2ちゃんねるという「某匿名巨大掲示板」という隠語でおなじみの電脳井戸端(90年代的表現)が日本には存在しまするのは皆さんご承知のとーりだと思います。
それを見た人はわかると思いますが、どこの誰かもわからない顔も見えない人間たちの罵詈雑言が飛び交い、犯罪者予備軍のような魑魅魍魎がウヨウヨしているロンダルキアの洞窟上層が如きな場所もあるかと思えば、面識はないながらも暖かくほのぼのと人々が交流しているレーベの村みたーな掲示板もあったりします。
ぼくは単純に面倒くせーのであまり見たりしませんでしたが、「神聖かまってちゃん」のの子氏(Vo.Gt.)がそんな罵詈雑言と冷笑の中に自分を晒していたことを知ってから、ちょこちょこ見るようになりました。
作詞作曲からPV製作と、その世界観を構築しているの子氏は、21世紀に世界を制覇するにはまずネット世界から、と思ったかどうか知りませんが、そのネット世界のロンダルキアの洞窟に草薙素子よろしくゴーストを潜入させ、「2才」(当時22歳だったので。以降、歳を経るごとに3才、4才と更新される)という固定ハンドル名で思いの丈をブチマケまくっていました。(そのときの模様が
これ)
面倒くさいかもしれないけれど、そこに書かれた(低脳を装った)むき出しの言葉を正視してみれば、彼の真意がわかると思います。
電脳上の衆人環視のもとパジャマを着てヘルメットを被り外出し、パソコンにむかって延々と「中の人」に向けて話し続ける様や「死ねよ佐藤!」と新宿の交番前で叫び警察に厄介になったりする動画配信の記録映像を見てると「神聖かまってちゃんを好きでいていいのか自分は?」と真剣に悩みましたが、そういった「アレ」な行動をする反面、物凄く謙虚な部分もあったりして、その行動原理に理解に苦しむ部分はあれど、ナタリー・インタビューにおける彼自身の「未来が見える」という動画配信についての発言にもあるように、まーフツーではないけれど、これが彼なりの考えに基づく表現の手段なのではないか?と考えてみたりもしています。
自分が電脳世界をテクテク歩き回って集めた情報を総合すると、彼は多感すぎる少年時代の頃に受けた精神的な傷をずっと、ずっと生傷として抱えている。その痛みは成人しても決して癒えることはなく、むしろその憎悪は永い時間をかけて増幅され、ココロの深い部分に根を張りとぐろを巻いて居座っている。
そうして、郊外の憂鬱な日々に何も希望を見出せない、やり場のない怒りと自分の過去に対する復讐として音と言葉というカタチで吐き出し、外の世界に叩きつけている、という印象を受けました。
音楽を隠れ蓑にした金と欲にまみれた「アーティスト」が歌う白々しい恋愛の歌や空虚な人生賛歌ばかりが街中で鳴り響く中、彼はそんな見え透いた皮を剥ぐように「死ね!」と叫ぶ。そしてその様子を、インターネットを通じて世界を俯瞰している人々に届けている。ロッキングオンジャパンという大衆向けの音楽雑誌インタビューでは「老人すら読まない老人雑誌」と紙面上で(皆、思ってるくせに誰も言わなかったこと)をズバっと言ってのけていました。
(
このインタビューでも同じ事を言っています)
個人的に衝撃的だったのが、ステージでのパソコン破壊。
これまでギターをはじめとする楽器を破壊するひとは見たことありますが、ステージでパソコンを叩きつけて破壊するバンドは見たことがない。
彼にとってはパソコンこそが自分の存在を世界に向けて誇示するツールであるとともに、神聖かまってちゃんのパブリックイメージを象徴するそれを破壊するというのは革命的な出来事のように見えて、非常にびっくらこきました。
けっこーバカにしてるひとは多いかと思いますが、まず先入観とっぱらって、聴いてみるといいと思いますよ!
ぺんてる 神聖かまってちゃん
個人的にこの曲(特に後半)はTHE BEATLES/Being For The Benefit Of Mr.Kite!のサイケデリック音像をほーふつとさせる。まーどーでもいーんですが。

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