拳ダコ自体には価値はない。見た目いかつい拳ダコはない方が、作らないに越したことはない。
だが、相当のスピード、力をもって相手の体に当て、大きなショックを与えるということは、その当てたこちらの体の部位にも大きなショックが一瞬にしてかかるということだ。骨折してはいけない。当て方、角度、握り方をしっかりするのは勿論、ある程度固く頑丈に表皮も含め鍛える必要がある。拳ダコ、それは拳頭、手首、肘が強い突きに耐えられるようになった証でなくてはならないのだが、拳自体がある程度固くならないと、突き鍛錬により手首と肘を鍛えられないのも事実。
昔は拳そして突きを鍛える為”巻き藁(マキワラ)”というものを庭の角に作ったものだが、今は庭もなく穴も掘れないというのが普通だろう。一方、サンドバッグなら揺れるし手応えもあり、蹴りにも使える。良いこと尽くめだが、値段も高く、支柱等も必要となり、やはりこれも設置する場所がない。
然らばどうするか。”拳立て”である。拳立て伏せ。腕立て伏せが手を開いて床に着けるのに対し、拳立て伏せは握り拳で床に接する。当然、初めての拳には痛い。特に板張りの床では、自重を支えるのだけで精一杯だろう。
初めのうちは布団の上や、座布団、電話帳や分厚いマンガ本を敷いてやってみる。電話帳・雑誌は段々ぐしゃぐしゃになっていくから、ガムテープなどで周囲を巻くと良い。これを二つ、左右両拳分作る。
自分の体以外何も使わない方法もある。両の拳同士を合わせる。右人差し指の付け根と左人差し指の付け根、右中指の付け根と左中指の付け根、つまり打突する部分同士を胸の前で合わせ、思い切り力を込めて押し合う。何の器具も使わず大胸筋を鍛える方法、アイソメトリックからヒントを得た。両拳は親指側を上にして、みぞおちの辺りに付けてやるとやり易い。ある程度固まってきたら、拳同士で打突しても良い。裏拳も同じ。手刀でも出来る。
足はどうするかだが、布団の上に仰向けになってなんとかと思ったが、手ほど器用に動かせないので、お互い同士蹴り合うというわけにはいかないようだ。何か良い方法はないものだろうか。けど大抵は靴を履いてるから、あまり問題はないのかもしれない。
最近女子高生によるバット折りの動画を見て、すげーと思った。あれ、自分がやったら足首相当痛いだろう。というか、骨が折れる。どうやって鍛えたんだろう。
もう一つ。固い昔の学校で使ったような木の椅子を使っている人、そして根性のある人だけ向きだが、座ってる腰の両側に拳をついて力を込め、腰を浮かす。つまり拳だけで体重を支えるわけだ。長く鍛え拳が平らになっていれば別だが、普通の手では人差し指と中指の第一関節で出来た二つの出っ張り、これが左右でたったの四点に全体重がかかる。かなりきつい。10秒堪えるのもやっと。初めてだと、多分涙が出るほど痛い。だがなに、多分段々平気になる。多分ね。これは昨日思い付いた。
本に書いてあったことから意識して拳を鍛え始めて半月、上記の方法(拳立てとアイソメトリック、拳頭自重支え)しかやっていないが、まあまあ順調にいっている様子。試しに板張りの床で拳立てをやったら、痛さを感じず軽く20回出来る。しかも拳がきっちり詰まってる感じで、布団の上でやるより気持ち良い。悲鳴の出るほど痛い”拳頭全体重支え”をやった後だから、足も着いての三点(四点?)支えなど、軽い軽い。
追記: 調子に乗って何度もやったら、左拳の中指付け根に血豆が出来た。潰して膿が出、3日間休止することになった。やっぱり無理は禁物である。(笑)
ストレッチでもそうだが、人それぞれ自分に合ったやり方を探すことが一番大切だ。無理をするなとはよく言われるが、性格によりハードな短期決戦型を好む人もいれば、マイペースでいつの間にかというスタイルの人もいるだろう。また身体的ハンディがあって、紹介されてるようなやり方では出来ない人とかも。こうやってこのポーズになって、そこからどの方向に曲げて・・・なんて言ったって、そもそもそのポーズが取れない。私が難儀している横百八十度開脚などは、どうしても骨格上出来ぬ人もいるそうだ。
たかが拳の鍛錬、筋を違えるなどの危険はない。一人でやってる人、自分で考えるのが面倒な人は、私の方法を試してみて欲しい。私には効果がある、あった。だから紹介している。知識ではなく、体験から出た工夫というやつ。折角年寄りになったのだから、こういった誰もする気のないくだらぬことの伝授、どしどしやっていきたい。最近めっきり、頭・知識でなく身体を鍛えることに比重が移った。

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