飼育の基礎知識というのではないけれど、この本に書かれているanatomy図で思い出した。貝殻の中に納まっていて普通見ることのない第5脚(第4歩行脚とも)について。本書
Hermit Crabs FOR DUMMIESではその用について触れていないが、ちょっと思い出したので触れておく。
この一番最後にある脚は、表に出ている第2第3の歩行脚(実際に前脚・後脚の様に見えるもの)と違って、先端がハサミになっている。第1歩行脚(俗にハサミと呼んでいるもの。これも歩行に使っている)ほど大きくない。ひょろっと伸びたモヤシの先割れみたいなといったら、イメージが湧くだろうか。
この頼りない脚、実は結構大切な役割を果たしている。糞を殻の外部に捨てるのもこれを使ってなら、体表に溜まる汚れや老廃物を取り除く(groomingと呼ぶ)のもこれである。眼柄を倒し顎脚で拭うのを見たことあるだろうが、あれと同じようなもの。脚というより手といった感じか。
今は無き、惜しまれながら昨年閉鎖された老舗ヤドカリサイト、ヤドカリ研究所。そこに質問箱というのがあった。薀蓄は他の方にお任せということで、投稿することはなかったが私も時々は覗いていた。そこで何度か質問が出、遂に私も書き込んだのがこれ。このことに関してであった。もしかして違うかも知れないが、私にはこのことにしか思えなかった。そして今もそう。
その何度か出た質問とは、簡単に言うとこうだ。「
ある時ヤドカリの殻の中から寄生虫のようなものが外に伸び出て、うごめいていた。先に口のようなものがあった。寄生虫なのか。@@は大丈夫だろうか。」
これは私にはその気持ちが良く分かった。私も初めて見た時、そのグロテスクさにゲゲッとなった。その動き方から、寄生虫とは思わなかったが、見てはいけないものを見てしまったような気がした。私はそれは男の子のお○ん○んだと思った。(知ってる方もいないだろうが、ベルセルクという漫画に出て来た怪物にそんなような気持ち悪いのがいた。)
それは多分これだから心配しないで良いでしょう、そう書き込みし、CSJのEncyclopediaの中から分りそうな写真を見つけてURLを示してみたのだけど、その後了解との書き込みもないし、そこに頻繁に回答の書き込みをしているコテハン(笑)みたいな人も無反応。意味分らなかったかなと思いながら、親サイトの消滅に伴いその板(箱)も消えてしまった。私も忘れていた。
書き出したら長くなってしまったが、
ベテランでも分ってないことの多い生物を庇護している親の心配は尽きないのである。あんな大きな寄生虫にたかられていたら、生死の一大事である。しかもあの大きな口!食べられてしまうではないか!・・・ だから思い出して書いた。あの
不気味なモノを見てしまって肝を冷やした人、鬱になった人、心配しないでください。
大丈夫ですよ!
またレファレンスに戻る。この本の絵では、しっかりと先端がハサミに描かれている。これまで他の本では見なかった。ネット上で公開されているものにも、ここまでハッキリしたものはあまりないのではないか。(おや・・今画像検索してみたら結構ありました。(笑))写真として、この
毛深く先端がパクパクしておりエイリアンかと思われる第4脚第5脚がはっきり写っているのは、
Hermit Crab CareのP.43にある。この本をお持ちの方はご覧ください。これも知らない人が見れば見逃してしまうだろう。そこで解説しているのはメスの生殖孔と卵の絡み付く場としての腹肢だし。
またまた余談だが、この第5脚が一番奥にある脚ではない。お尻の最後に「尾脚」とでもいうようなのがある。これは何の為であるかと最初頭を捻ったが、やはり殻に入った体を支える為、踏ん張る為にあるのだろう。もはや脚といえぬ形、貝と擦れ合う部分が焦げて(笑)ツルツルになっているのは、ブレーキシューと同じ理屈でないか。一番先端で、柔らかく大事な腹部を摩擦から守る靴の役割。これは飽くまで私の想像。生物学的薀蓄の必要な方はその方面にお尋ねください。
*追記*
どうせだからもう一度CSJのEncyclopediaから写真を。今回見つかった
これの方が分り易いかもしれない。この撮影者も先がハサミになってるのは今まで見たことがなかった(知らなかった)と言って(書いて)います。

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