
遠き別れに たえかねて
この高殿(たかどの)に 登るかな
悲しむなかれ 我が友よ 旅の衣(ころも)を ととのえよ
昨日の夕刻、まだ日が落ち切ってもいない頃だった。運動代わりの畑にも少ししか出なかったので意を決して街まで約1時間弱を散歩がてらテクテク歩いたのだった。
陽が落ちて家々の灯りが灯る頃になった、イイ塩梅。


別れといえば 昔より この人の世の 常なるを
流るる水を 眺(なが)むれば 夢はずかしき 涙かな
君がさやけき 目のいろも 君くれないの くちびるも
君がみどりの 黒髪も またいつか見ん この別れ
君が優しき なぐさめも 君が楽しき うた声も
君が心の 琴の音も またいつか聞かん この別れ
普通は3番までが流行歌として慕われるが4番まで挙げてみた。原詩は明治の新体詩詩人の島崎藤村の詩集『若菜集』だったっけ?その中の高楼?1番の詩中にある「この高殿に」だ。
けれども3番に見られるように「君がみどりの黒髪も」「きみ紅の唇も」「君がさやけき目の色も」〜と愛する人への心象もあって、初恋の唄などとももてはやされた。
「死んだ男」と言うと戦後詩の旗手として輝かしい軌跡を残した詩人の鮎川信夫のソレが真っ先に挙げられる。
でもココでは歌謡曲の、惜別の歌を先ずは取り上げた。
そうして夕べはついつい飲み過ぎてしまった。
居酒屋に一度入り予定の馴染みのスナックが開くのを待つ積もりが親娘2人できりもりしてたのが体調を娘が壊したとママさん1人が奮闘してたから注文した肴が遅くなったのだ。つい長居してしまった。
その後に都合3軒目と終いにはなったが、一応はチャンと又歩いて帰った。
飲み疲れてしまった、そしてお決まりの二日酔い〜らしき、昼前に起きて遅い朝食兼〜お昼(^^)〜そしていつもの薬漬けー3時ころまでYouTubeで惜別の歌を何度も聴いた。
ちあきなおみ、小林旭、倍賞千恵子、美空ひばり、渡哲也までも歌ってた。
そして久し振りに島崎藤村の詩が登場してきた。いつの頃からだろうか、私には最早こんな詩なんか必要とはしなくなったと思ってた。けれどもこうして又もや邂逅してしまった。
こゝろなきうたのしらべは
ひとふさのぶだうのごとし
なさけあるてにもつまれて
あたゝかきさけとなるらむ
ぶだうだなふかくかゝれる
むらさきのそれにあらねど
こゝろあるひとのなさけに
かげにおくふさのみつよつ
そはうたのわかきゆゑなり
あぢはひもいろもあさくて
おほかたはかみてすつべき
うたゝねのゆめのそらごと

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