赤峯勝人さんというお百姓さんがいます。
この人の書いた「人参から宇宙へ」が私の農への扉になりました。
12,3年前のことです。
たまたま手にした「人参から宇宙へ」にショックを受けて
早速、赤峯さんに会いたいと電話をしました。
大分の人です。
不思議なことにそんな出会いが時々あります。
会いたいと思ったら、一週間後にチャンスが来る・・・。
この人も鈴鹿に講演に行くからということでした。
真っ黒な顔をして
草の中にできる大根やナズナと一緒に生える人参の話・・
そこに共に生かされている宇宙が見えてくる・・・
でも度肝を抜かれたのは
最後にある本を高々と掲げて
「私の話は全部忘れてくれていい・・でもこの本だけは読んで欲しい」
手にされていたのは
北御門次郎という人の訳された「イワンの馬鹿」でした。
その少し濃いピンクの本は私も持っていて
北御門先生には、私の師匠から「早く会いに行かないともう亡くなってしまうよ。
お年だから。」と誘ってもらっていたのでした。(行けずじまいでしたが)
何度かその本の出版社に電話をして150冊ほど注文しては
いろんな人たちに買ってもらいました。
電話の向こうにおそらく80をゆうに超えたおじいさんが出てこられて
「北御門先生と一緒にこの本を持って保育園や幼稚園に行ったもんです」と。
その方とお話ができただけで嬉しく何か大切なものを手渡された感じがしました。
北御門先生は「世界中の学校でこのイワンの馬鹿を教科書にしたら戦争は無くなる」と
訴えておられたのでした。
言い知れない深い出会いを感じました。
いまの「森の風」の出発点はあそこにあったような気がします。
そんなことを思い出したのは
今朝5時ごろから起き出して畑に行ったからです。
昨夜の風がきゅうりをだめにしていないか心配で出かけたのですが
草の中で生き生きとしているナスやピーマンを見つけて
「人参から・・」を思い出したという次第です。
草の中の野菜の方が生き生きしているのですよ。
土も湿っているし・・。
やはり考えさせられました。
人間って何してるんだろ・・・。
トマトを育ちたいように育てて何万個もの実を生らせた野沢先生のことや
りんごを育ちたいように育ててるだけと言って
最高に美味しいりんごを作っている青森のおじさんのことも思い出しました。
私の中でもっと解りたいがむくむくと湧いて来ています。
「いのち」のこと「いのちのつながり」のこと
ほんとに何も知らない
草のこと、小さな虫達のこと・・彼らが何をしているか
土のことも・・いのちを育んでいる支えている土なのに・・。
体で解りたい・・・。
「育つ」ということをもっと地べたから見直したい。
こんなに「いのち」のことに無頓着だったのに
教育を語っていたことが恥ずかしい朝でした。