ユースワールドカップ2016代表選手選考会(二次予選)
JQHAから18歳以下の日本代表選手2名を来年オーストラリアで開催されるユースワールドカップへ送り出すための選考会があって、一次予選(5月開催)終えた時点でポイント獲得2位の怜奈。
二次予選になるこの大会には、北海道や九州からの参戦もあり、1日目を終了。1日目の競技を終えた時点で1ポイント獲得の1位が1名、0.5ポイント獲得の2位は怜奈ともう一人。
2日目の競技で1位になると1ポイント、2位は0.5ポイントが加算される。ということはこの時点でまだポイントを持っていない選手にも可能性があるという超接戦!
その決戦の時
暫定一位の選手はオフパターンでスコアゼロ。獲得ポイントは1のまま、暫定2位の選手はスコア66で現在トップスコア。怜奈が66.5以上取れば1位。ゼロなら落選という状況。そして怜奈の走行が始まり・・・
スピンでもたついたり、レススピンだったり・・・2回目のリードチェンジが遅れたり・・・最後のストップはなぜかセンターマーカー手前でモーションに入ったりして63だったけど2位で通過。
予選すべて終えて、一位は1.5ポイント獲得で決定。怜奈は1ポイントで2位タイ。ということで2位決定戦を行うことに!
JQHAはジャッジに選考のルールをゆだねてあって、ジャッジの出したルールは「ホースマンシップ(レールワーク)」と「ショーマンシップ」
この二種目は人間が審査対象の種目。
ジャッジは、ワールドカップに行くのは選手で、馬は現地の貸与馬ということや、現地に行けばあらゆる問題に直面することもあるだろうと、その時にそれらに適応して乗り越えられるようにという思いもあって経験のない「ショーマンシップ」を入れたよう。
怜奈はもちろん、私も全く未知のショーマンシップ。まずはジャッジが両選手にレクチャーしてくれて、その後各々親子で猛練習。親だって混乱しながら指導しているんだもの。まだ12年しか生きていない怜奈は、よほど混乱していただろうと思う。この状況を処理しきれなくて戸惑い涙を流しながらも頑張る姿に私も目頭が熱くなり、思わずその場をパパに引き渡して離れてしまった。
もう一人の選手を見るとコースの書いてある紙を片手に一生懸命取り組んでる。泣いてしまってる怜奈とは対照的で、彼女は問題に立ち向かって頑張っている。その姿にもまた熱くなる。
お題を出されてから約2時間後。いよいよ泣いても笑ってもこれが最後の選考競技。
初めにホースマンシップ。怜奈はこの2時間で気持ちを切り替えていつもの表情に戻ってた。親としてもコーチとしてももう細かいことは言うつもりはなくかけた言葉は
「代表になりたいって、馬が好きって、乗馬が好きだって、どっちの子がその思いが強いかの審査だよ!怜奈も自分の思いをここで出せばいいんだからね!」
ホースマンシップではいつもより堂々と乗っていた。
この審査が終わって、次は鞍を下して拍車を外して無口に付け替えてショーマンシップの始まり。
怜奈は後攻。先に行った選手のパフォーマンスには、馬に対する愛情が感じられた。作られたものじゃなくて自然に出ているじぐさで愛馬精神を感じた。
怜奈には・・・その余裕がなかった。コースを回ること指定された動きをすることにいっぱいだった。普段から馬の世話をしていないのがバレたような振る舞いだった。
結果発表。
怜奈は落選。決まった瞬間ずっと淡々としていた相手選手は一気に泣き出して自分の馬に抱き着いていた。怜奈よりお姉さんでも、やはり不安やプレッシャーとずっと戦ってきたんだと思うとまた涙がこぼれてきた。
怜奈はもう心乱れることもなくいつもの調子。やり切った。自分の持っている実力全部出し切っての結果だから逆にすっきりしているのかも。
ジャッジが優しくねぎらいの声をかけてくれた。ジャッジのお心にまた涙があふれる。すばらしいジャッジに感謝。関係者に感謝。この場に立ち会えたことに感謝。
スポーツって素晴らしい!子供たちの純粋さって素晴らしい!
12歳の怜奈にはまだ2年後4年後がある。それに向けてまた新たなスタート。
これからは怜奈にはホースマンシップ(愛馬精神)を養ってもらおう。自分でも感じたのか、昨日は馬の世話をいろいろとやってくれていた。
思い切り体育会系の私は、運動部でバリバリ肉体を酷使するのだけが根性や精神を強くするものと思ってきた。でも、乗馬もそれと同じくらい精神を強くするものなのかも、と思うようになった。
そして、今後もこの素晴らしいシーンにたくさんの人が立ち会えるよう、スポーツとして確立できるように私たちが道を作っていかないといけないと、私がやるべき職務を責任もってやり続けないといけないと、そう胸に誓うのでした。
長文でした

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