードを作るしか方法はありません。施設・設備の基準づくりということになります。しかし、前回、改正した基準ですら達成できていない現状では、新たに付加される基準を達成することはさらに困難でしょう。
他方では、ハード要件を厳しくすればするほど、初期投資が嵩んで収益を上げにくくなり、結果的にさらに一層の施設不足を招くことになります。
家や家庭で起きる事故は介護施設でも起きる、ということも事実です。この観点から見て、具体的にどのような回避義務があったのか、検討事例を積み重ねることでしか妥当な結論は出ないように思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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