私が中学校の教員をしていた時ディズニーの映画を道徳の授業で時々使いました。
作者が意図したテーマとは違うかもしれませんが、勝手にテーマを付けて観てもらうと子供達に様々な事を客観的に考えてもらう事が出来たのです。
ピノキオ→無知の知
ピーターパン→親離れ
ダンボ→いじめ
30年以上前の事なので大分忘れてしまいましたが…
今でもこの様な授業は可能なのでしょうか?
最近のディズニー映画には子供だけでなく大人にも様々な事を客観的に考えてもらうのに良い映画が増えている様に思います。
「フック」「ライオン・キング」等からその様な事を感じ始めました。
私は吹奏楽の指導法(コーチング)について度々コメントしています。
このコーチングをテーマにしていると勝手に思うのが「モンスターズ・インク」です。
士気を高める為に敵を作り、恐怖心を利用して組織を管理し、高い成績をあげた者だけを評価する…この様な組織を維持する為に発生する数多くの矛盾点が描かれた映画だと見る事も(私には)出来るのです。
この様な運営方法が非効率的であり、矛盾は日に日に大きくなりどんなに努力しても継続は難しく、正しいと信じている事を疑う事の大切さ迄描かれています。
ライバル校を作り、体罰ギリギリの指導をし、コンクールで勝つ事だけを目標とする…似てません?
最後には敵を作らず恐怖心も与えず相手を尊重し皆が幸せになれる事を目指した理想の組織に生まれ変わった時の皆の表情も描かれています。
純粋に娯楽として楽しむのが本来のディズニー映画の鑑賞の仕方だとは思いますが、時々はこんな鑑賞の仕方も良いと思います。
何度も言いますが、体罰を与えたり怒る事で上手くなる事等絶対にありません。
その恐怖から逃れる為に必死で練習するので上手くなった様に見えるだけです。
これは泳げない子供を足が届かないプールに放り込んで泳ぎを覚えさせるのと同じです。
泳げる様になるかどうかは偶然に頼るしか無く非常に非効率であり絶えず危険な状態です。
仮に泳げる様になったとしても水泳が好きになるかは非常に疑問です。
指導法を学んだ指導者ならこんな非効率で危険な方法を選択する事は無いはずです。
もっと安全で効率が良く楽しい練習方法を選択するはずです。
楽しさの中で効率良の良い指導を続けていれば子供の中に自然に向上心が生まれて来るのです。
そして「練習しろ!」等と怒鳴らなくても勝手に練習する様になります。
この為にはすぐに結果を求めず待つ事も大切だと思います。
厳しさに酔うのでは無く本来の目的を思い出し、それを達成する為に何が大切なのか考えながら「モンスターズ・インク」を観ては如何でしょう。

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