
若い頃から何故か老ドイツ文学者みたいな相貌を見せてた様な小説家だった。そして丸で人を食ったようなタイトルも他には誰も例えようが無いかの書籍名、この最期の遺稿となった未完の小品を含む本もまた不可思議と言えなくもない。それでも何かしら天啓と言うか天命を全うしたかの作者古井由吉(ふるいよしきち)の82年の生涯の予感めいたタイトル、本人が意図したものじゃ無かろう、恐らくは編集者の意向だろう。
さすがに最期の本だけはそれなりに時系列的にも古井由吉先生の晩年のその日暮らしをツブサに纏めようと綴ってるのだが、亡くなったのが昨年の2月で時あたかも天下分け目の新型コロナウイルス禍の国内事情、死因としてはそのコビット19なる疫病感染者ではなくて、肝細胞癌。けどもその晩年になって世界的な爆発的流行の報を眼の当たりに見てる訳で関心が無い訳でなく、ヤハリその疫病との関連も文体のアチコチに散りばめられた。
〜今年は四月の二十七日から五月の六日まで、改元の祝いだか、休日と休日の間をつないで十日続きの連休となった。その十連休の中頃、午前中はひさしぶりに晴れあがって初夏の陽気になり、皇居の辺では参賀の客でたいそう賑わって熱中症で倒れる人も出たそうだが、午後からにわかに掻き曇り、大粒の雨が落ちてきた。わずかな間にずぶ濡れになった人もあり、まるで冷や水を頭から浴びせられたようだったと話した。雨に氷の粒が混じっていた。所によっては本格の雹が降り、地面が白くなったという。私の住まうあたりでは雨はほどなくあがったが暗雲は切れず、雷鳴が遠く近く、いつまでも続いた。雷が四方をめぐっているようにも聞こえた。
冒頭の書き出しを引用、人伝に聞いたのも自分で感じた事もゴッタに書き連ねる手法は相変わらずで、為に混乱が生じ易い。けれどもここから始まった文章は次第に時を追いつつ何を書きたいのかが少しずつ紡がれて来るようだ。(この項はチト時間が足りないので後でマタ〜^_^ 雨が降ったが上がり予定してた草刈りの頼まれた仕事を片付けなきゃならん〜

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