花粉症の薬を買いに、年に一回訪れる東急大井町線荏原町。
隣駅の旗の台との間にある商店街にはいつもそそられる。
前回は鶏屋の店先でササミチーズカツを買い食いしたが、今回は駅前のラーメン屋に入ってみた。
二階にテーブル席があるらしいのだか、ぱっと見カウンターだけの狭い店。
カウンター越しの厨房に中国人の店員が一人。
壁に貼ったメニューにさりげなく「上海蟹」などと書いてある。
うまそうだ。
あとから地元の肉体労働者らしき常連さんが。
「しばらくいなかったな、大気汚染?」
「帰ってたよ、中国の正月。帰りに飛行機遅れたよ」
「大気汚染?」
「違うよ。焼酎あるよ、ボトル」
「ないよ」
「ホントだ。この前飲んじゃったか」
活字にするとなんともないが、二人とも別の種類の言語不明瞭さ。
はたで聴いててよくこれで会話が流れていくもんだと感心する。
大気汚染にたいしてもけっこうしつこいのに全くいやらしさがなく素敵である。
いつかこの街で飲みたいな、と思いながら店をあとにする。
醤油ラーメン、旨かった。


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