2009/4/28

生徒から「卒業証書」  Y暴走する都教委
 ◎ 都教委と対立 元都立三鷹高校長にエール

 東京都教育委員会(都教委)の「教育改革」に反旗を翻し、定年退職後に非常勤講師の採用を見送られた都立三鷹高校の土肥信雄元校長に、今春同校を卒業した生徒5人が「卒業証書」を贈っていた。
 在職中、職員会議で挙手や採決による教職員の意向確認を禁じた都教委に対し、撤回を求めて摩擦を生んだ土肥元校長。生徒の眼にはその姿がどう映っていたのか。(秦淳哉)

 ◎ 生徒から「卒業証書」

 異変は三月二十四日、三鷹高校で開かれた教諭の離任式で起きた。この日を最後に定年退職で職場を去る土肥氏も式に出席。途中、同校を七日に卒業したばかりの生徒が舞台に上り、手作りの卒業証書を土肥氏に手渡した。「教育委員会の弾圧にも負けず」。文面には元校長をたたえる文字が筆ペンでつづられていた。
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 土肥氏は一九七二年、東京大農学部を卒業。大手商社に勤務したが、談合をするのが当たり前の風潮に嫌気がさし、二年で退職した。その後、言論の自由が保障されているとの理由で教員を目指し、通信教育の大学教員養成課程で教員免許を取得した異色の経歴だ。
 二〇〇五年、三鷹高校の校長に就任。しかし、都教委が〇六年四月に出した「職員会議では挙手や採決で教職員の意思確認をしない」との通知に異議を唱え、「言論の自由を奪う」として撤回を要求。公開討論の開催を呼び掛けたが都教委が拒否した経緯がある。
 退職後、非常勤教員の再雇用に応募したが、都教委は土肥氏を不合格とした。土肥氏は不合格の取り消しを求め、来月にも提訴する方針。


 ◎ 「名前覚えてくれた」「生徒思い」

 都教委の意向に反旗を翻した土肥氏だが、生徒や保護者には支持する声も根強い。
 ラグビー部に所属し「卒業証書」の授与を企画した一人、臼田升さん(一八)は「基本的人権の尊重と平和主義が口癖だった」と振り返る。最近の校長には珍しく指導は熱血そのものだ。「毎朝、校長が昇降口にいた。遅刻しそうで注意を受けたが、名前と顔をすぐにおぼえてくれた。大学受験の相談で校長室を訪問した時も一対一でアドバイスしてくれた」
 サッカー部だった大木大輔さん(一八)も「部活にも顔を出し、校内をいつも歩いていた。写真入りの小さいアルバムを持って生徒の名前をおぼえる努力をしていた。生徒思
いの校長で親しみやすかった」と語る。
 一方、土肥氏と対立関係にあった都教委を見る視線は厳しい。大木さんは再雇用が見送られた点も踏まえ「都教委は土肥校長が邪魔だったんだろうけど、フェアじゃない。発言を奪うのは民主主義からしてもおかしいと思った」。サッカi部だった米岡翔さん(一八)も「いい教育を目指す人だったのに、採用しなかったのは疑問だ」と都教委の姿勢を批判する。

 ◎ 非常勤不採用「おかしい」

 五人に共通するのは、生徒と真摯に向き合ってきた土肥氏が教育現場を去ることへの抵抗感だ。贈られた卒業証書は都教委と闘う土肥氏へのエールでもある。
 退職後、都教委の非常勤教員募集に応募した場合の合格率は98%を超える。都教委は土肥氏を不合格とした理由を明らかにしていないが、裁判では誰もが納得する明確な理由を提示できるのか。生徒や卒業生も訴訟の行方を注視している。

 『東京新聞』(2009/4/26【ニュースの追跡】)

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