最近は乗らなきゃいけない仕事も減り(苦笑)実践的な馬の話も少なくなりました。
ふと、私は当然のように身に付いていることだけど、書いておいた方がいいかも!って思ったこと。
それは馬と接する時は常に念頭においておくべきこと。馬の性質や習性の延長線にあることで「馬の地位序列」です。
当たり前のことだけど、馬は飼いならされた現在でも本能として圧迫感から逃れたいという習性が残っています。これがあるから例えば追い運動で馬の目線より後方からの圧力で前に走っていくわけです。ちなみにもし追い運動ですぐ反対方向に走ってしまうとか止まってしまう、なんてことがあったらもう少し馬の目線の後ろからプレッシャーをかけてみて下さい。「馬の目」の後方です。身体じゃないですよ。「目」!
馬の本能は圧迫感のある場所より開けた場所の方が安心します。リラックスしている時にはそれほど気にしていないようですが、これが例えば複数の馬たちの中では馬たちの地位があります。みんながリラックスしている時は互いの立ち位置をさほど気にしません。でも餌の時や馬たちを放牧する時、しまう時などは馬たちはシビアです。
私は複数の馬を放牧する時は、弱い馬から放牧し、しまう時は強い馬からつかまえて帰ります。エサは数箇所に投げ入れます。この時に馬たちの力関係が分かると思います(強い馬が最初食べだすか、弱いのを追っ払ったりするので)
でも
*執拗に追い回す・追い回されるほどの力の差、またははしゃぎ過ぎる
*力の差が付きづらく、ケンカになってしまう・なりそう
こんな場合は一緒にはしませんし、やっぱり中には馬どうしの付き合い方が上手くできない馬もいるのでそこまでのリスク(身体や心の傷など)を背負ってまでは一緒に放牧しません。
(どの馬もいじけさせない・勘違いの自信は付けすぎない・なるべくどの馬も馬らしく、がモットーです)
一緒に放す前にまずは柵越しに鼻をつき合わせて力の差を確認し、大丈夫そうなら強い方のリードを付けっぱなしで様子を見、大丈夫だったら無口もはずします。
・・・ちょっと余談が長くなりましたが、
この状況で、私が立ってはいけない位置、一輪車を置いてはいけない位置は分かりますか?
答えはリル(1番左)の後ろ側。
解説は・・・
この3頭の力の順位は一番奥のスクーター→手前に歩み寄るCCそして柵沿いにいる冬毛で白くなったもうすぐ2歳のパロミノのリル。この群れの中で「私」も小さいけれどスクーターより強い存在。
基本的に私がボロ取りに馬場に入ると私のあとをリルは付いてくる。でも私が止まってボロを拾っている間にリルに強い馬たちが近づいてきた。
リルはちょっと緊張。強い馬たちの出方によっては即行で逃げなきゃならない。一輪車はもともとリルのすぐ後ろにあった。私はこのアングルの位置。そうなるともしもの時リルは逃げ場がなくなってしまう。そうなるといくら私が強いと言っても強い馬に威嚇されることの方がリルにとっては脅威なので突破しやすい私の方向か一輪車の置いてあった真後ろへぶつかってでも逃げるしかない。
それはリルも怪我するリスクがあるし一輪車も壊れる可能性。私の方へ突破するなら私は飛ばされるかなにかするでしょう。
と言うことで私はリルの逃げ場として真後ろを開けたのです。
放牧された複数の馬の中に人間が入り込むのには注意が必要です。
身体に染み付いている人だったらこんな事当然のこと。分かっている人はとても簡単そうに立ち振る舞っているから、きっと知らない人が見て事情を考えずに真似したら危ない目に合うでしょうね。
この時はスクたちがけし掛けることもなく、終始穏やかに過ぎたのですが馬同士のやりとりはいつも繊細でシビアですから、人間が馬たちの中に入る時は全頭の気持ちの動きを察してやることが大切です。それと立場の弱い馬には「逃げ場」を設けてあげること。逃げ場があるだけで安心します。

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