2012/12/31

2012年備忘録 〜遊びごころの時間〜  舞台裏のひとりごと
落胆、という言葉は本当に「がっかり」、「がっくり」、という感じがします。
「腑に落ちる」のなら良いのに、「胆に落ちる」のは、なんとも堪えるんですね〜。
このところの日本の社会は落胆することばかりです・・・。

ドイツ語で言うと、Enttäuschung エントトイシュンク、
訳せば意味は「がっかり」、で同じなのですが、
面白いのは この言葉はEnt-Täuschung という二つの言葉からなっていて
Ent は引き剥がす、Täuschung は騙し、ごまかし、思い違い、という意味なのですが
Ent には解き放つ、という意味合いもあるので
言葉通りに受け取れば、「思い違いからフリーになる」、
みたいなニュアンスでもあって、面白いです。

「落胆」、より「真実に目覚め」たのだ、と思えば「腑に落ちる」、
ま、いっか、ですかね?

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昨年に引き続き、やはり気がかりなことが山積みの
日本と世界と私の一年ではあったのですが、
遊び心を刺激されることもたくさんありました。

10月のサントリーホールでの、能舞との共演、室内オペラ「夕日の耳」公演
大変だったけど本当に面白かった。

長年の構想を形に出来て満足でした。
協力してくださった皆様、興味を持ってご来場くださった方々に
心からお礼申し上げます。

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梅若能楽堂でのリハーサル


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楽屋裏、紀彰さんの衣装合わせ


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同じプログラム内、成田山のお坊様の読経とコントラバス・白土文雄の「無明長夜」(前田智子作品)リハーサル風景です


「夕日の耳」公演の翌々日、六本木のライブハウス「The 1633 Tokyo」で行った
お琴(まさこリラ)ヴォーカル(ひろえロコ)・ヴァイオリン、
私にとってのライブハウス・デビューも、まあ、滅多に味わえない経験でした。

リハーサル&フォトセッションも、楽屋裏での念入りなメイクアップも

女性三人、
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ほんと、楽しかったです。もちろん、演奏も、ね!


11月半ば、九州・八女での深町信秀さんのリュートとのデュオも初めての体験でした。
古くてもバロックから始まる私の普段のレパートリーです。
温故知新、ルネッサンスの響きを垣間見て、
音楽が詩を吟ずるところから派生した時代を実感した次第です。
面白かった!

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私にとっては、最初ほんとに不思議な楽譜で・・。

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2012/12/30

2012年備忘録 〜ある問いかけ〜  舞台裏のひとりごと
大晦日を明日に控え、チューリッヒは良い天気ですが気温は下がって来たようです。

恒例の私のおせちづくり、手始めに黒豆を煮ました!
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来年もマメに暮らせますように!

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今年を振り返ってみると、いつもに増して、
仲間から声をかけてもらったり協力者に助けられて実現できた
新しい経験がたくさんありました。

その中でも、元旦に100回目を迎えた「ヴァイオリンひとり」や室内楽のプログラム、
あるいは弦楽合奏との共演、などと共に、

これまでの流れから少し踏み出した、特に印象に残った演奏の機会を
いくつかあげて記憶にとどめておきたいと思うのです。

2012年1月末、富士宮で行われたフォトジャーナリスト豊田直巳さんの
「イラク・チェルノブイリ・フクシマ」の講演にてバッハの無伴奏ソナタを演奏しました。

イラク戦争と原発事故、一見直接的な関係を想像できない事柄ですが
闇の、ともいえるその深い繋がりが講演の中で語られ、
また飯館村の酪農家の方の絶望の姿が浮かび上がる写真とお話、など
衝撃を受けました。

一方では、映像とお話への感情移入の極みに、
そこで演奏することの思いがけない難しさを、

そして何よりも、
その空間を共有すべきは
「その場に居なかった多くの同胞」であるのでは?という思いと

普段、「その場に居る聴衆」を前に演奏することが
疑う余地のない私の本来のテリトリーであるわけで、その
何とも言葉にできない隔たりを、そしてある種のむなしさもどかしさを
感じたのでした。

音楽が、何かの不思議な力を持っているのは確かなことです。
人の心を癒したりなぐさめたり、物思いに誘ったり、

そして、内に抱える色々なジレンマも演奏者としてそこに居合わせる、
その役割に愛着と自覚を持つことで救われもするのですが、

音楽家であるまえに、社会の一員、ひとりの生活人、であることに
思いを新たにさせられるような、
何か深い問いかけを受けたような体験でした。

自分にしか答えの出せないであろう問いかけ、
答えは・・
当分の間の、私の宿題となりました・・・・。

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折しも、豊田直巳さんの写真展のお知らせが届きました。

◆福島県飯舘村の酪農家長谷川健一さんの奪われた故郷を撮影した写真展。
2013年1月11日(金)〜14日(月) 
会場/全労災ホール/スペースゼロ 新宿西口
入場/無料
主催/飯舘村写真展実行委員会 (代表) 小林晃

http://www.spacezero.co.jp/schedule_gallery
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2012/12/26

春の軽井沢 室内楽ワークショップ2013  室内楽ワークショップ
オフィスNでは、2013年3月に軽井沢の駅からほど近い「友愛山荘」を借り切り
恒例の室内楽ワークショップを開催します。

早7年目になるこのワークショップは、
音大生、プロ、プロを目指す音大卒業生、アマチュア音楽愛好家、
年代も高校生からシニアまで、
全国から楽器を抱えて参加者が集まります。

「自分が何人もいればどんなに楽だろう」、と思われるかもしれない合奏の苦労は、
4日間の合宿の間に、一方では音楽の「近未来図」への意思の疎通と演奏技術の磨き、創意工夫の連続で
本当にそれぞれのグループが感動的ともいえるまとまりとエネルギーを共有し、
一方ではそれぞれ自分の課題を再確認しつつ最終日の成果発表のコンサートで花開きます。

人の想像力って素晴らしい、音楽はコミュニケーションの最高の形、といつも感動してしまいます。

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昨年8月の室内楽ワークショップ IN 志賀高原の発表会より

仕掛ける側は、毎回一から始める選曲とカリキュラムの組み方で
いつも悪戦苦闘をするのですが、
ワークショップの成功はまさにこの2点にかかっている、
といっても過言ではありません。

また頑張ろう、っと!

室内楽を愛する方々、どうぞ奮ってご参加くださいませ!

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日程 2013年3月28日(木)〜3月31日(日)
場所 軽井沢・友愛山荘、軽井沢教会・幼稚園

講師 河村典子・白土文雄・小野崎純

詳細はこちらのオフィスN掲示板をご参照ください。

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それにしても、オフィスNのHPの更新ができなくなってしまいました。
サーバーの不具合なのか何なのか・・・。
うーん、私の手には負えませぬ・・・

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2012/12/23

2012年備忘録 〜イエローカード〜  舞台裏のひとりごと
4日前に6カ月ぶりでチューリッヒに帰って来ました。
しばらく前に大雪が降ったと聞いていたけど、今は雪がすっかり消えて
町は光にあふれクリスマス一色です。


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チューリッヒ中央駅前の広場


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駅構内一杯に立ち並ぶクリスマスマーケット

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さて、人類滅亡の日と言われた12月21日も無事に過ぎ
2012年も残りわずかとなりました。

私にとってブログを書く、ということは主に

「今後の計画」をお知らせし、心の覚悟を決める
「事後の報告」を兼ねて起きたことを振り返る
「日頃考え感じていること」を書きとめる

という、まあ三つの意味があるのですが、

あらま、今久しぶりにブログを書こうと思って見てみたら
最後の投稿の日付はなんと9月初めではないですか!

色々とあった2012年ですが、今読み返してみると
(ほんと、そんな時間は久しくなかった・・・)
「今後のお知らせ」ばかりで「振り返る」ということがまず無くて、
ずいぶん前のめりに過ごした一年だったのだな、と思います。

事が滞りなく執り行われたことに感謝、という気持ちが当然含まれる
「事後報告」が抜け落ちているこのところの投稿は、
そういう意味ではずいぶんと礼を失してしまったのかも・・・。
今年も色々な方にご協力を頂き、活動に興味を持って頂いて
無事にここに至ったわけです、
遅まきながらあらためまして皆様に心から感謝いたします。

そして、「日頃考え感じること」に関しては、3.11以降
「音楽に携わる者として今何をすべきか」という根源的な疑問に始まり、
とにかく煮詰まってしまうくらい色々あり過ぎて
書きとめるエネルギーが追いつかなかった、という感じでした。

年末年始スイスで過ごし、心と身体のリフレッシュに努めるにあたって
今年を振り返り、自分を振り返り、備忘録として少し書きとめられたらと思います。

2012年私の今年の一文字漢字を挙げるとしたらなんといっても「病」です。
生まれてこの方、丈夫なのが取り柄、医者いらず・薬知らずで過ごしてきた私が
7月初め、なんと二週間の入院を余儀なくされました。

軽い脳梗塞でしたが、といっても、結果的には手術も必要なく後遺症もなく、
病院に行ったタイミングも良くて大事には至らずに済んだのです。
今、薬は続けていますが(しかも大量に!)
「病気は罹ってみなければわからない」、というのを身を持って知ったことに加え、

退院の時に、息子くらいの若い担当のお医者様に
「これから私はどう生きて行ったら良いのでしょう?」
と聞いたら、「いままでどおりで大丈夫ですよ」
と言って頂いたものですから、相変わらずあちこち動き回ってはいますが

イエローカード
(スイスでは「黄色いカード」といえば、まずは郵便貯金のカードのことなのですが・・・)
をもらってしまったことを肝に銘じてはいます。
「次は退場」、なんてことになったら困りますので。

でも、私にとって入院の前と後で何が違ったか、というと
何よりも、病室と外界を隔てる窓の内側で
「命」と「未来」に関わる人々の戦いを身近で体験したということでしょう。

入院の二日前、怒りと無力感の持って行き場を求めて
私は官邸前の原発再稼働反対のデモに初めて参加していました。

デモに参加してみて初めて分かったこと、
参加してみなければわからなかったことについては、以前のブログにも書きました。

私の病の原因は実は「怒りと無力感」のストレスがもたらしたのではないか、と
自分では確信していますが、

入院してみて、そこは脳障害研究所の付属病院でしたから
重体の、退院も危ぶまれる患者さんのいる病室もあったし
同室の患者さんたちも、快方に向けて日々戦っている状態の方たちでした。

私はそれこそ軽症でしたので、自分のことは何でも出来て
そこいらへんを結構自由に動き回れていましたが、
周囲のそういう患者さんたちの戦いを間近で見て、

デモに参加せずにはいられなかった私の怒りは
どういうことだったのか、あの怒りは怒りとして
怒れるという状態も実は人として恵まれたことだったのだ、と
思い知ることになりました。

恵まれたこと、というのは奇妙な表現かもしれませんが
あの、何か憑きものが落ちたようなあの気持ちは
忘れないでおこう、と思いました。

同時に、3.11以降、演奏することがある意味苦しくてしょうがなかったのですが、
少し楽になりました。
そうか、良いのか、演奏することをしていけば良いのか、
と腑に落ちる感じ・・・。

2012年の私。
「病」に削いで貰った「怒り」と「迷い」でした。


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今年も色々な面白い場所で演奏させていただきましたが
特に印象に残った場所のひとつ
初めてのリュートとのコンサート、福岡・星野村の古陶美術館です。
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