2014/8/30

東京都の2015年度高校教科書採択  Y暴走する都教委
 ◆ 実教「日本史」来年度も都立高ゼロ
   教育内容へ介入懸念
(TOKYO Web)


 東京都教育委員会は二十八日の定例会で、二〇一五年度に都立学校が使用する高校教科書を採択した。国旗掲揚や国歌斉唱をめぐり「強制の動きがある」と記述した実教出版(千代田区)の日本史教科書を選んだ学校は昨年に続きゼロだった。記述を問題視する都教委は今年も「使用は適切でない」と各校に通知していた。検定済み教科書のわずかな記述をやり玉に挙げ、使用に待ったをかける都教委の方針に学校側が従った格好で、教育現場などから批判の声が出ている。

 実教出版の教科書「高校日本史A」「高校日本史B」は、国歌斉唱などに関する注意書きで「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と記述している。これに対し「教員の責務とする都教委の考え方と異なる」として、都教委は昨年六月、一四年度使用の教科書選定でこの二冊の使用を不適切とする見解を議決。今年六月には、一五年度用選定でも同じ見解を維持することを確認した。


 教科書選定は使用する前年に実施される。都立学校の高校教科書の場合、各校が検定教科書から使用を希望するものを選んで都教委に報告し、都教委が最終的に採択する。公立高校の採択権限について文部科学省は「設置する教委にある」としているが、実際には学校の選択を尊重することが多かったという。

 都教委の姿勢に反発する市民団体は今年二月、「教育現場への不当介入」と主張し、都に「使用不適切」とした議決の取り消しを求め東京地裁に提訴した。

 実教出版の日本史教科書をめぐっては、神奈川県教委も「教委の方針と相いれない」との見解を学校側に伝えており、一五年度用にこの教科書を選んだ県立高はなかった

 ◆自主規制拡大の恐れ
 「教育内容への不当な介入だ」「出版の自由を侵す恐れがある」−。東京都教育委員会の見解がまかり通る形で、国旗掲揚、国歌斉唱に関する「強制の動き」に言及した実教出版の日本史教科書を選んだ都立学校は今年もなかった。教育現場や出版業界からは、教科書使用に対する自粛の拡大を危ぶむ声が出ている。

 都立高で長年日本史を教えてきた男性(65)は「都教委の見解が、教員に『実教出版の教科書を選ぶのは無理』と思わせたのではないか」と推測する。さらに「この問題がエスカレートすれば、教科書の記述への批判を避けるため、出版社が内容を自主的に変える動きにもつながりはしまいか」とも懸念した。

 都高校教職員組合は七月、都教委に対し「具体的な教科書名をあげて、各学校で選定しないことを事実上強要している」と抗議した。藤野正和・執行委員長は「そもそも国の検定に通った教科書を使うなと言うのはおかしい。いずれ解釈や考え方に対する介入にとどまらず、史実をねじ曲げる事態にもつながりかねない」と指摘する。

 日本出版労働組合連合会の吉田典裕・副中央執行委員長は「実教出版はいわば見せしめにされただけではないか。これをきっかけに、戦時中の周辺諸国への加害責任に関する記述に関しても、出版社に萎縮が広がる可能性がある」とみている。

『東京新聞』(2014年8月28日 【夕刊】)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014082802000254.html

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