巡回指導での馬、その3。
1.在来馬(木曽系)Xポニー? MIX 若馬牝?
2.在来馬(道産子)Xポニー? MIX 牝
3.在来馬(木曽系)Xポニー? MIX セン
この3頭は、普段乗っている人が同じ人。たとえその情報がなくてもそれが分かるくらい、マインドも反応も酷似してる・・・といっても多少の個体差(若馬らしさだったり、道産子らしさだったり)はあるけど。この3頭のなかで1番長く乗った1の馬について。
@騎手の気になるところ(この人が普段乗っている) 慣れない場所に移動した際の人に対する従順性。新しいところでもいつもどおりに動けるようにしたい。
@私のファーストタッチ 若馬らしく、とてもフレッシュで純粋でした。この「純粋」というのは、追えばぶっ飛んでいくけどなだめるとすぐに落ち着きこちらを見る。ということは、完全に頭が真っ白になるほど興奮・緊張することは決してなくて、リアクションを大きくとっていても頭の中はクールだと言うこと。
@対策 馬が純粋だと言うこと、頭はクールでただ、場に緊張しているだけと言うことが分かったのでこれは「馴致」経験を増やしていけばいいだけの話です。家でやっていることがどこでも出来るようになればいいのですから、反対に家でもやったことないような新しいことやきついことを慣れない場所でやってしまうと余計に新しい場所が嫌な印象になります。
私のプログラムは
1.場所に慣れるまで(いつもどおりのマインドになるまで)は、追い運動で不安や恐怖心を発散させる。
2.騎乗して馬が自信を持って出来る動きをする(家で正解率の高いこと)例えば速歩で安定した走りをするとか。
3.騎乗者の気にする問題を解消。ただし馬がビックリするような斬新なことはしないで、クールなまま受け入れられるような方法でサポートし、馬に自信を付けさせる。
なので、1日目は私は関わらず。でも騎乗者はよく馬を理解していて、私が助言せずとも奥の方で馬を追い運動させて発散させていました。
2日目にはだいぶ普段どおりになったのかな〜と言う印象(聞いてはいないけど乗ってる雰囲気で)でも時間がなくてこの日も結局私は関わらず。
3日目に乗りました。前日見ていたら指示をきっちり出すか(10の指示)ルーズ(1の指示)かという感じの乗り方で、コンタクトを取っているときはとてもいいのだけど、ルーズにすると安定しない(主に頭の位置)という状態。(それでも身体はほとんどぶれることはなかったように思うので、かなり上手に作ってあります)
私は、乗り変わってしばし感触や反応等をチェックしながら馬との折り合いを取って(初めての人間が乗ってすぐにガチャガチャやるのは不安感を煽る)その後、5の指示をきつくする事もなく緩める事もなくずっとキープして直線運動や曲線運動、カウンターなど色々な体勢を取らせました。5の指示の具体的には、ハミを軽く当てたままほとんど左右上下に動かさず、あとは脚と重心(ボートこぎのオールのように馬の体勢を両足で助ける。重心を外に内にまっすぐに後方にと使い、走るコースを助ける。最初は馬も分からないので脚や重心をオーバーに使うけど、すぐに馬も正解するので徐々に弱めていって(これが正味5〜6分?)馬に自信が付いた所でレインをルーズ(1)に。
@成果 ↑でルーズにしたら馬も安心し自信が付いたように、頭の位置も変わらずに体勢も自在にコントロールできるようになった。その後その場で騎乗者は乗らなかったけど、よく分かってくれたようだった。
@先日、その騎乗者がその馬を連れ出して小さな競技会に出ていたが、気になっていたことがかなり軽減したと聞きました。よかったです。
出来上がった馬で、理解しているなら10と1でメリハリをもたせるアプローチは有効ですが、経験の少ない若馬はいきなり1(ルーズ)というのは不安に感じてしまいがち。そこで人間が不正解だと強くプレッシャーをかけたりすると自信をなくしてナーバスになってしまいます。実際、この馬たち3頭ともハミに対して少しナーバス、神経質な反応をしていました(ルーズからハミを当てた瞬間にビクッとする)これは1と10だけで作っているからで、作っている人間もとてもまじめというか、完ぺき主義な向き合い方をしていると思われます。
でも、それは通り道には絶対あるべきで、それが出来た上で今度はあえてファジーさというか、曖昧さも持ち合わせるとより手の内に入れる幅が広がると言うものじゃないでしょうか。
彼の作る馬は、非常にマナーもよくて個人的にはとても好きな作り方です。今の彼は私の数年前とよく似てます。昨年触った馬(全乗協HPの動画に出てる馬)も遊びが非常に少なくて日本刀のようなシャープさというかストイックさ、個人的にはとっても好き(スイッチONのフルーリーくらいのキレのよさ)だけど、それだと操れる人間が少なくなるのでもう少し余裕のある馬にするようにいいました。今年はだいぶマイルドに作ってありました。
1の馬は素直で吸収もいいので乗ってても楽しいと思います。今後を楽しみにしたいと思います。(全乗協HPの動画はどなたでも観れるようになりました)
それともう1つ。人への集中が足りないと騎乗者は問題視していたのですが、人への集中っていうのは見た目(耳とか顔の向き)じゃないと思います。乗ってるとき、馬の耳が後ろに向いてなくとも、またそっぽを向いていたとしても1の指示で正しい反応をするようならば気持ちはこちらにあるということです。本来の目的は指示にすぐ反応することです。本来の目標を履き違えないように。とても似てるけど集中は後から付いてくる結果です。でもとてもいい質問でした!

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