2005/8/12

●第5回公判傍聴報告  W板橋高校卒業式
ICレコーダは"威力業務妨害"を立証しない!

 7月19日(火)曇り。今回はいつもの大法廷でなく、こじんまりした425法廷に。9時前から数名が並び始めて、9時半には傍聴券38枚は配布を終った。なお多くの人たちがやって来たようだが、傍聴できず、申し訳なかった。 4階の法廷入り口で相変わらずボディーチェックと手荷物の回収。窓が空に向かって開けているので104法廷の薄暗い廊下よりは気分がいい。しばし待たされた後に法廷へ。裁判長が一人一人チェックするかのような眼差しを注いでいるのは職業柄なんだろうか。冷たい目線とは感じなかったが。
  
 今日は第3回・第4回公判で、録音者である鯨岡指導主事、ICレコーダ一解析一覧表を作成した加治公安警察官の証人尋問を通じて、"満身創痍"の状態にある、ICレコーダの取り調べ(聴取)が主な内容であった。こじんまりした法廷がよかったのか、再生の状態はよく、心配した聞き取りにくさ、不快感はなかった。また、弁護団の配慮で、ICレコーダ分析表の一部を含む、18ページに上る「取調方法及び証拠内容に関する意見」のコピーが傍聴者全員に配られていたのはとてもよかった。
 冒頭、加治公安警察官作成の「ICレコーダ解析一覧表」(甲30号証)とTBSビデオからの現場写真37枚を証拠採用し、音声聴取の資料とした。弁護人から「ICレコーダ1式の取調方法及び証拠内容に関する意見」を提出。小沢・大山弁護士より要点の説明がなされた。

 <小沢弁護士> 板橋高校卒業式を録音したAフォルダについて
1、 ICレコーダ録音の問題性と取り調べ方法

・ 検察官請求証拠であるICレコーダの録音内容は「大声」「怒号」の立証には疑問がある。@録音者鯨岡氏は卒業式での君が代日の丸強制を目的とした体育館内の状況を記録するために臨席していた。AICレコーダでは特定の音・複数の音の距離関係が完全に不明である。B近くの大きな音を録音する時には周囲の音が録音されにくくなる特性(コンプレッサー機能)があり、録音者が聴いたのと異なる音声状況が録音されている可能性がある。以上3点が疑問の理由である。
・ 再生時間帯は、A、録音開始から式開始後の「君が代斉唱」の終了時までの32分余B、式終了後から録音終了までの29分余に限定し、Aについては最低3回以上の再生聴取の実施。さらに少なくとも1回はヘッドフォンなどで聴き取る。捜査機関による分析結果とされる「ICレコーダ再生解析報告書」とこの意見書末尾のICレコーダ分析表を対比して調べること
2、ICレコーダの録音内容について
・ 何回にもわたる多数の足音は、録音者らが藤田氏に接近したことを示すもので、かなり後まで当初の席に座り続けていた、との証言は疑問がある。
・ 1分20秒以上にわたる、藤田氏の、君が代強制に関する保護者への訴えは、教頭を含め誰の制止も妨害も一切受けずに、自由に平穏になされたことは明らかである。
・ 教頭が、コピー配布中の藤田氏に対し、配布中止を要求したことはあり得ない。
・ 藤田氏の「ご理解願って、国歌斉唱のときは、できたら着席をお願いします」との発言の直後に、教職員席の数の確認をしている、と思われる録音者らの会話がある。これは、彼らが藤田氏のコピー配布や保護者への訴えかけを、なんら問題視していなかったことを示している。
・ 教頭の怒鳴るような聞き取れない大声の後に、「おとなしくするんだな」「おとなしくするのは約束だったんだから」という藤田氏との会話がある。これらの会話は教頭が藤田氏の「参加」を許可したものと解釈できる。
・ 「このばかやろう」「・・・ぶっころすぞ」「がたがたいってんじゃねえ、こら」という、藤田氏に対する男性保護者による暴言が録音されている。これは体育館外であるのは明らかで、開式前の体育館内には何の影響もない。
・ ICレコーダの録音カウンターの分析から、卒業式の開始時刻は午前10時2分ころとなり、開始予定の午前10時からは、せいぜい2分程度の「遅れ」にすぎないと判断される。。 

 <大山弁護士> 杉並高校卒業式録音のB
都議会質疑録音のCフォルダについて

・ 杉並高校卒業式の開式は10時の予定より3,4分遅れて始った。都立高校では、数分遅れはしばしばある。
・ 開式まではざわざわしている。開式前に静粛は保たれていない。一生徒の次第にない挨拶に笑い声や拍手がまき起っている。何の制止も受けていない。
・ 学校側など誰の許可も得ず、秘密に録音していたのは明らかである。処罰のために証拠をとっておく意図が明らかだ。
・ 3月16日、都議会予算特別委員会・土屋敬之議員の質疑では、土屋氏が式場内で携帯写真を撮るなどの自らの行動は棚に上げて、板橋高校の卒業式を刑事事件化するために、横山教育長の答弁を引き出している様子がわかる。
・ この都議会のやり取りを録音していたことは、都教委がこの質疑に重大な関心を寄せ、一刻も早くその内容を知りたがっていたことを表していると言える。

裁判長:再生する場所2箇所他、弁護側の要望を受け入れ、「ICレコーダ一式」を領置するので、今回は一回だけ再生する。
  
 Aフォルダ(板橋高校卒業式)を聴いて
 < 始めの部分(録音開始〜32分19秒)>

・ 録音開始から12分位・・・指導主事の会話「警察・・至急来て欲しい。岡田さんに頼んだよ」「何やってんだよ」とても大きな声にびっくりした。男、女の声が入り乱れ、足音が響く。
・ しばらく後・・・「警察、呼びなさい」の声があり、ぼそぼそ打ち合わせをする様子。校長を差し置いて、"来賓"の指導主事がこんなことをしている。
・ 会場へ向かう録音者と思われる足音、生徒の話し声、担任の呼名指示、特に女生徒の声は高音でかしましく響く。藤田氏の声どころではなく、騒がしい。録音する位置によって、ICレコーダの拾う音の響きが全然違うことがよくわかる。
・ 卒業生入場のバックに聞こえるブラスバンドは全ての音を圧倒して響く。
・ 「開式の辞」の後「国歌斉唱」・・・「生徒が全員座っている」の声・・・「立ちなさい・・・」など繰り返す、(校長、教頭、土屋議員と思われる)いら立った大人のけたたましい声が響く。

<後半(1時間30分〜1時間49分18秒の録音終了まで)>
・ 「閉式の辞」「卒業生退場」・・・バックの音楽と途切れない拍手の音・・・録音者の声「我々は来賓なんかと一緒に校長室へ、あとで化学室へ」「X組がやっぱり担任の影響か・・・1番大きな声で歌ってたのX組じゃない」曲の音が断続的に途切れ身体が揺れている感じで、本人も拍手を続けている様がわかる。会話の調子からも、全く平穏の印象で、緊迫感は全く感じられず、よもや"告訴"などは!
・ 裁判長はほとんど目を閉じた感じで、左右の陪席裁判官は「ICレコーダ解析表」を見たり、法廷内を時々見回したりしながら、よく聴いている様子だった。
・ 化学室に戻ってからと思われる指導主事どうしの会話がとても印象的・・・「あの歌よかったじゃない・・・みんな歌ってましたよ。茶髪の・・・よかったじゃない」(最後の卒業生の歌について。安心し切って、よかったよかった、と安堵する雰囲気がでている)
「帰ります」「どうもごくろうさまでした。最初のところだけね」・・・「よかったよ、式に影響しなかったから。最初のところで」
 
Bフォルダ(杉並高校の卒業式)を聴いて
<冒頭の20分余のみ再生>

・ 「ただいまより卒業生が入場します」のあと、ブラスバンドの音がとても大きく響く。拍手の音もよく入っている。録音者の位置や音の性質によって音が選ばれたり増幅して聞こえることがよく分かる。ICレコーダによって「大声」や「喧騒状態」を立証することがいかに恣意的であるか、が分かる。
・ 後半・・・生徒S君が、卒業証書を受けたあと、「父さん、母さん、いろいろと面倒見てくれてありがとうございました。今日は卒業できました。他の教師たちは面倒見てくれてありがとうございました。友達にも感謝していて、先輩にも感謝してます。後輩は別に。(会場の笑い)あと、・・・ありがとう。みんなありがとうございます」(大きな拍手)・・・これは絶叫の感じの発声だった。会場はこのハプニングを温かく受け入れて、長い拍手で包み込んでいる様子が聴き取れた。

Cフォルダ(都議会質疑)を聴いて
<昼食休憩の後、1時半再会。Cフォルダの再生・全てで約50分>

・ 3月16日、都議会予算特別委員会、土屋敬之都議の質疑の全文は、都議会ホームページで見ることができるが、ICレコーダの音声は臨場感を感じさせ、土屋都議と横山教育長との"間髪を入れない""出来すぎた"やりとりを、目の当たりにする感がある。どういういきさつにせよ、この録音がなされていたことは、都教委がこの質疑に尋常でない関心をよせていたことを、雄弁に物語っている。
・ 「命令に従わない教員は責任を問われることがある」「多くの生徒が歌わないとしたら、適切な指導がなされていないといわざるを得ない」「指導要領に書いてある適切な指導が行なわれていれば、生徒の大半が歌わない、というようなことはありえない。指導が不足しているといわざるを得ない」・・・土屋質問に促された、横山教育長の湧き出るような、理不尽な答弁の数々。ヤジ、ざわめき、けたたましい笑いもしばしばで、都議会議場のとてもまじめとは感じとれない雰囲気も伝わる。
・ 「今の答弁で、対策本部の設置、お約束いただいた」「大きな前進だと思いますね」
議事録ではわからない、ふんいき、傲慢な語調が耳に伝わる

裁判長 ICレコーダ一式を検察側に提出させ、裁判所が領置
弁護団から、数十件の証拠書類を申請。検察官から内十数点に異議申し立て。後日、一括して、採否を決めることに。

次回公判は9月8日(木)1時半〜104法廷 北爪校長の証人尋問   検察側主尋問 120分 のち弁護側反対尋問/次々回は田中教頭の尋問の予定。公安警察・都教委の介入、"告訴"のいきさつ等の疑惑が解明されるか?藤田裁判は佳境に! 


teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ