2018/4/15

東京五輪教材裁判始まる  Y暴走する都教委
 ◆ 都教委が全校配布した五輪学習読本は「違憲・違法」
   保護者含む都民94人提訴
(週刊新社会)
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増田都子・元千代田区立中学校教諭、長谷川直彦弁護士、増山さん、高嶋さん(左から)、撮影は永野厚男

 2020年開催の東京五輪に向け、東京都教育委員会が16年4月から都の全公立学校(小学校4年〜高校3年)に、「年間35時間程度」五輪教育実施を義務化するに際し、合計1億6285万円余をかけ五輪教材を配布した。
 その行為に対し、保護者を含む都民ら94人が提訴した損害賠償請求訴訟の第1回弁論が3月22日、東京地裁(上田哲裁判長)で開廷した。

 都教委作成・配布の『オリンピック・パラリンピック学習読本』(以下『五輪学習読本』)、映像教材DVD、『五輪学習読本・映像教材活用の手引』(いわゆる教師用指導書)のうち、


 五輪読本は小学校用で「表彰式の国旗けいようでは、国歌が流されます」、中学校用の表彰式の写真説明で、1位の国の「国歌演奏」時「敬意を表し、起立して脱帽する」などと記述。

 これに対し、高嶋伸欣琉球大学名誉教授を代表とする原告は、訴状で次の2点を中心に『五輪学習読本』の当該記述は「違法・違憲のものである」とした。

 @ 五輪憲章は「掲揚されるのは『選手団の旗』であり、演奏されるのは『選手団の歌』であつて、『国旗』『国歌』とはされていない」としており、「明白にオリンピツク憲章に違反した誤謬のものである」。

 A 1976年5月の最高裁旭川学力テスト事件大法廷判決が「憲法26条、13条の規定上からも許されない」と判じた、「誤った知識や一方的な観念を子どもに植えつけるような内容の教育を施すことを強制する」ものである。

 法廷で、高校生と小学生の母親である映画監督・増山麗奈さんは「平昌五輪で、ドーピング問題のあったロシアは選手団として選手が参加、北朝鮮と韓国は統一団として開会式に参加、国家とされていない台湾は『中華・台北グループ』として参加している。子どもたちに嘘を教えないで下さい」と陳述。拍手が起こった。

 閉廷後の報告会で高嶋さんは、五輪憲章が「1つのNOCを構成する単位」として定めている「カントリー」という語は、「単一の国家(NATI0N)」の場合と「ある国の一部をなす区域(TERRITORY)」の場合があるから、「単純に国と訳すのは誤りで、日本語にするときは『国・地域』としなければならない」
 と、(財)広島アジア競技大会組織委員会発行の『アジア大会実務のための基本知識』(1993年4月)に明記されていると述べた。

 また高嶋さんは、司法記者クラブの記者会見で人権救済申立のできる事案であり、軽い問題ではない」と指摘した。
 (教育ジャーナリスト 永野厚男)

『週刊新社会』(2018年4月10日)

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