最近目に付くのがこれ。暫く前から、『間違えてるのがいるなぁ』と思いながら見ていたが、どうも本気で使っているようだ。そう思っていたら、他の人へのアドバイスなど、極めて真面目な記事の中にまで、更に頻繁に見られるようになった。どうやらこの語、定着してしまったようである。
和製英語というか、何というか・・英語人に聞かれたら、何と答えたら良いのだろう。一番近いところで、ゲージ・ガラス = 「ボイラータンクなどの内部の水量や圧力を示すゲージ(計器)を覆うガラス、高圧に耐える硬質ガラス」的な意味合いで、辛うじて水槽がイメージ出来る程度だ。
ゲージといえば私の年代では、上で書いたようにエアゲージとか、ノギス(分かる?)とか、計器の意味である。(綴りは'
gauge')こちらに来てからは、ショットガンの12番ゲージとか20番ゲージとか、やはりタイヤの空気圧を計るエアゲージとか、計器、計量の単位(measurement)としか認識していなかった。
○○センチゲージとか書かれている「ゲージ」は、言うまでもなく
ケージ 'cage'の間違い。* 飼育ケージの「ケージ」を、誰かが「ゲージ」と見間違えたのだろう。それが次々と伝言ゲームで、ケージの意味として使われるようになった。英語ではcageは「檻」とか「カゴ」の意味だが、動物を閉じ込めることから、檻状になっていなくても、飼育の為閉じ込める物、タンクなどもそう呼ぶのである。(生物が魚の場合はどうか・・)これは以前紹介した27年(だっけ?)前に出版された古いオカヤドカリ本にも出て来る。
一人が間違え、誰も疑問と思わず、何となく感覚的に理解する。理解するだけでなく、真似る、使う。ネット上に氾濫する。かくして、一億総誤用の言葉が出来上がる。ペット産業に携わる人間達がしきりに使い始める。カタカナ語だから格好良いとでも思うのだろうか。そういえばハーミーズクラブも、導入時に「アメリカで大ブレーク!」を使ったしなぁ・・
そしてYAHOO! JAPANで検索してみて大驚愕。
犬ゲージとか
猫ゲージとか、
ハムスター・ゲージとか、(下の方に広告で)出た。
なんじゃ、こりゃあ!?松田優作のような顔をしていたかもしれない。それほどの驚きである。
もはや日本に先生、人に物を教える人は居ないのか。特権意識の塊のセンセー様は居ても。
金を払い広告を載せる企業・個人が言えば、また異論の存在を知らせずそれだけを繰り返し流せば、どんなことでも「正しいもの」となる。ハーミーズクラブ、そして悪徳オークション通販業者らは、かようにマスコミ(単なる宣伝屋、企業を利する情報垂れ流し屋)を駆使し、オカヤドカリを国民的ペットに祭り上げた。「簡単に飼える」、「幸せを運んで来る珍獣」(→”自然からの贈物”なんかじゃないよ。キサマの銭儲けの為殺される為に自然から贈られて来る命なんかあるかい!)と。
言葉は文化だ。教養レベルも徳も格段に低い業者らにやられるまま、商業者に向っては何も言えない文化を名乗る庁は、果たして文化に日本の生物やら何かに貢献しているのか。馬鹿らしい、無駄、自分らの仕事ではない?・・・そうだろうね。失礼しました。
言葉は世につれ。誤用でも使う人が多くなればその意味となる。だがこれもそれで良いのか。英語が入ってるだけに。あとついでに教えておくと、ヘルメットクラブ(helmet crab)はシューホースクラブとも、カブトガニのことだぜよ。helmetとhermitの間違い。あまり言うと嫌われるから黙ってるけど。
* ・・などと断定してしまったが、日本を離れて10年(今日で丁度)。人と同じく独自の進化を辿ったのかもしれませぬな、日の本の言葉も。他に説をお持ちの方居ますか。ゲージ(飼育ゲージ)って正しいと思う人?

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