2013/9/27
運動部の体罰が問題になっていますが、これは運動部だけの事ではありません。
吹奏楽関係でも多くある問題で私も沢山の例をこの目で見て来ましたし、これらに関する多くの相談を受けています。
吹奏楽の体罰の場合は直接の暴力に加え、嫌がらせやいじめ等陰湿なものも多く部外者には分かり辛いのも問題です。
しかし、吹奏楽の現場ではこれを当然の事と考え問題意識を持っていない指導者も多く、被害を受けている本人も当然の事の様に洗脳され、上手くなる為には仕方が無いと思っている保護者も多く、問題提起をした人が非難される事もあり益々解決を難しくしています。
体罰の是非の議論は色々なところでされていますが、体罰で本当に子供達は上達するのでしょうか?
体罰を肯定する人達の多くが「先生のお陰で…」と一様に言いますが、本当に体罰をする指導者の指導の成果でしょうか?
答えは「ノー」です。
叩かれて嬉しい人間もいなければ、屈辱的な言葉を吐かれて嬉しい人間もいません。
子供達も同様です。
体罰を行う指導者(と呼べるか分かりませんが)の多くはこれに恐怖心も伴わせます。
子供達はこれらから逃げる為に死に物狂いで必死に練習するのです。
その結果上達し勝つ事が出来る訳です。
つまり、これは指導の成果ではなく子供達の努力の成果なのです。
しかし、この練習方法は知識の乏しい子供達の努力に頼っているので非常に効率が悪いものです。
体罰を行う指導者はこの効率の悪さを休み無く行われる長時間の練習で克服しようとします。
スポーツを勉強した人ならば誰でも知っている事なのですが、成長期の子供にこの様な練習をさせる事は多くの問題がありますし、疲労困憊の中で練習する訳ですので怪我のリスクも非常に高くなります。
http://www.training-craftsman.com/takumasiinikutai-tisiki-growth.html
http://www.know-dt.com/b_train/012_growth.html
スポーツや楽器を勉強する子供達はスポーツや音楽が好きで頑張っているはずです。中にはプロになりたいと思っている子供も少なく無いでしょう。
正しく指導されていれば避けられた怪我で大好きなスポーツや音楽を諦めなければならなくなる子供達が沢山いるのです。
中には学生時代に勝った事で満足出来る人もいるでしょうが、多くの人が出来れば大好きなスポーツや音楽を一生楽しみたいと考えると思います。
こう言う事を言うと「嫌ならそんな練習しなければ良い。」と言う人がいます。
しかし、それが出来ない現状もあるのです。
体罰を行う指導者の多くが選択肢を持ちません。指導力が無い為に選択肢を用意出来ないのです。
そこで自分のやり方を疑う人間を排除しようとします。
つまり、このやり方に従わない事は部活動で相手にされなくなる事を意味しますし、この様な子供達を助けられる人達も周りにはいないのです。
この様な無責任な指導者の誤った指導で子供達の将来を奪っても良いのでしょうか?
体罰(言葉の暴力含)をする指導者は指導力がないと思うべきです。
私だけでなく多くの専門家が同様の事を言っています。
http://matome.naver.jp/odai/2135791002863231601
http://www.good-news.jp/coaching/kakkoii.htm
また、極度の緊張の中で実力を発揮する事は出来ません。これには余程の精神力が必要になります。
指導力の無い指導者は根性論を前面に出し試合やコンクールで力を発揮出来なかった子供達を罵倒します。
しかし、この様な子供達は四六時中苦痛に耐え精神力で頑張っているのです。
つまり、絶えず根性を使い根性自体も疲れ切っているのです。必要な時に根性が出せないのは当然の事でもあるのです。
恐怖の中での練習は非常に効率が悪く、恐怖心の中では実力を発揮し辛い。
最近はスポーツも音楽もレベルが非常に高くなって来ています。
既に根性だけでは勝てないレベルとなっているのです。
効率良く科学的に練習しなければ到底勝つ事は出来ません。
根性だけでこのレベルをクリアするには1日25時間練習しても足り無い様な感じなのです。
指導者の指導力を見極める簡単な方法があります。
下手な子供や個性的な子供の上達振りを見るのです。
指導力がある指導者はこの様な子供も確実に上達させ、チームのメンバーとして育てて行きます。
それに対し指導力がない指導者はこの様な子供達を切り捨てようとします。
指導力がない指導者は自分の思い通りにならない生徒をすぐに排除しようとする。
上手な子供は放っておいても上手になります。この様な子供達ばかりを相手にするのは指導力が無い証拠です。
一流選手や一流の音楽家を見て下さい。
個性的だったり子供の頃目立たなかった様な人達が沢山います。
この様な子供達を切り捨ててしまうのはダイヤモンドの原石を捨ててしまう様なものです。
そして、音楽でこの様な指導を続けて行くと子供達は感情の無いロボットの様になって行きます。
音楽に最も大切な感受性が失われてしまうのです。
100歩譲って、仮にこの様な指導で技術が上達したとしても感受性の育っていない子供達に音楽は出来ません。
体罰を肯定する皆さん。
これでも体罰は効果があると思いますか?

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