読む宝石、とぼくが勝手に定義している本があります。
今回紹介する本はそのひとつ。
森雅之さん。この方の漫画、というか作品は、特別な何か、それこそ、先日紹介したSQUARESと同じ「何か」を放っている気がします。
それはなぜだろう?
森雅之さんは生まれ育った北海道を拠点にして、作品を発表しています。
作品の帯に「ぼくは手紙のような漫画をかきたい。」とある。
ぼくは森さんの漫画や絵を、偶然どこかで見ることができた日、意味もなくしあわせな気分になる。
ある日、公園であの娘が四つ葉のクローバーをくれた時のように、意味もなく嬉しくなる。
冬のとても寒い日、凍てついた手をコートの袖に入れ、自転車に乗って会社から帰る道、暗い夜空に流れ星が見えた時のように、
嬉しい。
ま、そんな生活するうえで浮かんでは消えてゆく感情、感覚を、ひとつひとつ丁寧に色とりどりの透明のガラスで包んで、夜空にちりばめたような作品を描くひとが森雅之さんです。
この本は3回版を重ねています。
数年前、大津パルコの紀伊国屋で取り寄せて、3版目を買ったのですが、この清彗社版の初版が手に入ったので、
公園のあの娘がクローバーをくれた代わりにあげた。
この「夜と薔薇」が、森さんの最初の作品集になるんですが、ぼくが最初に森さんワールドに触れた「ペッパーミント物語」と比較すると、かなり詩的。
表現も違っています。
森さんの作品に流れる「繊細さ」や、「おかしみ」や「詩的な世界」が原石のまま収録されている、といった感じでしょうか。
ぼくはこれに収録されている「写真物語」がとても好きだ。
ま、早い話親バカのハナシなんですがね、
こんなカッコイイ父親になりてぇなぁ!と思うような微笑ましい内容。
きょうはSQUARESの全曲集を、友人のために録音していましたが、それを聴きながらこの本も読んでいた。
ふつうのまんがや本は、飽きられ、消費されてゆく。
そしてブックオフなんかに並ぶ。
森雅之さんの本は、ブックオフでは見たことがない。


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