うちのおとっつぁんは経師屋です。
落語にはたまに出てくる商売だけど、最近はこう言ってもなかなかわからないらしい。
別名・表具師。
これも結構わからないようだ。
表具ってのは襖、屏風、掛軸などのこと。
その他、障子紙や壁紙(クロス)や床財を貼ったりする、つまり家の内装全般の「貼る仕事」。
今はクロスなどの新財だけ分業されてクロス屋、内装屋なんてのができてるけどこれも元は経師屋の仕事。
よく建具屋と混同されるけど、建具ってのは戸や欄間などの木を使った内装のこと。
ちなみに障子や戸襖(板でできた襖)は作るのは建具屋で貼るのは経師屋です。
表具は製作から修繕まで、和紙に描いた書画や巻物は二重になっていて、裏面をはがして細かくした和紙と発酵させた糊(超クサイ)を打ち付ける「裏打ち」という作業によって何百年も保存できる。
すごいね。
実は日本銀行券も同じ構造で腕もいい経師屋はお札を二枚にはがせます。
これはマネしないように!(犯罪です)
こんな道具を使ってます。

紙を断つのに使う断ち包丁、切味抜群。

刷毛と糊盆。

右端が裏打ちに使う打ち刷毛、半月型のが撫で刷毛、ほかは糊刷毛。
おれは長男だけどハナからさらさら継ぐ気はなく、落語家になってしまいました。
八代目可楽も経師屋の長男だったからとりあえずそこにあやかるとしよう。
ちなみに妹の亭主がクロス屋で、今親父から表具を教わっている。
世の中うまくいくもんだ。
あ、「襖」は「ふすま」と読みます。

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