アメリカ滞在中、あるトレーナーからいろいろとお話を伺うことができました。
その方はNRHAダービーオープン、レベル2でチャンピオンにもなっている方。そしてAQHAワールドショーのジャッジもされる方。このお話を名前を明かして私のブログに書いていいか聞いたら、英訳し自分で間違いないかチェックさせてくれないと、発信の責任が持てないということから(ごもっともです。その言葉を聞いてますますその方の誠実なお人柄を感じます)お名前は伏せておきます。
お話聞きながら書き取ったので、間違いはないかと思いますが、もし英訳する機会があって間違った点があったら赤字で訂正します。
*****
〜Finish Horse(調教が入りきった馬)の維持について〜運動の進め方編
@運動・乗り始め・・・はじめはゆっくりとした駈歩。すべてゆっくりと。気になるところ、悪い個所もゆっくりと直しはじめて徐々に強めてきっちりやっていく。
@悪いところの直し方(伸びちゃうとかストップが入らないとか)・・・1番大きい問題は、抵抗(硬さ)が取れるまで片方ずつやり、ある程度取れたら次の問題へ進む。(例えば、右をある程度やったら左をやる)最後に両方を当てて確認する。
@ストップの後に回転させるのは?・・・ストップを終えても次の運動があると、意識させるため。
@個々のマヌーバ―ができるようになったらいろんな組み合わせで2種を組み合わせて(繋がりを確認)ショー本番で全てを組み合わせる。
〜Finish Horseの維持について〜心構え編
@Finishした馬は例えて言うなら「コップの水が満タンの状態」
@ビギナーに乗せるというのはその水が減っていくのと同じこと
@少し減ったらすぐにその分を足して、常に満タンに戻すことが大切
@減り続けると、ある時底に穴が開いてしまい、そうなるといくら足しても満タンには戻らない
@(例えば)週に2日ビギナーが乗るなら5日は足すことを念頭に乗って行く
@メンテナンス箇所をメインに、しかし「やり過ぎず」他の箇所もチェックすること
@全てのマヌーバ―をチェックする(チェックは低速から始めて100%まで)
@マヌーバ―とマヌーバ―のつながりをチェック(いろんな種類の組み合わせで)
@悪いところは「やり過ぎないこと!」
@馬がそのマヌーバ―を嫌いにならないこと
*****
「コップの水が満タンな状態」の表現がとても分かりやすくて、このお話全てが自分の心に沁み込んでいきました。
レイニングの理想は「馬が自ら進んで演技しているように動くこと」だと思います。馬自身のやる気がポイントなんだ。悪いところをしつこくしつこく注意されると苦手意識というかそれをやるの、嫌になっちゃう。自分だって。
根本はどのトレーナーも同じなんだと思う。でも方法はちょっとずつ人によって違うんだとも思う。それは今回乗せてもらった馬(トレーナー)によって馬への指示の出し方が違ったし、そういう細かいところは本人の理想や性格、方向性などでカスタマイズしているんだろう。
ただ、馬へのスタンスはみな同じ。それはどの厩舎でも必ず出迎えてくれる犬たちの態度を見ても感じることだった。アメリカ人のしつけ方は対人でも、対動物でも、日本古来の方法とは違いが明らか。ここから意識して行かないと追いつけないんだろうなって。
今回私はいろんなレベルの馬10頭くらい?跨らせてもらった。どれも5分程度でサークル、スピン、ストップをやりました。
ほとんど毎回同行トレーナーに「持ち過ぎ!脚使いすぎ!ストップでハミが当たっちゃってる!」と指摘。私、日本じゃ割と長く手綱持つ方だと思うんだけど…でも指摘されるということは出来てないということ!
これは自分と向き合ういい勉強でした。跨ってすぐに馬と折り合いをつけなきゃいけない。サークルを2〜3周すると折り合いが付きはじめる。だけど本心ではまだ分かり合えていないのが分かる。馬が私より少し前にいる。それを引きずってるからストップで拳にこわばりが出る。
この、初めての馬に跨る5分が自分の全神経、全感覚を研ぎ澄ませて馬を探り、耳だけは指摘を聞いて…すっごく精神的に疲れる、でも最高に至福の時間だったのです!アメリカの試合で借りた馬たちや大会会場で試乗した売り馬たちとは、なんか全然違う感触の馬たちだった。オープンレベル4のトレーナーがコップ満タンの状態にしている馬や、色んな人を乗せたことのない馬だったからなんだと思う。ホッントに良い経験をさせてもらいました。この機会を与えてくださった方々に感謝!

1