演奏旅行の直前に、選抜チームと優勝チームと2つのカルテットがみんなの前でデモンストレーションをすることになりました。
我々のカルテットの持ち歌は、たった2曲でしたので十分練習をして仕上げていました。
1曲目の「希望の島」はカルテット大会の時以上に朗々と強弱をつけ全員が正面を向いて歌うというちょっと変わったポジションを取ったりして。もはや余裕の演奏!?
そして秘密兵器の2曲目は最初から手拍子をいれ1曲目とは打って変わって元気良くアップテンポで歌います。

聴いているほかの団員も一緒になって手拍子をしてくれて盛り上がります。
そしてエンディングは、ちょっとアレンジを加え当時流行っていたシャネルズさながらに一人ずつ時間差で大きく手を開いて深々と礼をしてフィニッシュ!
これがばっちり決まり、団員からはやんややんやの大喝采!

そうです。秘密の特訓とは、このシャネルズばりの振り付けだったのであります!
我々の演奏が終わった後、グリー選抜隊が非常にやりにくそうにステージに上がりました。
しかし、そこはさすがに実力者ぞろいのチーム。
代々受け継がれているカルテットの定番ナンバーを貫禄の演奏!さすがに上手い!

しかし、彼らの不安は別のところにあったのです。
彼らも演奏旅行用に新曲を用意していました。1曲は寺尾聡の「出航 SASURAI」これはI君のセンスを感じる選曲でアレンジもよかった。
そして最後にもう1曲、やるかどうかステージの上で少しもめていたような気もします。
その訳はすぐ分かりました。最後の曲ではなんと我がチームと同じようなシャネルズばりのエンディングの振り付けを考えていたのです。
しかし、まだ不完全だったのか、同じことを先にやられてやりづらかったのか上手く決まりませんでした。
「だからやりたくなかったんだ・・・」I君のはき捨てるような呟きが私の耳に入りました。照れ笑いはしていても悔しさがありあり。
練習不足だとこういうことになるんだ。優勝カルテットを甘く見ると痛い目に合うぞ。彼の目は他の選抜メンバーに対しそう言っているようでした。
しかし、彼らは我々と違い何曲も持ち歌があるのですから多少練習不足の曲があっても当然なのです。
選抜カルテットとしてのプライドを強く感じた出来事でありました。
さあ、いよいよ演奏旅行だ!


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